第51話 住宅展示場
2003.11.10

●アストモ住宅展示場
プレハブ住宅だけを集めた総合展示場。
床面積を見ていきたい !

前回は、マンションのモデルルームについて書いた。「仮設」とはいえ、実際に販売されるマンションの図面に基づき、寸法や仕様もごまかすことなく再現したのがモデルルームだ。長年建設業界では、仮設の建物を『プレハブ』と呼んできたのは余談としておこう・・・。

さて今回はいよいよ戸建て住宅の展示場だ。
学生時代(昭和五十年代)、建築を専攻した私たちの世代は、まだ『プレハブ』というのは勉強部屋などの仮に造った建物というイメージが払拭されておらず、建築学科を卒業した人たちは、ゼネコンか設計事務所が主な就職先となっていた。だから、プレハブメーカーが「家」をつくっているという認識もほとんど無かった。(部材をつくっている程度の認識)

しかし、気づいてみると総合住宅展示場は、ほとんど大手プレハブメーカーで占められてしまい、消費者も、プレハブ住宅メーカー同士の比較検討をするようになってしまった。
プレハブ住宅に全く関心の無かった二十代後半の頃、友人と二子玉川(世田谷区)にあった住宅展示場に遊びがてら覗いたときに、それまで持っていたプレハブ住宅のイメージが変わった。「ウサギ小屋と欧米から揶揄されてきたが、経済成長に合わせて案外、日本の住生活も豊かになってきたじゃない。」それは、空前のバブル絶頂期の頃だった。

その後私も住宅業界に入り、積水ハウスでダントツの営業成績を残した丸山景右氏(営業歴13年で428棟の実績、同年代の良きライバル田中氏はそのまま積水ハウスでコツコツと受注を重ねて、先頃1千棟という前人未到の受注記録を達成)のもとで、プレハブメーカーの実態に触れることとなった。私以外は皆、総合住宅展示場に出展している大手住宅メーカーや、ビルダーと呼ばれる地元住宅メーカーで営業経験を持った連中ばかりだった。
いわゆる展示場営業が染み付いている人々だ。

そんな上司や部下に囲まれ、かなり展示場の実態を知ることが出来た。しかし、私自身実際に展示場に勤務していたわけではないので、内部の詳しい状況を知っているわけではない。
だから、誰でも分かる事実だけを述べると・・・


@ 延べ床面積60坪以下の物件を探すのが困難なくらい、広い住宅ばかり。
  ←左側のモデルを参照下さい

A 玄関も普通の住宅地には見られないような広さで小さめな家具が必要最小限置いてある。

B オプション扱いのグレードの高い仕様・設備となっている。

C 5〜7年程度で建替えられる。(計画的にモデルチェンジしないと他社に見劣りする)

D 豪華なカタログが必ず用意されている。

E アンケートに名前を書くと、まず間違いなく営業マンが自宅まで訪問してくる。

F 正式な依頼なしで、無料サービスで住宅地の調査やプラン、見積書作成をしてくれる。


あげればきりがないが、展示場に来場するお客の80%以上は、展示場と同等の規模、グレードの家を建てることはないと断言できる。極端に言えば、多くの来場者は全く違う住宅を建てるために、展示場で記名し、自宅まで営業に押しかけられていると言っても過言ではない。

『おとり広告』という手法を使う企業は社会的に評価されない。保存性の少ない紙媒体で、小額の商品を広告で販売しても、広告と現物があまりにもかけ離れていれば非難の対象になってもおかしくはない。しかも、車のナンバーまで控えて、自宅まで何度も押しかけてくる営業を抱えている企業は、紳士的な企業といえるだろうか?

それが、堂々と現物を構え、マスコミが運営している総合展示場に出展してテレビや新聞で紹介されると、なぜだか「安心感のある企業」に変身してしまう。
しかも、上記@〜Fプラス、展示場の出展料(月額賃料)や広告・イベント経費などは、結局、購入者負担(つまり、夜討ち朝駆けの訪問に屈せず、契約しなかった人に使った莫大な経費など全て、契約書に判を押した方に請求される)という、まるでバブルの処理に国民負担を求めるのと同様な構図にも、消費者は怒るどころか気づいてさえいない。

それも広く浅くではなく「契約者だけ」に請求されるのである。

▼大事なことなのでもう一度書く。

●通常は、契約をしていただいた大事なお客様だけに、経験豊富な設計者が図面を引いて、 最高の材料を調達し、熟練の職人を使って、行き届いた現場管理で第三者の検査が入って も間違いない仕事をしてくれている・・・ハズである。
 それだけのお金を用意しているのだから。

●しかし、契約をしていただいた大事な「お客様だけ」が負担しなければならない経費は、
 5年から7年で取り壊される展示場の建設コストや運営コスト、アンケートを記入したら ストーカーのように訪問してくる営業マンの経費、資源ゴミにしかならない豪華なカタロ グ類、子連れの家族をたくさん集めるためのイベントや広告宣伝費、無料で作成されるプ ランや見積書作成の時間コストetc.・・・というのが隠しようのない事実だ。
 「大事なお客様」以外に損失補てんする金融機関も投資家もいない。

それを差し引いて残ったわずかな金額で、地元の工務店や専門工事業者に発注される下請け工事が、総合住宅展示場出展メーカーから手に入れられる家の実体ということだ。しかし、
いまだに「大手ハウスメーカーだから安心」「大量生産、大量購入だから安い」「あこがれの住宅は大手の設計力でしか実現できない」と思い込んでいる消費者の何と多いことか。

あなたが展示場で見た「夢」(あこがれ)は果たして正夢になりますか・・・?

【S社】延床面積63.47
【M社】延床面積60.25
【D社】延床面積71.94
【S社】延床面積79.56
【A社】延床面積75.51
【P社】延床面積71.29
皆さんは、このくらいの床面積の家を建てる方ですか?
このくらいの面積があれば、桁行方向の長さが取れ、均整の取れた外観シルエットをつくることが可能。

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