<第35号> 労働生産性をみよう!(設計編)
2004.09.27

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.035━2004.09.27━

《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                        〜第35号〜
  ◆家づくりは人生最大の「事業」
  ◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
  ◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
                    《発行部数2,469部》

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【もくじ】
 ・労働生産性をみよう!(設計編)
 ・今週のワンポイント・アドバイス
 
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、中小企業診断士を取得して、
 200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた実戦派コンサルタントが、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

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 こんにちは。発行者の若本です。

 先々週より、ひろしまPステーションの生番組に出演しています。
 『ハッピーの家を建てたい!』というコーナーで、
 FM局76.6MHz毎週土曜日の午後5時40分頃放送中です。

 前回のメルマガで、「1棟限定セール」のことを書きました。
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 なんと、番組パーソナリティのハッピーさんも
 この『限定一棟セール』の司会のアルバイトをしたことがあるそうです。

 当選して涙を流す人、次の特典で一喜一憂する人・・・
 会場の中は、異様な雰囲気に盛り上がっていたそうです。
 そんな中で、気持ちが高揚すると心が動きますよね。

 でも、くれぐれも『住宅』を衝動買いしないように・・・(^_-)<☆

 では今週も最後までお付合いください。

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▼労働生産性をみよう!(設計編)〜設計事務所と設計施工どっちを選ぶ?〜
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 前回のメルマガで、インターネットによる名簿獲得の話をしました。

 従来の展示場営業では、アンケート1枚を得るのに2万円、
 そして成約率は2%だから、1棟の受注に対して、
 100万円のイベント集客経費が掛かっています。

 一方、インターネットで名簿集めをすると・・・

 見込み客名簿1件あたり、600円で済んだそうです。
 今、話題のインターネットの仮想商店街『楽天』にも
 月5万円で出展したと聞いています。

 ちなみに、総合住宅展示場への出展料は、通常その20〜30倍以上します。
 しかも全国数十ケ所への出展ですから、メーカーの投資も莫大なものです。

 それに引き換え、楽天は1店舗だけで全国をカバーします。
 モデルハウスも、営業マンも折込みチラシも不要です。
 従来では考えられない投資効率です。

 ホームページで商品説明を行ない、
 問合せのあったお客様にメールでのやりとりをする。
 成約率は、およそ5%でした。

 家を建てた人が負担した集客コストは、1万2千円程度です。
 このくらいであれば、負担しても「負担」に感じないかも知れません。

 しかし、これまでの費用は、『集客』に掛かるコストです。
 つまり家を建てる人を見つけるための費用なのです。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 このあと、建築予定地の敷地調査や役所調査、
 ラフプランの作成、資金計画や概算見積作成等など・・・

 施主が、「お宅に工事をお願いします!」と決断するまでに
 さまざまな業務が続きます。

 し・か・も、

 「あなたのところだけしか相談しないので、無駄なく動いてね!」

 という天使のようなお客様はまずいないでしょう。

 営業は、他社の存在を意識しながら、無駄とも思えるプランを
 たくさん出してきます。訪問する理由が必要だからです。

 名簿取得後から、契約に至るまでの営業と設計のコスト・・・
 この効率が悪く(=労働生産性が低く)、無駄が多いほど、
 そこで家を建てる消費者も、余分なコストの負担が増えてしまいます。

 給料が30万円の営業マンが、社用車を使い、設計者や事務員に手助けされ、
 会社経費を使って見込み客に日参して、月1棟の受注がなければ・・・

 一体誰がこのコストを負担しているのでしょうか・・・? (-_-;)


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           設計無料?
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 設計施工で請負う住宅会社、建設会社、工務店の多くは設計料を取りません。

 工事の受注が目的なので、お客さんが決断してくれるまでは、
 断られる理由をできるだけ排除しておきたいというのが、その理由です。

 つまり、できるだけ他社よりも多くの『無料サービス』をして、
 心を動かしてもらいたいと考えているのです。

 「ここまで動いてくれたのだから、そろそろあなたに決めます!」

 どのような家なのか、どこが建てるのかということよりも、
 「あなたから買います!」といってもらうこと・・・

 これが、営業マンの目指しているものです。


 しかし、実際は社内や社外の建築士が、
 お客さんの見えないところで設計プランを描いており、
 彼らに「契約取れるまでは無償で働いてっ!」 m(_ _)m 
 というわけにはいきません。

 そこで、考え出されたのが『プラン集』です。
 玄関の方角と、道路に対する間口、各階の部屋数、
 希望床面積などが分かれば、間取りのパターンがいくつか決まってきます。

 これであれば、わざわざ設計者が出向かなくても、
 多少の訓練さえすれば、専門知識の乏しい営業マンでも希望を聞ける。
 これが多くの大手住宅メーカーの営業スタイルです。


         ▽ ▼ ▽ 

 かたや、設計事務所は図面を描くこと、それ自体が売り物です。
 図面を描くことで生計を立てていかなければなりません。
 極端に言えば、1日図面を描いたら日当でいくらもらえるか?

