第9話  建築家は第三者?

2003年もスタートしました。このコラムも週刊誌同様、合併号を含み、毎週発行していく所存です。本年も宜しくお願いいたします。
本年最初のコラムは「建築家は第三者?」です。

毎週日曜日の中国新聞に「ハウジングニュース日曜版」というコーナーがあるが、最近『いい建て主になるコツ講座』が連載されている。広島県内は中国新聞のシェアが圧倒的なので、地元の人は見ている人も多いと思う。今年最初、2003年1月5日のテーマは「見積書をどう読むか?」という内容だった。この号で8回目の連載になっているが、今回は当サービスが消費者ニーズに合致していると改めて確信できた。以下、一部記事を引用したい。

−(前略)建築の素人が判断しづらいのが住宅の見積もりについてです。果たして提示された金額が適正なのか、高いのか、もしくは手抜き工事の危険を伴なうほど安すぎるのかを見極めるのは実に困難な問題です。施工現場のチェックには第三者による監理というシステムがありますが、現在のところ見積金額だけの第三者チェックをしてくれるサービスを実施している例は極めて稀となっています。−

記事は続いているが、記事中に指摘されている「理想的」という以上のサービスを当社は目指している。さて、この連載に限らず最近『第三者』という言葉がよく出てくるが、ほとんどの住宅情報誌では、施工から独立した一級建築事務所の建築士や建築家こそが、国家資格を取得した『第三者』というふうに紹介されている。これは記事を書く記者が設計事務所に取材して書いているか、建築家の『センセイ』に寄稿してもらっているなど、いずれにしても設計事務所寄りの見方になっているのではないだろうか。

設計事務所の「建築士」という職能は建築や住宅設計の専門家ではあっても、積算や施工管理の専門家ではない。構造計算や設備設計でさえ専門の事務所に外注化するほど、一級建築士の資格を取得しただけでは大して専門家といえないのは業界内では常識的である。なにせ一級建築士という資格は一度取得したら更新の研修も試験もなく、建築基準法が変わろうが、住宅品質確保促進法が出来ようが、何も新しい知識や技術を身に付けなくても『センセイ』として通用する。資格の期限がないのである。全国に三十万人近くの一級建築士がいると思われるが、技能や経験ではなく、試験テクニックの優劣で一級建築士の資格を取得した方も少なくない。

設計事務所の業務報酬はおおむね建設コストの何パーセントという計算が多い。例えば2千万円の住宅で10%であれば200万円といった具合だ。お客様と設計業務契約を結び、自分たちの良く知っている工務店や建設会社に見積り依頼をし、その見積金額によって業務報酬が決まるのが一般的だ。建設コストに比例する報酬体系と、自分が指名した業者への見積依頼で、設計事務所こそが『第三者』といえるだろうか?自分の引いた線が工事の内容や価格を決定するのは、どう考えても『当事者』以外の何者でもないと思うのは、私だけではないだろう。設計業務契約を結んでいない物件に対して、見積書のチェックや監理(現場監督が行なう工事管理ではなく)を行なうのであれば、第三者の専門家といえなくもないが・・・。

今回、なぜ設計事務所のことを書いているかというと、昨年12月に正式スタートしわずか1ヶ月しか経過していない当サービスに、設計事務所で設計をしてもらっているというお客様から2組も相談をいただいたからだ。相談内容はそれぞれ異なるものの、共通点として、@施主は私たちなのに、外観のバランスやデザインを重視し、私たちの要望を聞き入れてくれない。A設計事務所が指名する工務店・建設会社が、設計事務所と馴れ合いになっていないだろうか?ということだった。結局、信頼していれば任せるしかないのだが、設計事務所側も旧態依然とし、お客様から信頼を獲得できるような努力が足りないのではないかと感じている。医者もインフォームドコンセント(説明と同意)が求められているように、『センセイ』然としていてはお客様の信頼は得られない。

昨年、アメリカで巨大企業の破綻が相次いだが、エンロンやワールドコムの破綻で問題になったのが会計事務所であった。世界的に有名な五大会計事務所の1社が、会計監査と当該企業のコンサルティングを同時に行なっていた。その会計事務所が、資格はあるとはいえ『第三者』の監査を行っていると言えるだろうか?当サービスでは、競争見積によって危惧される欠陥住宅のリスクに、第三者の住宅評価機関を利用してもらうことで、ユーザーの不信と不安に応えたい。第三者のチェックが入ることが、我々自身のレベルアップにも繋がると考えている。

「建築関係法令集」
(霞ヶ関出版社)。
建築士試験の持ち込み法令集として、建築関連の法律が網羅されている。建築士の業務もこの中に明記されている。
住宅性能評価の『第三者機関』ハウスプラス中国(株)
昨年は業務停止命令を受けた評価機関もあったが、それほど国土交通省もこの第三者機関の独立性に注力している。

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