<第36号> 労働生産性をみよう!(発注編)
200410.04

『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.036━2004.10.04━

《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                        〜第36号〜
  ◆家づくりは人生最大の「事業」
  ◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
  ◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
                    《発行部数2,468部》

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【もくじ】
 ・労働生産性をみよう!(発注編)
 ・今週のお勧めBOOKS
 ・今週のワンポイント・アドバイス
 ・編集後記
 
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、中小企業診断士を取得して、
 200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた実戦派コンサルタントが、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

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 こんにちは。発行者の若本です。

 先週は、台風21号に追いかけられながら東京に出張してきました。
 往復航空券を予約していたので、「飛ばなかったらどうしよう・・・」
 と思いましたが、無事予定どおりの活動が出来ました。

 既存住宅の瑕疵検査や新築住宅の工事検査に関して
 学ぶことがたくさんありました。

 翌日の木曜日には、西武新宿線に乗り、
 狭山市まで、宮大工の棟梁に会いに行ってきました。
 薬師寺を始め、奈良時代の建物の改修を手掛ける大森棟梁です。

 いずれも、地震や台風に強い家づくりの根源を聞かせてもらいました。
 そして、単に経験年数だけの大工や、一級建築士などの資格だけでは、
 いい家を建てるための十分条件にはなり得ないことを再確認した次第です。


 さて、広島にお住まいの方は朗報です!

 テレビ東京「住宅トラブルバスターズ」などでおなじみの
 欠陥住宅検査のプロ、日本建築検査研究所の岩山健一さんをお呼びして
 10月16日(土)フォーラムを開催します。

 ■詳しくはこちら ⇒ http://www.sumainokihon.com/


 その他のエリアの方は、みのもんた司会の月曜エンターテイメント

 >>『出動!住宅トラブルバスターズ 〜芸能人の家が危ない〜』<<

 を是非ご覧下さい。
 デヴィ夫人邸やはなわ邸など、次々と欠陥が明らかになります!

 放映は、10月18日(月)20:00〜21:54 です。
 テレビ東京のほか、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、
 テレビ北海道、TVQ九州放送、岐阜放送、奈良テレビで放映されます。
 (テレビ和歌山は翌週、びわ湖放送は翌々週の放映です。)

 欠陥住宅は他人事ではないことが、この放映で分かることでしょう。

 では今週も最後までお付合いください。

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 ▼労働生産性をみよう!(発注編) 〜なぜ日本の建材は高いのか?〜
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 労働生産性のシリーズの続編です。
 品質を落とすことなく、コストダウンを図るには
 この労働生産性をすべての業務で見直す必要があります。

 これまでの住宅業界が『ローコスト住宅』としていたのは、

 1.床面積の基準を勝手に変え、坪単価を見かけだけ安くすること
 2.手抜きをして安普請の家をつくること
 3.下請けいじめをして、工事原価を叩くこと... (-_-;)

 そして、「経済設計」と称して、四角い総二階の家をつくることなど・・・

 品質や性能が担保されて、経済設計の家となることは、
 限られた予算の消費者には願ってもないことでしょう。
 私自身、予算にあわせてお勧めする場合もあります。

 しかし上記の3つについては、
 決して消費者が望んで頼んでいることとは思えないでしょう。
 プロが、自らの能力を高め、努力して達成したコストダウンではありません。

 下請けあるいは消費者が多少犠牲になっても、自分だけが儲かれば・・・。
 そんな元請の住宅会社の考え方さえ見え隠れしています。

 今回は、建材流通に切り込んでいきたいと思います。

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         データ更新に2ヶ月?
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 一般的には、日本の建材が高いのは流通の多段階構造があげられています。
 メーカーから商社を経由して、地域の代理店、建材卸を経て現場に届きます。

 なかには、伝票だけで在庫も持たず、配送もせずに
 中間マージンを得ている企業もあることでしょう。

 >> 「中間マージンをなくすことでコストを安くする!!」 <<

 そんな謳い文句でPRしているところもあるようです。

 しかし、中間に業者が入ることで効率化して
 自社でやるよりもコストダウンが図れることもあるのです。

 昨今の『アウトソーシング』の流れを見ても
 その効果を否定するものではないとお分かりでしょう。
 経費を考えると、外部の専門業者のほうが安いことも多いのです。

 だから必ずしも中間マージンがコスト高の元凶とはいえません。
 では、何がコスト高の要因になっているのか・・・?