 まるで、大工さんや塗装屋さんと同じ『職人』のような存在です。

 だから、動いた分は請求しなければならない。
 仕事に従事した時間が費用の根拠となるはずです。

 「いやいや、設計は芸術的要素が大切だから、職人と一緒にするなよ!」
 「私の仕事は、これまでの長い年月で積み重ねたノウハウだよ!」

 故に時給換算できないと言いたげな設計者が多いでしょう。

 しかし、今回の台風で倒壊した宮島(厳島神社)を修復する宮大工や、
 今年架け替え工事が終わった、岩国の錦帯橋(木造アーチ橋)などに
 参加した大工さん達は、費やした時間以上の賃金を要求するでしょうか?

 ●以前紹介した錦帯橋架け替えの記事を参照ください。
  ⇒ http://www.cms-hiroshima.com/kintai_brg.htm

 なぜ、大工などの職人と、設計者で報酬体系が違うのでしょうか?
 それは・・・


       ●------------------------
          設計の労働生産性
       -------------------------●

 ちょっと、専門的になりますがご容赦ください。
 ご自分が仕事をした業界や取引先などをイメージしてみてください。

《職人の場合》

 ・自分が営業しなくても、ほとんど継続的に仕事の依頼がある。

 ・その場合の依頼者は、仕事に見合った発注金額を知っているプロである。
  ※もし大工(九)が、小工や大七、大五(=未熟)だったら、
   支払い金額は発注者によって査定される。

 ・職人が効率よい仕事が出来るよう、発注者側が段取りをしている。

 ・仕事の波はあっても、生活レベルを維持できる収入は見込める。

  ⇒だから、日当または面積あたりの単価で仕事が出来る。
   工事費には直接連動せず、現場監督が労働生産性をチェックしている。


《設計者の場合》 ※独立系設計事務所のケース

 ・役所の入札案件以外は、自分で仕事を見つける営業が必要。(下請けは別)

 ・住宅では、設計料に見合う仕事の質や量を判断できない素人が発注者。

 ・設計者が効率よく仕事が出来るようにする術は、発注者側にほとんどない。

 ・設計を依頼してくるお客様から頂くお金以外に生活レベルは維持できない。

  ⇒だから、日当や面積では仕事をせず、工事費の料率で計算する。
   営業力が無ければ次の仕事が見つけられないので、今の仕事を長引かせる。
   誰もその労働生産性をチェックできず、結局、設計料は言い値。 (-_-;)
   お客様は、設計料が妥当なのか、判断は困難です!


 熟練した大工さんが、日当1万8千円(道具込み)で仕事をしているとします。
 下積みがあって、25日間働いて、月額45万円です。

 同様な発注形態としたら、効率を考えれば、設計者も2倍の日当は不要です。
 そして、事務所経費を計上すれば、設計料の目安はつきます。
  ※ただし、よほど著名な建築家は除きます。

