第48話 木の家に住みたい
2003.10.20

木の家には根強い人気がある。
プレハブの住宅メーカーでさえ、『木の家』を売り文句にして、これまで地元工務店に流れていた層を取り込むため躍起になっている。しかし、どちらかというと、日本人が持つ「木の家の温かさや懐かしさ」といった情緒を刺激する材料として営業的に利用しているような感じがする。

ログハウスであれば、誰がどう見ても『木の家』だが、2×4工法も構造材・下地材とも木材を加工した材料を使っているので、れっきとした『木の家』に違いない。一般には木造軸組工法『木の家』と呼ばれているのだろうが、最近は集成材や、LVL(厚みのあるベニアを構造材として使っていると考えてよい)、金物で接合部を繋ぐものまで様々、木の家は乱立状態だ。

数年前、「近くの山の木で家をつくる運動」というのがスタートした。
NPO法人「緑の列島ネットワーク」が2001年元旦に朝日新聞に発表された意見広告は大変インパクトもあった。情緒的には多くの賛同者も得て、各地でこの運動が広がっていった。しかし、現実にはパブリシティ効果としてそのイメージを利用しているようなケースも少なくない。

日本全国、ほとんどの都道府県が森林を持っている。中国山地も多くの山林があり、太田川流域の木を使って家を建てる運動をしている建築家のグループもある。私もこのような運動に関心があり、中心で活動している建築士の事務所に電話をしたことがある。どれほど、地元の木で家を造ることに関心を持っているのかと・・・。
しかし、会いに行く気も失せるような回答しか得られなかった。結局は設計を受注したい、自分たちの作品を創りたいのだなと・・・。

島根県でも県産材の需要促進のために、県の事業として木造建造物を計画したが、「十分乾燥した」県産材が工事期間中に入手できず、結局岡山県から調達したそうだ。あれだけ山に囲まれ、県が音頭をとって公共事業として県内の業者に声を掛けたにも関わらず、最終的には「中国山地の木だから地元の木だ」と、開き直るしかなかったというのだ。

『FSC森林認証』という制度がある。世界的に森林破壊グリーンコンシューマリズムの高まりで、「適切な森林管理」をされている森林を認証し、そこから出荷される材料には認証ラベルをつけて出荷するというものだ。ここには、「地元の木の家で・・・」といった情緒的なものではなく、きちんと「マネジメント」が出来ているかどうか、プロが客観的な審査・判断を行なう。

現在、日本国内でこの認証を受けているのはどのくらいあるのだろう。
三重県の速水林業という民間企業が日本ではじめて取得したという記事は以前に見ていたが、2002年12月現在で未だに4箇所の森林しか認証を受けていない。しかも、国有林として農工大が管理している演習林やアサヒビールの社有林(広島県庄原市)も含めての数字だ。
●認証の概要はこちら↓
http://www.chiiki-kankyo.net/fcnet/gaiyo/index.html

広島県内でも全国有数の木材を扱う会社がある。ウッドワン(旧住建産業)と中国木材だ。ともに売上500億円を超える地域では有力企業だが、ほとんど海外から木材を輸入している。
中国木材の堀川社長は、国内の十分乾燥していない木材を自宅に使って、自ら欠陥住宅に住むハメになってしまった。
建売りに使っている安い材料を使ったとは思えないのだが・・・。

「輸入材の方が安い」といった経済合理性だけでなく、認証を見ても分かるとおり、日本の林業や建設業が、国や行政に依存することで保護され、「マネジメント」や「マーケティング」の努力を怠ってきたのは明らかだ。今になって日本人の情緒をくすぐることで落ち込んだ需要を少しでも上げようと、『木の家』というイメージを商売の道具として利用しているようでならない。

私が、「感性」ではなく「理性」で家を考えて欲しいといっているのは、このような消費者には見えない背景が暗闇のように隠れているからである。

自然に勝るものはない
木にこだわる家づくり
丸山 景右 著
-中経出版-
積水ハウスでトップセールスだった著者が、今「木の家」に対するこだわりを語っている。
瓦も葺けなかったプレハブ住宅から、数奇屋建築を勉強するために菊池建設(静岡県)の門を叩いてから、少しずつ「本物の家づくり」に目覚めて、自然素材を使った、健康でしかもローコストで出来る住宅『雨楽な家』に取組んでいる。

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