         ▽ ▼ ▽ 

 以前、ガラス工場を訪ねました。
 この会社は自動車のガラスや住宅用のガラス加工をしている企業です。
 自動車メーカーの協力工場なので、品質やコストにはシビアです。

 住宅用のサッシはト○テム、Y○K、新○軽、立○アルミ、○協アルミ
 など、いくつものメーカーがあります。
 (ちなみに私の住んでいるマンションは、ビル用の不○サッシです)

 このガラス工場では、各社の規格に合わせて
 ペアガラスやLo−Eガラスなどを組み込んで出荷していきます。
 主な各メーカーの商品は全て取扱っています。

 最近は消費者のニーズも多様化したので、
 サッシのデザイン、カラー、ガラスもさまざまな組合せが可能です。
 次々と新製品も生まれています。

 この会社の社長がため息混じりに嘆いていました。

 「せめて各社、規格を統一してくれたら・・・」

 毎年のように各社が新しい製品・規格を出して他社と差別化しています。
 この会社では、その都度その規格のデータをCAD入力しています。
 受発注と連動しているので、自社専用のシステムです。

 そこにさまざまなメーカーから新製品・新規格の情報が届きます。
 5社の取り扱いをしていたら、データ更新に5倍の手間が掛かります。
 オペレーターがデータ更新するだけで、2ヶ月を要するのです。

 規格や寸法を統一するだけで、生産も流通も設計も
 ずいぶんと手間を省いて生産性を高めることが可能です。

 消費者は、サッシの寸法が2〜3センチ違うことで
 「バランスが悪い」とか「これでなければ買わない!」
 ということはあまり考えられないでしょう。

 生産者側の都合や設計者の気まぐれなどで、
 さまざまな規格が存在し、コストアップを招いているのです。

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          建材発注の裏側
       -------------------------●

 注文住宅の場合は、大手ハウスメーカーで建てる場合を除いて
 建材メーカーも、商品のグレードも全て自由に選ぶことが出来ます。

 だから、建材メーカーは選んでもらうことに必死になります。

 1兆円企業のショールーム責任者でも、
 小さな町場の工務店社長には頭が上がりません。
 工務店や建設会社、設計事務所側に、メーカーを選ぶ権限があるのです。

 新製品が出たら、せっせとカタログを届けます。
 見積があれば、すぐに図面を取りに駆けつけます。
 プレゼン資料やCAD図面も添付して、採用してもらうよう懇願します。

 業務をアウトソーシングしたときに、一般的には費用が発生します。
 外注で設計を頼んだり、コーディネートしてもらったり・・・

 しかし、建材メーカーに頼むと全て無料でやってくれるのです! (^o^)丿
 時には、イベント会場の提供やイベント要員の派遣まで・・・

 最終的に、タダほど高いものはないというのに・・・(-_-;)

         ▽ ▼ ▽ 

 今建てられている多くの住宅は、ほとんどが既製品の建材の組み合せです。
 大手建材メーカーでは、住設機器も内装材も外装材までもが全て揃います。

 住宅会社側は、図面一式渡して数量の拾いから見積金額まで、
 全て建材メーカー任せでも、お客様に提出する資料が揃います。
 仕様やグレードまでも、メーカー任せで選んでくれるのです。

 極端に言えば、専門の技術者ではなく、アルバイトでも
 図面を渡して出てきた資料に、自社の利益と資料をつければサマになる!?

 全ては給料も外注費も払わなくてもいい、
 建材メーカーのスタッフが、その住宅会社の業務をしてくれるのです。

 しかし、そこまでしても、それで全てが決まるわけではないのです。

 建材メーカーも他社との競合に勝ち残り、
 発注者の住宅会社も、他の競合に勝ち住宅の受注が出来て
 初めて商売につながり、それまでの手間が回収できるのです。

 生産コストよりも、ショールームやカタログ、人件費など
 販売に掛かる莫大なコストが解消されなければ、建材のコストは落ちません。
 「安くしろ!」というほうが無理があります。

 では、それを解消する方法はないのでしょうか・・・

 ⇒ 次回に続く

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            ▼今週のお勧めBOOKS
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 若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。

●「いい家」はローコストで建てる 関谷真一 著    [永岡書店]
  http://qrl.jp/?u=122309

 ↑著者のもう一冊の本、「基本の家づくり百科」も読みやすい本でしたが、
  図解や事例付きで、快適な家をローコストでつくるための基本が分かり
  やすく書かれています。著者の人柄が分かるようないい本です。

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┃若┃┃本┃┃の┃┃本┃┃棚┃今週のお勧めBOOKSが本棚になりました。
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   ↓  ↓  ↓
 http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/books2.htm
 アマゾン・ドット・コムですぐに書籍が購入できます。
 私もよく利用しています!! (^_-)<☆


     ┏□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┓
        ▼今週のワンポイント・アドバイス
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 住宅のコストは、目に見えない部分で随分掛かっています。
 目に見えないといっても、壁の中や天井裏などの話ではありません。
 工事着工するまでに、大変多くの人が動き、その経費が掛かっているのです。