 このような金額が実現できないのは、
 結局、設計事務所の営業の生産性の低さと、
 設計業務のマネジメントレベルの低さなのです。

 大半の設計事務所が、労働生産性を考えていないのが実態です。

 本来は、力がついて設計アイディアの引き出しが増えるほど、
 設計に要する時間は短縮できます。つまり、労働生産性が上がるのです。
 営業力があれば、短時間に多くの仕事が出来るので収入も増えていきます。
 ~~~~~~~~~~~~~~
 しかし、仕事が早く終わってしまったら、いただける設計料はわずかです。
 次の仕事を見つける営業力が無いとしたら・・・! (>_<)

 なるべく、時間を掛けダラダラとするほうが儲かるのかも知れません。
 「なぜこれだけの設計料を負担してもらわないといけないのか?」
 その説明とイメージづくりに時間を費やす方が、重要になっています。

 あなたは、そんな設計者にプランをつくってもらいたいですか?


         ▽ ▼ ▽ 

 私が独立前に在社していたコンサルタント事務所のときのこと。
 以前も書いたように、電力会社の電化住宅推進を行なっていました。
 ある時、工務店に同行訪問していた電力会社の社員さんから相談を受けました。

 「実は自宅の建築を計画しています。
  施工はこれから行く工務店さんにしてもらいたいのです。
  でも、設計センスが気になるのでプランをお願いできますか?」

 私のいた事務所は一級建築士事務所登録もしていました。

 「では、社内の一級建築士に話をして、見積を出してみましょう。」

 こうして、建築士事務所協会などの設計業務報酬などを参考に、
 基本設計料と実施設計料などを算出して、見積を提示したのです。

 「えっ!こんなにするのですか・・・?」

 その電力会社の担当者が驚きました。
 普通の設計料よりも安めの金額設定にも関わらずです。

 「私は、9,800円の間取りソフトである程度プランをつくっています。
  CADデータにも変換できるようなので、
  プロの助言で修正してもらうくらいでいいと思っていました。」

 今は、間取りソフトでかなりのプランが出来ます。
 設計事務所も、CADを導入して設計の効率化が出来ているハズ・・・?

 以前であれば、手描きの図面だったので、効率化に限界があります。
 図面の線を見るだけで、設計者の実力も測ることが出来ました。

 しかし、設計料は昔のままです。
 間取りソフトでつくれるプラン以上を求めていない消費者であっても、
 規定の設計料を求める設計事務所・・・

 この矛盾は解消していかなければなりません。

 ⇒ 次週に続く

     ┏□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┓
          ▼今週のワンポイント・アドバイス
     ┗□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┛


 実は、病院経営も200床以下の中小医院はおよそ3割が赤字経営です。
 医者が儲かる商売だったのは過去の話です。

 なぜなら、医者も経営や労働生産性などのマネジメントが出来てなく、
 芸術家や職人などと同じように『技術屋』体質の方が多いからです。

 技術屋体質は、好きなことは没頭するが、時間とコスト管理ができません。
 現在の設計事務所とそっくりだと思うのは私だけでしょうか・・・?

 さすがに、病院は毎日のように患者が来て現金収入はあるので、
 自分がマネジメントできなけば、適切なマネジメントの専門家を入れます。

 設計以外でクリエイティブな仕事・・・
 グラフィックデザインやWebデザイン、プログラミング、小説家etc.

 その多くが、プロデューサーやSEなど、営業やマネジメントの専門職が
 発注者であるクライアントとの間に介在します。

 このマネジメントの存在が、コスト・納期・クオリティを管理し、
 施主とのスムーズな関係を結ぶとともに、
 クリエイターの収入が安定する役目も果たすのです。

 設計事務所だけ、そのような存在なしで
 一般消費者が価格や品質のコントロールができますか・・・?

 では、今週のワンポイントアドバイスです。

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆

 1.集客から契約まで「設計業務」という時間とコストが掛かっている

 2.消費者への経済的負担の軽減には設計業務の効率化も不可欠

 3.コストを下げるには、マネジメントができた事務所へ依頼しよう

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆


■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clum/vol_21.htm

  ↑コラム『プランブックとCM』
  (若本が書いたコラムに関連知識を載せています)


【 編|集|後|記 】

 設計事務所がマネジメントまで請負うCM方式が少しずつ増えています。
 ○ープン・システムというグループも
 全国の設計事務所のネットワークをつくっています。

 このCM方式は、施主が元請に発注せず
 下請けの専門工事業者に直接発注する『分離発注』という方式です。

 「元請の工務店や建設会社の利益分、安くなる!」との説明ですが、
 果たして労働生産性が上がったのか、効率が良くなったのか、
 はたまた、分離発注のマネジメントフィーをいただくための
 設計事務所の新たな戦術なのか・・・?

 営業力の弱い設計事務所が、ひとりのお客さんから設計料とは別に
 CM(コンストラクション・マネジメント)フィーを坪単価6万円以上も
 いただけるとしたら・・・

 設計事務所にとっては、一石二鳥の仕組みです。
 しかし、全国にこのシステムを利用したトラブルが増えているようです。

 やはり、資材の発注や現場管理、工事検査などは設計者では正直無理です。
 「設計」と「検査」そして「施工」をそれぞれ専門職が担う、
 そんな形が今後の家づくりの主流になっていくことでしょう。

 そうそう、住宅検査のプロ、テレビで様々な欠陥住宅の解説をしている
 日本建築検査研究所の岩山健一所長が、広島にやってきます。

 私が代表を務めている『住まいのキホン研究会』で
 10月16日(土)の午後1時半からフォーラムを企画しています。
 そこで「欠陥住宅に遭わないためのポイント」を講演して頂く予定です。

 http://www.sumainokihon.com/

 こちらのフォーラム開催は、また正式にご案内いたします。

 今週は東京に出張して、岩山さんから住宅検査の指導を受けます。
 全国で私のような立場の専門家たちが集まってきます。
 今から楽しみです。

 ではまた来週♪

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 ◇ 次回予告
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        ▼ 労働生産性をみよう!(発注編) ▼
 
          〜なぜ日本の建材は高いのか?〜

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【発行者が携わっているサイト】

 ▼ 家づくりのトータル支援サービス『住宅CMサービス広島』
   http://www.cms-hiroshima.com/
 ▼ 不動産・住宅取得の学習サイト『住まいのキホン・ドット・コム』
   http://www.sumainokihon.com/
 ▼ 住宅にユニクロ方式の生産システム『セルフ・ビルド・プロジェクト』
   http://www.koukoku-ya.com/sbp/index.html

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