<第12号> 断熱工法の裏側
2004.03.29

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《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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 現場監督からスタートし、中小企業診断士を取得して、
 200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた実戦派コンサルタントが、
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 こんにちは。発行者の若本修治です。
 
 最近、テレビ朝日系列で『史上最悪の欠陥住宅VS夢の最高住宅』という
 番組が放映され、話題になっていますよね。(2時間の特別番組)

 お笑いタレントの『爆笑問題』ら出演者が「え〜っ!」と驚くような住宅
 を次々と紹介していく番組です。
 
 私も何度か見る機会があり、番組の「欠陥住宅検査のプロ」岩山健一氏を
 インターネットで検索し、書籍を購入しました。
 そして、コラムでも紹介させていただいたのです。

 ▼コラム⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clum/vol_45.htm


 先週金曜日に一通のメールが入りました。
 タイトルは「はじめまして」(んっっ?)
 差出人は「日本建築検査研究所」(あれっっ!)

 見覚えのある会社名・・・
 もしかして・・・まさかあのテレビに出ている岩山健一さん・・・?

 「貴殿ホームページを拝見し、すばらしい活動に対して感銘を受けた次第
 です」と、岩山さんご本人からのメールでした。
 「著書に対して深い理解と評価をいただき光栄です」とまで書いています。

 早朝にメールを見てこちらがビックリです。
 早速お礼のメールを送りました。
 来月でも岩山さんが中国地方に出張の折り、お会いすることになりそうです。

 これも、このメルマガと検索エンジン対策のおかげでしょう。

 ▼検索エンジン『Google』での検索結果
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&q=%8A%E2%8ER%8C%92%88%EA

 ↑キーワード『岩山健一』で6件目に上記コラムが表示されます。(^o^)丿
  これからも、プロに評価されるような情報を発信していきます!!

 さぁ、ではいよいよ今週の本文の始まりです。 

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      ▼断熱工法の裏側 〜誰のための断熱構法?〜
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 日本では「家づくりは夏を旨とすべし」と言われてきました。
 深い庇(ひさし)に、障子や襖といった引き戸で構成され、
 開口部を開け放すと、部屋の隅々まで風が通る家です。

 まさに、夏の暑さや湿気を和らげる家づくりですね。
 内部の壁も、柱や左官材料などの湿気を調整する材料で出来ていました。
 畳も、床下の断熱と併せて、湿度調整をする優れた材料といえます。

 しかし北海道など冬の寒さが厳しく、湿度の低いところでは
 おのずと冬を意識した家づくりが発達していきました。

 ですから、現在普及している、断熱構法の多くは
 北海道を中心に開発されたものといっても過言ではありません。

 ちなみに『工法』ではなく『構法』となっているのは、
 単に断熱材の種類でなく、構造体として断熱パネルを開発し、
 フランチャイズのようにシステム化しているものを示しています。


         ▽ ▼ ▽ 

 四国のA工務店に北海道の会社から、
 新しい『高断熱・高気密』構法の売り込みがありました。
 地元で取引のあるサッシ屋さんからの紹介です。

 Y社長は比較的新しいものが好きで、
 直感的に「この構法は差別化になる!」と感じ、即行動に出ました。

 システムを利用するための契約金額は安くはないが、
 この地区でほかの誰かが契約したらこの構法は使えない・・・。
 地域で1社しか加盟できない「独占契約」だったのです。

 早速、北海道まで実際に施工している建物を見に行きました。
 入居者の話や施工会社から理論を聞き、
 Y社長は決断しました。

 「よし!四国で体験型モデルハウスを建てるぞ!」


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           逆転結露?
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 温暖な四国で、北海道ほどの断熱性能が必要だろうか?
 正直そんな疑問もY社長の頭をよぎったようです。
 しかし、北海道から技術指導を受け、大工から話を聞くと
 そんな不安は吹っ飛びました。

