<第44号> 実録!新築検査という仕事
2004.12.13

『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.044━2004.12.13━

《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                        〜第44号〜
  ◆家づくりは人生最大の「事業」
  ◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
  ◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
                    《発行部数2,489部》

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【もくじ】

 ・実録!建築検査という仕事
 ・今週のお勧めBOOKS
 ・今週のワンポイント・アドバイス
 ・編集後記
 
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
 取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

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 こんにちは。発行者の若本です。

 昨年、創刊準備号を用意して早一年経ちました。
 前年の1年間は、毎週コラムを更新していたお陰で、
 メルマガ発行もあまり苦もなく、ほぼ毎週発行することが出来ました。
 読者の方々に感謝です!(^o^)

 自分のホームページでコラムを書いても反響はイマイチ・・・。(-_-;)
 しかし、メルマガはすぐに反応があるので、こちらも励みになります。
 これからも私の発信する情報が、皆さんのお役に立てれば幸いです。

 では、今週も最後までお付合いください。

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  ▼実録!建築検査という仕事  〜欠陥被害に遭った消費者たち〜
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 先週、東京に出張してきました。
 欠陥住宅の調査業務です。

 この頃、欠陥住宅の質が変わってきたようですね。
 相次ぐリコール隠しや医療事故、不祥事などと同様、
 これまでは表沙汰にならなかったものが表面化しています。

 「欠陥住宅」といえば、これまでは明らかに“欠陥”と分かる建物でした。
 カビだらけで異臭のする建物や、ビー球が一斉に転がる床、
 テレビ局のレポーターが「えーーーっ!」と絶句するような建物・・・

 欠陥住宅が徐々に社会問題となり、
 2000年に『住宅品質確保促進法』(以下、品確法)が施行されました。

 雨漏りや構造体の瑕疵(隠れた欠陥)に対して、
 施工業者は10年間の無料補修をするように義務付けられたのです。

 この法律の施行により、戸建て住宅でも地盤調査をし、
 瑕疵保証を行うための検査を実施するケースも増えてきました。
 前記のような明らかな欠陥住宅は減少傾向にあるようです。

 しかし、最近では専門家でも
 ちょっと見ただけでは分からないような欠陥住宅が増加しています。
 瑕疵保証の第三者検査が入った建物までも・・・  (>_<)


       ●-------------------------
          新築住宅を建替え?
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 土地価格の下落や相続の発生、社有地の放出などによって
 都市中心部にも、お値頃価格で戸建て住宅用地が売り出されています。

 多くは、それまでの広い敷地をいくつかに分け(分筆といいます)、
 「建売り」や「建築条件付き」の土地として販売されます。

 なぜ、広い敷地を分けるのでしょうか?
 それは、建物をセットして買いやすい販売価格にするためです。

 「2割程度の頭金を用意できれば、
  それまでの家賃並みの返済金額で、
  土地付きの戸建て住宅が買えます!」という設定です。

 このような土地は、住宅密集地であることが多く、
 火災の被害を最小限に抑えるため、準防火地域指定などがされています。

 また土地が狭く、販売コストを抑えるためにも、
 木造の三階建て住宅が徐々に増えてきているのが現状です。

         ▽ ▼ ▽ 

 東京都郊外の閑静な住宅街、
 4人の男が旅行用のスーツケースを転がしながら
 7棟の建売り分譲地に到着しました。

 彼らは、建築検査の検査員です。
 スーツケースの中には、検査道具一式がぎっしり。

 7棟の建物は、1年前に新築で販売された建売住宅でした。
 準防火地域に建てられた木造三階建てです。

 検査員たちは、その中の1棟のお宅のインターホンを鳴らします。
 玄関口に出た奥様の案内で、リビングに通されました。

 簡単な挨拶の後、相談内容を確認します。

 「今年6月の集中豪雨で、キッチン出窓の雨漏りに気づきました。
  直してもらったのですが、相次ぐ台風でまた雨漏りがひどくなるのです」

 話を聞いてみると、小さな補修はいくつかしてもらったようです。
 駐車場の土間コンクリートのひび割れや、室内の結露も気になります。
 「別のお宅でも数軒は同じような症状が出ている」とのこと。

