<第32号> 住宅会社倒産の自己防衛策
2004.08.30

『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.032━2004.08.30━

《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                        〜第32号〜
  ◆家づくりは人生最大の「事業」
  ◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
  ◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
                    《発行部数2,340部》

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【もくじ】
 ・住宅会社倒産の自己防衛策
 ・お勧めBOOKS
 ・今週のワンポイント・アドバイス
 
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、中小企業診断士を取得して、
 200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた実戦派コンサルタントが、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

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 こんにちは。発行者の若本です。

 先日、林業家の経営者と話をしました。
 国産材専門で、自分の山の杉や桧を伐採して商売をしてきたが、
 輸入材に押されて、地元の材の需要が無いという話でした。

 山を守るため、そして長持ちする家を建ててもらうため、
 現在の流通を変えていきたいという気持ちを持ち続けている方です。

 「わしらの仲間でさえ、九州の木材や外材を扱うようになってしもうた!」

 その経営者は私の父親よりも年齢が少し上で、後継者もいません。
 しかし先代が植えた、樹齢六十年を超える手入れした杉や桧を、
 広大な山に2万本以上も所有しているというのです。

 自らが「需要がない」と決め付けているので、切り出されることなく
 年月が経っていくばかりのようです。

 私がその経営者に質問しました。
 「2〜3棟分でも在庫はありますか?」

 「うちの木で家を建てたいというお客さんがあれば、
  彼岸を過ぎて寒くなった頃、必要な量だけ切り出しに行く。
  1年間自然乾燥させ、来年であれば用意できる。
  だから、1棟分の在庫も無い。」

 「えっ!・・・・・」 (-_-;)

 蕎麦屋に行ったら、「これから畑に行ってくる」というのと同じでは!?
 『需要がない』のではなく『品揃えをしていない』のです。

 このような認識不足とミスマッチで、
 国産材は競争力を失っているのかも知れませんね。

 出来る限りこのようなミスマッチをなくせば、
 安くても良い材料を調達することが可能となります。

 『ミスマッチ解消』は今後のキーワードです。
 雇用も含め、さまざまなミスマッチが景気の足を引っ張っているのです。

 私は住まいづくり専門コンシェルジェとして、
 住宅業界のミスマッチ解消のため、新たな活動に入っていきます。

 では、今週も最後までお付き合いください。

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   ▼住宅会社倒産の自己防衛策   〜リスクをいかに抑えるか〜
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 企業の倒産は、表面的には突然やってきます。
 しかし、予兆があって数ヶ月から3年程度は持ちこたえるでしょう。
 一般消費者が予兆をつかむのは困難なので、自己防衛策をまとめました。

 建設途中の住宅会社の倒産は、
 追加費用がなく、設計図書通りの建物が建てられれば
 消費者にとってはあまり不都合はありません。
 (精神衛生的にはよろしくないでしょうが・・・)(^_^;)

 問題は、自分が支払った手付金や前払い金などが別の資金に流用され、
 工事がストップして、工事を引き継ぐ者がいない場合です。

 工事中の建物は、まだ施主のものになっていないので、
 外部業者への支払いが終わっていない部材や設備機器などは、
 彼らが現場に来て、持ち帰ってしまうリスクもあります。

 例え建物がほぼ完成したとしても、
 建物の登記をするまでは施主のものとはいえないので厄介です。

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          保証を信じる?
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 世の中には、さまざまな保険があり、保証制度もあります。
 住宅の分野では、お引渡しまでを保証する『完成保証』や
 主要構造部の欠陥を無償で直す『瑕疵保証』などです。

 住宅ローンを組んでも『保証料』というのが掛かってきます。

 誰のために、どこが、どこまで保証してくれるのか・・・
 保証さえもらっておけば、本当に安心といえるのでしょうか?