 大工は「ここの現場は夏でも快適だ」というのです。
 まだ、サッシも入っていない状態なのに!!
 特に2階小屋裏あたりでは、通常の現場とは比べ物にならないくらい涼し
 いらしい。屋根で断熱しているお陰です。

 工事も完成し、気密測定をしました。
 気密性能はC値と呼ばれ、この建物の床面積あたりの隙間が分かります。
 結果は上々で、目標の1.0を切ることが出来ました。
 (在来工法と比べて1/10程度の隙間しかありません)


         ▽ ▼ ▽ 

 体験型モデルハウスとして、数ヶ月経過しました。
 室内の温度差はほとんどありません。
 しかし、問題が発生しました。
 どこからか、カビの臭いが漂ってくるのです。

 驚いたY社長は北海道の本部スタッフを呼び寄せました。
 調査の結果、壁の中に結露が発生したという結論に至りました。

 北海道では梅雨がありません。
 瀬戸内海沿岸のように高温多湿の夏もありません。
 冬の寒い戸外と暖かい室内の温度差で発生する結露だけ。
 冷房で冷やした室内と西日で暖められた外壁の温度差は「計算外」でした。

 窓ガラスの結露は、ふつう室内側に発生します。
 これは、多くの皆さんが体験済みですね!

 では、窓ガラスの外が結露するという経験は・・・?
 思い当たりませんか?


 真夏の暑い日、エアコンの効いた車でトンネルに入ったとき、
 フロントガラスが「サッ」と曇った経験はあるでしょう。
 慌てて室内から拭き取ろうとして、外が曇ったことに気づく。
 そして、ワイパーを動かすと視界すっきりです!

 これが、「逆転結露」といわれる原理です。
 トンネルの外でも気温は高く、車内との温度差はかなりあります。
 しかし、トンネルに入った途端、窓ガラスの外が曇ってしまう。
 温度差だけでなく、湿度によって結露になるのです。

 西日本では、壁内部の防湿シートも北海道とは違う施工が必要でした。
 外部に面する側も結露することを考えなければならなかったのです。


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         断熱構法は高い?
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 メルマガ読者からも
 「外断熱で計画していますが、予算オーバーです・・・」
 といった相談が届きます。

 あるいは、「外断熱と内断熱(充填断熱)のどちらがいいのでしょうか?」
 といった質問も寄せられます。

 しかし、おおむね『高断熱・高気密』の住宅は300万円程度のアップが
 普通のようです。坪単価に直すと、坪7〜10万円のアップになります。
 (もちろん物件や構法によっても異なります)

 性能が高いから、高くなるのは当然でしょうか?
 断熱材だけでなく、サッシも高価な断熱サッシになってきます。

…………‥‥‥‥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・‥‥‥‥…………

 私はこれまで、さまざまな断熱構法に加盟している工務店と付き合ってきま
 した。恐らく高断熱に取組んでいる会社だけで50社以上になるでしょう。
 その多くは、発泡系の断熱材を使った特殊な構法です。

 発泡系の断熱材とは、ウレタンやポリスチレンなどの石油系の硬質素材です。
 発泡スチロールをイメージしてみて下さい。
 (硬質とはグラスウールなどの繊維系の断熱材と比較した表現です)

 ほとんどの構法は、加盟金や研修費を支払って「独占的使用権」を得た会社
 しか使用することが出来ません。
 これを「クローズド・システム」といいます。

 断熱材を部材として売るだけでは、付加価値が低く利益も少ない。
 また、きちんとした施工をしなければ性能が発揮できない可能性もある。
 だから、パネルなども組み合せ、「特許構法」として加盟店募集をします。

 当然ながら、特殊な構法なので価格競争力は働きません。
 部材も指定部材しか使えません。
 市場に流通していない「高い」材料です。
 繰り返しになりますが、これが「クローズド・システム」なのです。


 私の付き合いのある工務店がさまざまな断熱構法に取り組んでいます。
 本部には内緒で、ライバルの構法も建ててみました。
 既存に流通している同様な断熱材を使って性能測定もしてみたようです。

