第28話  建築条件付き
2003.05.26

平成14年度の住宅着工統計によると、広島地区では賃貸住宅と戸建て注文住宅が対前年度で伸びを示している。ここ数年、住宅ローン減税や低金利政策などもあり、都心で多くのマンションが販売されたが、あまりにも高水準で供給されたため、分譲マンションや戸建て分譲、いわゆる建売住宅は前年度から大きく落ち込んでいる。

マンションも建売りも『分譲』にはさまざまな広告規制がある。細かいところでは「徒歩何分」というものにも基準があるが、建築確認が終わっていなければ広告をうてないというのも一般にはあまり知られていない。実際には建っていなくても、設計図書を作成し、役所に申請・許可を得ている必要がある。だから「まだ着工前だから変更したい」といっても内装仕上げなど軽微な変更以外は変えることが出来ない。

一方で、戸建ての分譲地のチラシなどを見ると『建築条件付き』という広告も目に付く。この土地は、建築する業者は決まっているけれど、プランについては購入者と打合せしながら自由設計で行なうというものだ。当然、土地の売買契約の時点では工事金額は分からないので、土地売買契約後、一定期間内に見積を提出し、建築工事の請負契約を交わす事が条件とされている。

最近、就職戦線も氷河期になっているが、バブルの頃は『青田刈り』という、就職協定を破って学生に内定を出すこともよく行われていた。住宅でも『青田売り』といって、建築が着工する前にお客様に購入を勧めるケースが少なからずある。地価下落が激しく、建売り住宅の販売にも翳りが出ているので、早めに土地契約を決めてもらおうというものだ。

住宅業界では、このような方法を『売り建て』と呼んでいる。つまり、土地を「売って」から住宅を「建てる」ことで、業者の売れ残りリスクを減らす販売手法だ。売主である不動産会社が、自己の企画と責任において、あらかじめ建物の間取りや仕様を確定しているが、完成前に土地と建物の売買契約を結ぶものを指す。建物自体の金額もすでに決定している。

『建築条件付き』は、「土地のお世話をしたので、住宅建築は当社でお願いしますね。もし設計打合せの段階でご納得いただかなければ、契約は白紙にし、手付金等は全て返済しますから」と、まずは土地のみの売買契約を交わし、その後お客様の要望を聞いて見積書を提出してから工事請負契約を交わす。土地と建物の契約は別々となる。

『建売り』と『売り建て』は明らかに異なる販売方法なのだが、一般のお客様にはその差が分かりづらい。業者によっては、グレーゾーンで商売をしているところもあるようだ。特に、「セット販売」と呼ばれる、販売価格が明示されていながら、建築確認番号が表示されていない広告は要注意だ。お客様の目安として提示されている推奨プランとその見積金額は、参考価格であって、工事金額は打合せをしてプラン確定した段階でなければ決まらないからだ。

不動産の契約は、一世一代の大きな買い物なので、きちんと事前に契約書に目を通すことは最低限必要だ。不安がある場合には、信頼できる第三者か公的な相談窓口を利用したい。

■困ったときの相談窓口
県庁土木建築部都市局建築指導室 (082)223-3435
(社)全日本不動産協会広島県本部 (082)241-7696
または、各地域事務所建設局(広島・呉・芸北・東広島・尾三・福山・備北)および支局

●不動産売買の手引
(財)不動産適正取引推進機構が発行している小冊子。およそ50ページにわたり、マイホームを購入するために最低限知っておきたい知識を集めている。

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