 ちなみに、住宅ローンの保証料はあなたが返済に窮したときに、
 あなたに代わって第三者が支払いをしてくれるわけではありません。

 金融機関へのローン返済が滞ったとき、
 銀行に対して保証会社が残債を支払うための保険です。
 ~~~~~~~~~~~
 銀行が資金を回収するための保証を、あなた自身に負担させるのです。

 銀行は保証会社から残債をもらったら、ハイさようなら!
 それからは、保証会社から、高い延滞金の利息まで乗せられて
 厳しい取立てが始まります。  (>_<)

 銀行は、保証会社さえOKを出せば、ノーリスクです。
 保証料さえも、銀行側が負担することはしないのです。 (-_-;)


         ▽ ▼ ▽ 

 私の兄が9年ほど前に山口県で自宅を建てました。
 東証一部上場の子会社で、在来工法の年間棟数では県内一との触れ込みです。

 そこの営業部長は自信たっぷりに兄夫婦に言っていました。

 「保証ですか?弊社はお引渡しが終わるまで一切お金をいただきません。
  倒産のリスクも欠陥住宅のリスクも消費者が負うことはないのです!」

 やはり、上場企業の子会社は地場の業者とは違いますねぇ。(^o^)丿
 「それなら」と、安心して任せました。

 それから5年後、1枚のはがきがその会社から届きました。

 「9月末で弊社の業務は終了し、
  今後のメンテナンスは下記の会社に引き継ぎます。」

 全く資本関係もない、地元の小さなリフォーム会社の名前がありました。
 企業のリストラによって、赤字続きの住宅部門は撤退したのです。

 会社側が称する『保証』だけでなく、自己防衛策はやはり必要です。

       ●------------------------
          出来高払いの原則
       -------------------------●

 住宅は着工からお引渡しまで、数ヶ月の期間がかかります。
 その間、資材の仕入れや職人への労務費、外注費用などが発生します。
 当然、社員の給与や会社経費も掛かっていきます。

 お引渡しまで、施主から一切お金を預からずに何棟も手掛けると、
 請負をする住宅会社側(工務店やメーカー)には大変な資金が必要です。
 銀行借入れも『与信枠』という限度があり、金利負担も少なくありません。

 ▼施主が最初に払いすぎる場合、
  何かあった場合に施主の手元に工事代金が残っていません。
  (手付金の回収は困難です。)

 ▼施主が引渡しまで支払わない場合、
  請負業者側が大きな資金的負担を負い、資金繰りが苦しくなります。
  つまり、受注をたくさん抱えるほど倒産リスクが高まるのです。

 では、どうすればいいのでしょうか?

 ◎基礎工事が終わった段階で、その代金を支払う。
 ◎次の支払いは、屋根を葺いた段階で実行する・・・

         ▽ 
         ▽ 

 ◎支払う前には、第三者の工事検査をいれて工事内容も確認する。
 ◎そして元請の会社から下請けや職人への支払いが終わったことを確認する。


 このように『出来高』をチェックして支払いをしていけば、
 誰も大きなリスクを負うことはなく、例え元請会社が倒産しても、
 現場管理だけ入れれば、住宅を完成させることは可能です。
 
 このような仕組みを『エスクロー』といいますが、
 現在いくつかの専門サービスが生まれています。

 しかし、専門サービスを使わずとも、施主と施工業者との約束で
 このような『出来高払い』が出来れば、お互いのリスクが解消されるのです。

 ⇒ 後半に続く


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            ▼今週のお勧めBOOKS
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 若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。

●木の家に住むことを勉強する本 「木の家」プロジェクト編 [農文協]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4540002074/cmshiroshima-22

 ↑在来工法で、木の家を建てたいという方は必読です。
  メーカー営業マンのセールストークではなく、
  木を育てている林業家や大工棟梁の話が説得力を持っています。

  写真やイラストも豊富で、見るだけで知識欲を刺激されます。(若本)

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 私もよく利用しています!! (^_-)<☆


     ┏□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┓
        ▼今週のワンポイント・アドバイス
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 家づくりは大きなお金が動くので、お金の流れは透明で
 だれもが過大なリスクを負わないことが理想です。

 しかし、現状では消費者が最も大きなリスクを負わされ、
 そのリスクの影で、保険や保証などの諸費用まで消費者の負担です。
 さらに建設途中のつなぎ資金まで、施主が金利を払うのです。(-_-;)

 住宅性能評価機関などが、工務店倒産のリスク回避のため