 市販品で断熱構法を試したその工務店の社長は驚きました。(*_*;)

 これまで取組んでいた構法の1/3ほどのコストで
 次世代省エネ基準を上回る高性能な住宅が出来たのです。
 つまり、一般に調達可能な材料でも『高断熱・高気密』の住宅は可能でした。
     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 特定の『断熱構法』にすることで、あなたは、
 材料や手間以外のコストを3倍支払わなければならないのです。
 決して、工務店自身も余分に儲けているわけではなく・・・

 「クローズド・システム」なので、年間棟数が限られます。
 高くしなければ、『断熱構法』の本部も開発資金を回収できません。
 加盟工務店を勧誘し、指導育成するコストも掛かります。

 本部にとってもリスクが高く、経済的負担も高いのです。

 これが、「オープン化」された構法であれば
 10倍の需要があるかも知れません。
 棟数が増えれば、材料単価を落とすことも可能です。
 そしてもっと省エネルギー住宅が普及し、施主も工務店も喜びます。

   しかし『高断熱・高気密住宅』は現在のところ
    別名『高リスク・高負担住宅』になっています。(>_<)

 一体、誰のための『断熱構法』なのでしょうか・・・?

 ⇒次週に続く

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            ▼今週のお勧めBOOKS
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 若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。

●外断熱は日本のマンションをどこまで変えるか    [日本実業出版社] 
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534034938/cmshiroshima-22

 ↑ルポライターで、分野を超えた社会問題を取材している山岡淳一郎氏。
  「すべては住宅断熱の”非常識”にあった!」という帯が刺激的。
  外断熱か内断熱かといったレベルではなく、硬派なノンフィクション。
  まずは、プロに読んでもらいたい本です。(特に設計者)

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┃若┃┃本┃┃の┃┃本┃┃棚┃今週のお勧めBOOKSが本棚になりました。
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   ↓  ↓  ↓
 http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/books2.htm
 アマゾン・ドット・コムですぐに書籍が購入できます。
 私もよく利用しています!! (^_-)<☆


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        ▼今週のワンポイント・アドバイス
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●今週の本文は、少し専門的な内容になってしまいました。
 しかし、住宅の寿命は「壁体内結露」の防止が大変重要だと分かってきてい
 ます。プロでも知らない人が多いので、施主から切り出せば驚くでしょう。

 外壁の色や素材は、住み心地や耐久性にほとんど影響を与えません。
 むしろ、サッシや断熱材、そして壁体内の仕様が「建物の資産価値」に影響
 を与えるのです。そんな話の出来る営業マンや設計者は”買い”です。
 しかし、そんな営業マンが少ないから消費者は混乱だけさせられるのです。

●昔の日本の家をよく研究して見ると、
 気候風土にあわせて、「理」にかなった素材を使い
 自然に逆らわない設計をしていることが良く分かります。

 在来軸組工法は、「材料」「寸法」「仕口加工」(継ぎ手部分の加工)など、
 全国どこでも使える『オープン化』された工法でした。
 誰の特許でもなく、どこでも調達できる材料だから、標準化も可能です。

●建築だと専門的で一般消費者にはイメージしにくいかもしれません。
 パソコンが好きな方は『ウィンドウズ』と『リナックス』といえば理解でき
 るのではないでしょうか・・・?

 『ウィンドウズ』は設計情報が公開されていない「クローズド」なシステム
 マイクロソフトだけが儲かる仕組みになっていて、高いソフトを買わされます。

 一方の『リナックス』は設計情報が公開されています。
 世界中のエンジニアが低コストで新しいシステムを開発していきます。
 特定の企業が儲けるのではなく、いいものを開発した方と購入者に広く利益
 がもたらされるのが「オープン」なシステムです。

 どちらを支持されるかは、その方次第かも知れません。
 忘れていましたが、設計CADの『JW−CAD』も同じ発想です。

●確かに、ブランドが確立した高性能住宅は消費者にも魅力的です。
 つくる側も妄信的に本部の情報を鵜呑みにしてお客さまに勧めています。

 でも、本当は「実現させたい性能や機能」さえはっきりしていれば、数多くの
 選択肢を探すことは可能なのです。

 あなたは、その素材を買いたいのですか?
 それとも素材が実現する性能や室内環境を手に入れたいのですか・・・?

