第38話 ユニクロ方式
2003.08.04

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最近は少し勢いが弱まったが、数年前はカジュアルファッションではユニクロが一人勝ち状態で、『ユニクロ方式』と呼ばれる経営手法が、様々な業界で取り入れられていった。よほどの年配の方か年少の子供たちを除いてユニクロを知らない人はいないだろうが、山口県の片田舎の企業(私も山口県人!!)がなぜあそこまで伸びたのかは一般の方は知らないかもしれない。

ユニクロの強さは『製造小売』という業態で、流通の無駄を省き、高い収益率を誇っている。
通常は、ものづくりをする製造業と、お客様に販売する小売業、その間に商社や代理店などの卸売業が存在している。ユニクロは、自社で商品の企画やデザインを起こし、製造は中国や東南アジアなどの人件費の安い国で行なって、国内の自社直営店で販売する。お客様の声を聞く販売の前線と商品の開発を行なう部門が同じ社内にあるため、数ヶ月で変化する流行にも素早く対応できる。だから、ユニクロの社名は「ファースト(速い)リテイリング(小売)」だ。

平成8年の夏だから、今からちょうど7年前、中小企業診断士の更新研修で、当時のユニクロの会長、加藤氏(元山口銀行の専務)の話を聞いた。ユニクロの第1号店舗は広島だったが、この時まさに数年先に1000億企業を目指すための戦術を詳しく聞くことが出来たのは幸運だった。
経営コンサルタントとして、当時宇部市にあった本社にも直接電話し、加藤会長とも話をしたことを今でも思い出す。

この当時でも2年前の売上330億円から急速に伸びて600億円に手が届いたばかりだったが、その後一気に1000億円を超え、あれよという間に3000億円企業になってしまった。非常に淡々とユニクロのこれまでやってきたことと、これからやろうとすることを話されるため、この競争激化、消費不況の時代に、本当にそんなことが可能なのだろうかと正直思ったものだが、いとも簡単に成し遂げてしまった。

前文が長くなったが、住宅分野でもそろそろ新しい形の企業が生まれ始めているこれまで私は、住宅は極めて地場産業で、建材や部品を除いては国内の職人さんたちが現場で取り付けるものだと思っていたが、そんな先入観を吹き飛ばすようなニュースが最近入って来た。マツダOBのコンサルタントから紹介された(株)ビーエムディーという会社が、中国でユニット住宅を製造し、広島市南区で住宅を建設するというものだった。

私は、大手ハウスメーカーに対しては否定的だ。それは設計事務所などがいっているような、「薄っぺらなハリボテの家だとか、家族一人ひとりのニーズを反映できない規格住宅だ」といった批判ではない。見込み客の名簿を取るためだけに、莫大な経費(展示場、広告宣伝費、営業マン、販促イベント)を掛け、本来もっと安く出来る住宅の価格を下げていないからだ

住宅の場合は販売が先にあって製造となるが、中国で製造されたユニット住宅は、まさに企画やデザインといった開発は日本で行い、お風呂の床の石張りやシステムキッチンの製造・取付けまで人件費の安い中国で行なって、中間流通を通さず購入者に余計な負担を掛けさせない。
これ以上、日本国内の空洞化によってデフレ進行をさせたくないとは思うが、消費者に余計なコストを払わせていたこれまでの産業界も肯定は出来ない。

同じグレードの日本の家に比べ、半額程度で40坪の家が出来上がっている。

先頃開かれたこのモデルの完成見学会の様子はこちら>>>

ユニクロ方式(ぱる出版)
「柳井流・常識破りの戦略ノート」
当時の加藤会長の話の中では、この本の中にも書かれていない、重要な戦術が3つあった。そんなところもユニクロの強さだろう。


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