 『完成保証』などを実施しています。

 しかし、そのような機関に加盟・登録している会社でも、
 邸別で保証を付けておかなければ、あなたの家は保証外となるのです。

 工事中の看板や名刺に『○○保証登録会社』とあっても
 保証料の支払いをしていない会社もあるので、十分な確認が必要です。

 そして、当然免責があり、追加費用は発生します。

 保証だけに頼らず、自己防衛するためには、
 元請会社だけでなく、下請の協力会社もつかんでおくことが重要です。

 契約時に、各工事の発注先リストの入手をお願いしましょう。
 入居後、メンテナンスが必要なときに直接頼むことも了解を得て下さい。

 「○○塗装に、▲左官、■■瓦店に、☆☆設備・・・」

 施主との信頼関係で、喜んでリストを出してくれる会社は信用できます。
 どうせ、現場を見ていれば搬入のトラックで
 どこに発注しているかわかるのだから・・・。

 工事は出来高に応じて、第三者の検査を入れ、
 協力会社への支払いに問題がないか確認しましょう。

 発注金額を知る必要はありませんが、
 確かに自分の家の代金が、元請の会社を通じて受取られていれば、
 元請会社が倒産しても、その現場に工事ストップはありません。

 施工業者リストを公開し、施主の信頼を得ることで
 元請会社自身もリスクを回避し、余計な神経を使う必要がなくなるのです。
 (だけど、これがなかなかできないんですネ。)

 では、今週のワンポイントアドバイスです。

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆

 1.完成保証は万全ではなく、保証内容を十分確認しよう

 2.保証よりも、追加費用なく設計通りに工事が終わるのが重要

 3.出来高払いで、お金の流れを出来るだけ透明化しよう

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆


■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clum/vol_19.htm

  ↑コラム『下請け業者と原価公開』
  (若本が書いたコラムに関連知識を載せています)


【 編|集|後|記 】

 アメリカではモーゲージ・ローンというのが一般的ということです。
 住宅ローンの融資対象となる『不動産の抵当権』を取得し、
 返済不能になった場合は不動産を売却すれば債務は相殺されます。

 返済に行き詰まっても、土地と建物を手放せばチャラです。(^o^)丿

 日本でも、土地に対する抵当権は設定しますが、
 土地建物を売却しても、残債があればチャラにはなりません。
 お金を払うか、それとも命と引き換え(団信保険)です。  (>_<)

 アメリカの金融機関は、リスクを回避するため
 土地評価だけでなく、建物についても検査官を入れ価値を確認しています。
 それがインスペクターです。

 個人の返済能力ではなく、不動産の市場価値によって融資し、
 不動産価値下落のリスクは金融機関が負うのです。


 「資金力も情報力もある」金融機関が、工事代金の支払いもチェックし、
 『建設先取特権』と呼ばれる、下請けや材料業者の権利を抹消して、
 出来高払いで建設資金を供給するのが、アメリカの住宅取得の現状です。

 もちろん、瑕疵があれば市場価値がないので、プロがチェックを行ないます。

 かたや、すべてのリスクを「情報力の乏しい」個人に負わせ、
 『住宅ローン控除』などで、長期のローンまで組ませて
 個人に住宅建設投資を促している日本の住宅取得の現状・・・ (-_-;)

 品質や価格、デザインなどもさることながら、
 根本が間違っていると思いませんか・・・?


 アメリカの仕組みを見習い、『エスクロー』サービスも登場しています。
 某大手総合商社と某電力会社も2年前、エスクロー会社を設立しました。

 日本の住宅供給の仕組みを変える起爆剤になるのか・・・?
 固唾を飲んで見守っていました。
 しかし、何と2年も経たずに会社は解散だそうです! (*_*)

 最近は事業の見極めが早く、儲からなければ即、事業撤退です。
 お客様への保証よりも、会社存続の保証をしたほうがよい???

 先日、福岡に出張しましたが、
 私の持つPHSは、九州ではもうサービスが終了していました。
 アンテナさえ立たないのです。  (>_<)

 上記はいずれも日本を代表する企業が始めたサービスです。
 たとえ大手企業がスタートさせた事業といえども、
 安泰だという時代ではなくなりました。

 消費者自身が勉強して『自己防衛』するしかないのです。
 それでも、まだ大手の安心を選びますか・・・?

 ではまた来週♪

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 ◇ 次回予告
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         ▼ ローコスト住宅の本質 ▼
 
         〜坪30万円と50万円の差とは〜

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   http://www.koukoku-ya.com/sbp/index.html

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