■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clum/vol_6.htm

  ↑コラム『外断熱と健康住宅』
  (若本が書いたコラムに関連知識を載せています)

【編集後記】

 先週は、リフォーム工事の入札と現場説明会を行ないました。
 築20年のコンクリート住宅です。

 施主のたっての希望で、1階を全てバリアフリー仕様に改装です。
 1階にあるご両親の寝室の断熱工事も要望されています。
 コンクリートなので、夏暑く冬寒い部屋・・・

 西側に寝室があるので、真夏に西日で熱せられたコンクリートが蓄熱して、
 深夜まで寝苦しい状態が続くということです。

 今回、既存の改修工事として「外断熱」を採用する計画です。
 『今週のお勧めBOOKS』でも紹介した通り、コンクリートの建物には、
 「外断熱」が常識とならなければいけないようです。
 それは室内環境だけでなく、建物の耐久性においてもです!


 しかし、「外断熱」賛歌と思われるこの本に以下の記述がありました。


▼《書籍『外断熱は日本のマンションをどこまで変えるか』34ページ》


 『最近、木造戸建てで外断熱工法をうたった「外張断熱」が
   目につくようになったが、耐久性、健康問題、環境問題の
    いずれにおいても、その効果は未知数だ。』

 私は、特定の工法や特定の仕様を敢えてお勧めしていません。
 本文にもあるように、それはコストアップに繋がるだけだからです。

 施主が客観的に判断できるための選択肢を提供することが私の職務です。
 それには、施工グループの知恵も必要ですし、
 施主が判断する時間も必要です。

 メーカーの営業マンのように期限を切って契約を迫るのではなく
 特定工法に惚れ込んだ工務店社長のように、施主を洗脳させるのでもなく
 コストと性能のバランスの取れた選択肢を提供する・・・

 そんなCM(コンストラクション・マネジメント)を私は目指しています。

            ・
            ・
            ・

 ちなみに、『CM』って、マイナーな方式だと皆さん思っていますよね?!
 (まだ、続くか・・・!)

 今話題のスポット『六本木ヒルズ』
 不幸なことに、回転ドアの事故でさらに全国に知られました。
 お子さんを亡くしたご両親には掛ける言葉も見当たりません。
 (私も7歳の男の子がいますから)

 実は、あのビルも『CM方式』をメンテナンスまで採用しています。
 ビルオーナーの森ビルは、あのソフトバンクと共同出資でCMの専門会社
 までつくっているのです。

 ▼CMnetのホームページ⇒ http://www.cmnetcorp.com/

  ↑右下の会社概要を見てください。資本金4億9千万円の凄い会社です。
   住宅業界や一般消費者には認知度が低いのですが、建築や設計の業界
   では、まさに「平成の黒船」として広く知られています。

   森ビルという頭のよい「事業主」はこの方式をビジネスにしています。
   今回、不祥事にはなりましたが、
   あなたも家づくりの「事業主」として興味を持つはずです。


私のビデオセミナーをお買い求めいただいた方はご存知ですね! (^_-)<☆

 ■若本修治のビデオセミナー『住宅のコストを下げる8つのポイント』
  ↓  ↓  ↓
  http://www.cms-hiroshima.com/video_mailmag.htm


 では、また来週♪

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 ◇ 次週予告
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            ▼ 住宅ローンに泣く人 ▼

           〜ローン地獄に陥らないために〜

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●このメルマガでは、
 『住宅コスト削減術』や『業者選びのコツ』、『欠陥住宅を防ぐ方法』
 から『住宅ローン攻略法』まで、生涯にわたって豊かさに影響する
 住居費のコントロール方法を週刊で提供していきます。
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