第33話 インスペクション
2003.06.30

MBカレッジ終了証

このコラムは自分が書いておきながら結構横文字が多い。しかも長年住宅業界にいる人間でも聞いたことのない単語が多いのではないだろうか。今回は『インスペクション』という言葉を取上げてみたい。前回の欠陥住宅に大変関連の深いことばだ。

『インスペクション』とは、検査という意味。検査員のことを「インスペクター」と呼んでいる。住宅業界で普通に呼ばれているわけではなく、これまで日本の住宅業界ではほとんど存在しなかったサービスだ。日本では、施工会社に所属している現場監督が工事の検査を実施するが、通常、外部の専門家が検査をするということは、公庫融資や性能表示制度以外あまりない。

アメリカでは、日本の20倍以上の中古住宅売買があり、手入れの行き届いた住宅は中古のほうが高くなる。しかし、素人が不動産屋から勧められるままに購入するのは欠陥住宅などのリスクがあるため、購入者側が「インスペクター」と呼ばれる住宅の検査を行う専門家を雇うのだそうだ。専門家が調査・査定して納得の上でお引渡しを受けるのが普通の取引だ。

日本では、施主立会いの検査はあるが、施工会社とは利害関係のない第三者が検査に立ち会うということはまずない。私は後輩に頼まれ、友人のふりをして立ち会ったことはあるが、例え仕上がった段階でも専門家が見れば不具合の箇所はいくつか見つかる。

私事だが、自分自身が引渡しを受けたとき、日本を代表するスーパーゼネコンと証券会社系大手不動産会社の連名で「一部の手直し工事を除いて社内検査に合格しています」というお引渡しチェックリストを手にして、それ以外に15箇所くらい不具合の手直し指示を出した経験がある。それほど社内検査はおざなりにしか出来ていないということだ。

住宅品質確保促進法が施行されたとはいえ、実際には戸建て住宅で外部の検査が入ることは稀で、ほとんどは社内の現場監督によるおざなりの検査に終わっている。確認申請には一級建築士の記名があるのに、実際には代願事務所といって、行政書士のように資料作成代行で施工会社から委託を受けている一級建築士も多くいる。費用が少ないから判は押しても監理はしないのが実態だ。

なぜ一級建築士として独立して、工務店の下請けをしているかも不思議だが、設計図書に判を押しておきながら現場が気にならないという神経にも頭をひねる。設計料が高い安いの問題以前にプロとしての心構えが出来ていないのだろう。あなたの友人が一級建築士だからと安心してはいけない。木造住宅に関しては、免許を持っているだけで木造の設計も現場管理もしたことのないペーパードライバーもたくさんいるからだ。

だから今、『インスペクター』という職業が注目される。アメリカと同様に、お客様に費用を負担いただき、図面のチェックや工事現場の検査を何度か行う仕事だ。今のところ、住宅性能表示制度に基づく「性能評価員資格」を取得した建築士が対応している。

弊社でも、お客様からの相談もあり、インスペクター派遣を始めたところだ。まだまだ馴染みもノウハウ蓄積も十分ではないが、少しでも欠陥住宅を減らせればと思っている

ミスタービルド大学アドバンスコース「住宅診断講座」終了証
住宅リフォームのFCチェーン「ミスタービルド広島」在籍時、明治大学の中村幸安先生に指導を受け、住宅診断の講座を終了した。


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