第36話 コラボレーション
2003.07.23

インテリアデザイン

最近『コラボレーション』ということばをよく耳にするようになった。弊社が入居している「SOHO国泰寺倶楽部」でも、1階に「中国地域産学官コラボレーションセンター」という組織が入居している。民間企業と大学、そして行政が連携し共同作業をするというイメージだろう。

社会が複雑になり、お客様の要求も高度になってくると、一企業や一組織で全て対応するのは容易ではなくなってくる大企業でも、必ずしも他分野にわたってスペシャリストがいるとは限らないからだ。仮にそれぞれスペシャリストがいても、その部門で重要な地位や仕事についており、大企業ほど組織の壁は厚くお互いが協力し合うことは容易ではない。

バブルの頃にも、大企業のようなピラミッド組織ではなく、プロジェクトごとに外部のクリエーター達も交えてアメーバーのように形を変え増殖していく組織が必要だと言われていた。
しかし、バブル崩壊後は、多くの企業が守りに入ってしまった感がする。

現在のような大失業時代となると、自ら望まないにも関わらずリストラされる人材もあるが、能力が高く、組織の論理に振り回されず、自らの力を試してみようと能動的に組織から飛び出していく人たちも増えている。決まった組織に属さず、高い能力で新しいチャレンジをしている連中が住宅業界でも増えている。

それぞれ専門分野では高い能力を持ってはいるものの、やはりひとりで出来ることは限界がある。お互いの強みを発揮し、弱みは補完しあいながら、タッグを組むほうが数倍の力を発揮できることは多い。特に、現代は大衆ニーズ(マスマーケティング)から、個別ニーズ(ワンツーワンマーケティング)に対応する商品やサービスに移行しつつある。

広告や映像の世界では『クリエイティブ』ということばがよく使われている。無から有を生み出すときのひらめきや創造力をとても大切にしているように感じている。だから、実際に制作するスタッフとは別に、「プロデューサー」や「クリエイティブディレクター」、「グラフィックデザイナー」、「コピーライター」など、さまざまなクリエーターが共同作業を行っている。

個人的な話で恐縮だが、私は映画好きで特にSF(サイエンス・フィクション)映画は良く見ている。アニメやアクション映画でもそうだが、セットをつくる大道具やCGデザイナー、カメラ等を担いでロケハンに参加するクルーたち、このような形の見えるハードをつくる連中とは別に、裏方で調整している数多くのスタッフの共同作業によって、見るものの心を揺り動かすような映画が生まれている。スタッフをまとめる求心力として、私は『クリエイティブ』という力が働いていると思えてならない。

住宅も、単に自然から家族を守る器という機能だけではなく、町の風景や歴史をつくり、家族の物語をつくるという役割も忘れてはならない。だから、ひとりの建築家が奇抜さだけを追い求めてつくった先鋭的な建築ではなく、『クリエイティブ』な発想を持ったプロ達が『コラボレーション』することで、安心して長く住まえるような住宅を開発していきたいと思っている。

住宅も、インテリアデザインや照明計画、色彩計画で随分と雰囲気が変わってくる。
ひとりの設計士だけでなく、コラボレーションすることで豊かな空間を創り出すことが可能だ。


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