 ひと通り、施主自身が感じている不安や不具合を聞いた後、
 男たちは手際よく検査道具を組み立て、それぞれ分かれていきます。

       ●------------------------
         残念です!欠陥です
       -------------------------●

 検査に入る前には、事前に設計図書などを入手します。
 相談者の相談内容を元に、瑕疵の原因を想定し、
 いくつかの調査ポイントをピックアップしていきます。

 木造三階建ては構造計算書も添付しなければならないため、
 準耐火構造の仕様書も含めて、設計図書の厚みはかなりのものです。
 地耐力調査の結果、地盤改良した記録も添付されています。

 男たちが調査した結果、

 ▼耐力壁が、構造計算上の壁倍率に達していないこと
  (=壁下地にあるべき構造用合板が一部未施工)
 ▼外壁や床、階段などが、準耐火構造の基準に満たないこと
  (=材料の厚みが足りない)
 ▼断熱欠損があり、壁内部で結露を起こす可能性が高いこと
  (=断熱材の施工不良)

 など、数多くの瑕疵が見つかりました。
 それも7棟、全棟です。 (>_<)

 雨漏りの原因は、窓周りの防水テープの施工不良が考えられるものの、
 目視による『非破壊検査』では、施工業者に突き付ける証拠にはなりません。

 しかし、上記の瑕疵判定で、十分施工業者と談判できる証拠が揃いました。
 この瑕疵を直し、本来あるべき性能の住宅にするためには、
 全ての床・壁を剥がし、骨組みまで現わす必要があります。


 検査員のリーダーが施主に伝えました。

 「残念ですが、欠陥住宅です。
  少なくとも数ヶ月引越しをし、大規模な補修が必要です。
  むしろ建替えた方がいいかも知れません。」


 建物は、第三者機関の瑕疵保証付き住宅でした。
 仲介をした会社は棟ごとに違うものの、大手や中堅不動産会社です。

 新築で入居し、1年しか経たないのに引越しを余儀なくされるのです。
 これから、住人と調査を行なった検査機関で証拠を整理し、
 施工業者や販売業者との直談判に備えていきます。

 断固戦いに勝利するつもりで臨まなければなりません!

 ⇒ 次回に続く

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            ▼今週のお勧めBOOKS
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 若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。


●間違いだらけのハウスメーカー選び<3> 50社本音評価

                    市村 博 著  [広済堂出版]
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 ↑大手ハウスメーカーの外注設計事務所として、千棟を超える住宅を設計し
  現在、ハウスインスペクターとして活躍する著者が、主要な住宅メーカー
  やフランチャイズの住宅会社を第三者として評価した本。

  会員制のネット住宅相談も手掛けており、インターネットで購入できる
  『市村博の「ネット相談実例集」』は、実際の相談例をメーカー名を出
  して紹介しています。ハウスメーカーで家を建てる人は必読です。

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 私もよく利用しています!! (^_-)<☆


     ┏□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┓
        ▼今週のワンポイント・アドバイス
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 以前の欠陥住宅は、明らかな手抜きで、業者側の多くは確信犯でした。
 しかし、品確法が施行され業者側の責任が重くなりました。

 わずかな利益を余分に抜くために、わざわざ手抜きで建物を完成させても、
 欠陥が発覚すると割に合わないため、悪徳業者は減ったと考えられます。

 今、わざわざ材料と職人を調達し、欠陥住宅を建てたい会社はないでしょう。
 それなら、オレオレ詐欺やオークション詐欺など、
 電話やインターネットだけで済む方法を考えるほうがきっと楽です。

 しかし、まじめに現場で汗をかき、
 地域で歴史ある会社でも欠陥住宅と無縁ではありません。

 新しい建材や工法が次々と出てきて、
 価格競争が進むと、従来経験していない現場に遭遇します。

 広い敷地の二階建て住宅しか建てたたことのない工務店は、
 準防火地域の木造三階建ての規制や仕様まで詳しくないかも知れません。

 残念ながら設計事務所も同様です。
 建築確認が下りていても、果たして実際にその通り施工されているか、
 工事中の検査が大変重要になってきました。

 欠陥住宅は、『無知』や『未熟さ』によるものがほとんどです。
 設計や施工した本人たちにはその自覚がないのです。
 中間検査で気づいても後の祭りです。

 「社長、これ直しておいた方がいいですか?」
 「いくら掛かると思っているんだ!完了検査は受けずに引き渡そう!」

 結局、役所の検査済証がなく、知識のない消費者に引き渡されます。(-_-;)

