第52話 吹込み断熱
2003.11.17

登録工務店社長たち
後列右から2番目が筆者

先日、弊社の登録工務店の社長らと集まり情報交換を行なった。
通常、工務店同士の社長はお互いがライバルで競合にもなりうるため、お互いの手の内は明かさない。しかし、当社の登録工務店は、勉強熱心でもあり、また自ら進んでノウハウを出すことで、それ以上に新しい工法やノウハウを知ることが出来ると知っている。

このときの集まりは、会員の一社である建設会社の副社長だった二代目が社長に就任したという大義名分で、有志の工務店社長で酒を飲みながら近況を語り合った。弊社は競争見積を実施するサービスではあるが、「金額面」だけの競争を促すよりも、公平・公正なルールの下、競争力を高め、お互いが成長しようとする刺激によって共存できるグループを目指している。

『競争しあうだけ』で、参加者が疲弊する仕組みは、品質や工事現場で働く技術者のモラール低下をもたらしかねない。地域の工務店同士で競争意識を燃やすよりも、むしろ大手ハウスメーカーや域外からの攻勢に対して、競争力をつけていくほうが、消費者に対してもメリットが大きいと考えている。

今回の話題は、断熱工法と、九州地域から進出してきたローコスト住宅会社に対する対策だった。福岡県や佐賀県、長崎県などを席巻したその住宅会社は、広島のローコスト住宅を手掛けているFCチェーン(アイフルホームやユニバーサルホームなど)にも激震を呼んでいる。従来ローコスト住宅で知られたこれらの会社よりも、グレードの高い設備機器で、しかも圧倒的に安い(実際には定かではないが、40坪を基準としたチラシ公称価格)ときているから、近隣に展示場が出来やしないだろうかと戦々恐々としている。

しかし、会合に参加した工務店社長の一人は、「本当に怖いのは価格ではなくて、断熱工法とその性能だ」と分析していた。価格帯が違うから、通常は直接の競合にはならないが、しかしそれにあぐらをかいていたから、今地域の工務店は壊滅状態になっている。

このローコスト住宅会社は、吹込み断熱と気密施工を低価格で実現しており、「高気密・高断熱は高くて当たり前」と、外断熱や通気工法を行なっている高価格帯の住宅をも直撃する可能性があるというのだ。直営の施工部隊を持っているのが低価格の理由らしい。だから、自分たちもこれまでのように、断熱サッシだけで百万円を超えるような家をつくるだけでなく、ローコストで出来る施工部隊や海外からの仕入れルートを開拓していこうという話となった。

地域の中小工務店・建設会社は、一社一社をみると年間10棟未満の会社がほとんどだが、今回、会合に参加した6社を合わせると、年間100棟を超える規模で広島市周辺の戸建て住宅を供給している。しかも全て一般施主の新築住宅を元請で行なっている棟数だ。

中小企業1社では新しいノウハウ、施工体制、設備に投資してもペイできないため、断念していた『安くて高性能な家』も、協業化によってリスクを分担し、年間棟数が見込めれば直営の施工部隊を持って実現可能だ。誰かにしわ寄せがいくのではなく、中小企業にも利益をもたらし施主にもメリットの大きい『Win−Winの関係』はこのようにして築いていける。


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