 昔のように、地元の職人さんや業者さんが、原材料を仕入れ、
 現場で加工していた時代では、材料費と手間くらいで済んでいました。

 営業に掛かる経費も設計に掛かる経費も
 ましてや、広告宣伝費を消費者が負担するということはありません。

 しかし、徐々に住宅の部材も大量生産されるようになりました。
 大量生産されると、販路の開拓が必要となってきます。
 ここで商社や卸、販売店の力を借りる必要が出てくるのです。

 売上を伸ばしていくには、他社との差別化も必要となります。
 差別化をするためには、独自の規格でマネできない製品をつくっていきます。

 ちなみに、システムキッチンはヨーロッパで生まれました。
 欧州では規格が統一されているので、食洗器だけでなく
 キッチンの扉やカウンタートップも別のメーカーの組合せが可能だそうです。

 しかし、日本のキッチンメーカーは各社独自規格の為、
 各メーカーのものを組合わせることは不可能です。
 せいぜい、クッキングヒーターやオーブンなどが可能なくらいです。

 サッシなども各社の規格が違うことで、開発コストも運搬費用も割高となり、
 設計の標準化もできず、各社体力勝負となりつつあります。
 経営統合やショールームの共有化も始まりました。

 カセットテープやビデオデッキなど、
 家電製品は、規格統一と量産化で、メーカーも消費者も利益を得ました。

 ビデオではVHSとベータ方式の規格争いはありましたが、
 規格統一後でも、各メーカーは特色を出し、利益も利便性も失っていません。
 消費者も、いまさら各社がバラバラの規格を出すことを望みません。

 住宅建材も、規格統一してこれまでとは別の競争原理を導入すべきでしょう。
 それが、メーカーにとっても消費者にとっても有益なのです。

 では、今週のワンポイントアドバイスです。

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆

 1.中間マージンが必ずしも建材コストを上げているわけではない
   ⇒ 効率化に寄与していれば、かえってコストダウンにつながる!

 2.各メーカーで乱立する規格や寸法が、コスト高の要因になっている
   ⇒ 保管や配送、梱包に至るまで規格化・標準化が困難!

 3.住宅会社の建材メーカー依存も、コスト高の大きな要因
   ⇒ 手間を掛けさせないないことも値引き要因として交渉できる!

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆


■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clum/vol_24.htm

  ↑コラム『サプライチェーンマネジメント(SCM)』
  (若本が書いたコラムに関連知識を載せています)


【 編|集|後|記 】

 最近、デジカメがこわれて買い換えました。
 まだ3年しか使っていないものです。

 デジカメも、記録メディアにさまざまな規格があります。
 これまで購入した周辺機器やケーブル類を生かすためには、
 以前使っていたO社の製品がいいだろう・・・

 お店に行くと、やはり修理をするよりも、新品のほうが安いとの話です。
 昨年モデルの中価格帯の製品が特価になっていたので、早速購入しました。

 パソコンとの接続はUSBケーブルです。
 操作性もほとんど変わらず、ボタン類も見慣れたものでした。

 しかし、実際に使い始めて全ての規格が変わっているのに気づきました。
 まず記憶メディアが全く違い、互換性がないのです。

 USBケーブルもデジカメ側の差込みの形状が違うのです。
 デジカメは電池の消費が激しいので、AC電源を使います。
 別売りで高かったAC電源を差し込もうとしたところ・・・

 これまた、デジカメ側の形状が同じメーカーなのに違うのです。
 これはノートパソコンのバッテリーやプリンターのインクでも同様ですね。

 パソコンの規格は毎年のように新しくなっていますが、
 なぜ同じO社のデジカメが、パソコン側ではなく
 デジカメ本体側の仕様や規格が3年程度で変わっているのか・・・!?

 私は信じられない気持ちになりました。

 OA機器メーカーは、製品本体価格が値段競争になっている分
 別売りの周辺機器やサプライ用品などで儲けを出そうとしています。

 コピー機のトナーなど、メンテナンス契約でも
 一度契約したお客さんが継続的な収益源となるように考えているのです。

 住宅でも、メンテナンス契約などを交わすことは同様だと考えて下さい。

 少なくとも、大手メーカーとメンテナンス契約を交わすということは、
 企業にとって「美味しいビジネス」だということです。

 なぜなら新規顧客を探すコストは、既存客の数倍の費用が必要なのです。

 消費者の利益は二の次かも知れませんね・・・ (>_<)


 ★来週は、勝手ながら、連休につきお休みとさせていただきます。
  私も父親業として、我が子の運動会に参加せねばなりません。(^_^;)

 ではまた、再来週♪

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 ◇ 次回予告
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        ▼ 労働生産性をみよう!(施工編) ▼
 
          〜生産現場は標準化できない?〜

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