 だから、入居して欠陥が分かって『瑕疵検査』を受けるよりも、
 新築着工前に、第三者の工事検査の契約をお勧めします。

 書類手続きだけの「仲介手数料の3%+6万円」よりも、
 将来に渡ってはるかに安心感のある「建築検査」が
 もっと一般消費者に普及してしかるべきだと私は思います。

 では、今週のワンポイントアドバイスです。

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆

 1.欠陥住宅の質が明らかに変わってきている

 2.特に、狭小地の三階建て住宅は注意が必要

 3.第三者の建築検査は当初予算に組み込んでおこう!

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆


■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clum/vol_45.htm

  ↑コラム『欠陥住宅をなくすには』
  (若本が書いたコラムに関連知識を載せています)


【 編|集|後|記 】

 住宅の新築にはさまざまな諸費用が掛かります。
 仲介手数料や登記費用、火災保険や団信保険、ローン保証料など・・・

 不思議と、建物自体に欠陥が内在しているとは誰も考えません。
 しかしいざ新居が欠陥と分かったら・・・
 火災保険も地震保険もカバーしてくれません。(-_-;)

 数年間業者と争い、泣き寝入りや引越しなど
 精神的・経済的負担は半端ではありません。

 10年間の瑕疵保証も、おざなりの補修でごまかされる可能性もあります。
 一般消費者では、瑕疵の原因追及や証明はまず困難です。


 今回の東京出張で、業者との直談判にも立ち会いました。
 東証一部上場の中堅ゼネコンが相手です。

 中層の賃貸マンションオーナーの相談依頼で、
 長年、業者側が「経年劣化です」と言い続けていた根拠が崩れました。

 築16年のマンションながら、
 ゼネコンの構造部門の副部長まで呼び出し、非を認める結果となりました。

 「技術者の誇りをかけて、この施工が正しいと断言できますか?」

 詰問され、さすがにゼネコンの技術魂までは捨てられなかったようです。
 営業会社であれば、平気で言い逃れをしていたかも知れませんが・・・

 別の係争案件では、築12年の建売住宅7棟の建替えが決定しました。
 検査により証拠を固め、業者側の負担で全て建替えることになったのです。


 欠陥の問題は、会社の規模や知名度に全く関係がありません。
 交通事故と同じく、全ての人が遭遇する可能性を持っているのです。

 私が500社以上の工務店を見てきた中、
 上位5社に入るような会社の社長と先日お会いしました。
 地元でも信頼があり、高級な住宅を建てることで有名な会社です。

 「去年、設計事務所から人を入れたが、
  変わった屋根の納まりを設計するものだから、雨漏りで大変だよ!」

 施主の要望を聞き、設計の腕を振るった結果がこの始末です。 (-_-;)

 『設計事務所が監理で入るから安心!!』ということはありません。
 逆に技術を知らず、欠陥のリスクの高い設計をするケースの方が多いのです。

 「施工技術が未熟だから」といえばそれまでかも知れません。
 しかし、個人の住宅にリスクの高い方法を選ぶ必要があるでしょうか?
 消費者自身がそのリスクを承知で頼むとは考えられません。

 意匠(デザイン)ばかりを追わないよう心掛けましょう!
 最終的に責任を負わされるのは施工業者と施主なのですから。 (>_<)

 ではまた、来週♪

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 ◇ 次週予告
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          ▼ 実録!住宅営業の現場 ▼
 
          〜使命感を間違えた戦士たち〜

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 ▼ 家づくりのトータル支援サービス『住宅CMサービス広島』
   http://www.cms-hiroshima.com/
 ▼ 不動産・住宅取得の学習サイト『住まいのキホン・ドット・コム』
   http://www.sumainokihon.com/
 ▼ 住宅にユニクロ方式の生産システム『セルフ・ビルド・プロジェクト』
   http://www.koukoku-ya.com/sbp/index.html

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