<第60号> 断熱性能と光熱費の関係
2005.07.04

『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.060━2005.07.04━

《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                        〜第60号〜
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【もくじ】
 ・断熱性能と光熱費の関係
 ・今週のお勧めBooks
 ・今週のワンポイント・アドバイス
 ・編集後記
 
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
 取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

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 こんにちは。発行者の若本です。
 今年は戦後60年を迎えましたが、私のメルマガも60回目の発行です。

 まだまだネタはたくさんあるので、まずは100号を目指します。(^o^)丿
 ブログでも、工事中の状況や身近な情報を発信しています。

 今週末、急遽『構造見学会』を行なうことにしました。
 何故かって・・・?

 わが社のサービスをご利用いただいているお客さまのお宅を建築中ですが、
 先週末、断熱検査を行った時、建物の中がとても心地よかったからです。
 まだ、大工さんもいてユニットバスの据付をしているような現場です。
 もちろん、エアコンどころか内装下地のプラスターボードも貼っていません。

 しかし、意外なほどなかなか快適だったのです。
 その秘密はブログで・・・(笑)

 ⇒ http://esumai.livedoor.biz/

 では、今週の本文の始まりです。 

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 ▼断熱性能と光熱費の関係 〜住宅の冷暖房負荷シュミレーション〜
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 先週のメルマガでは、ライフサイクルコストについて紹介しました。
 光熱費については、今週、具体的な事例紹介のお約束でしたね。(^O^)

 多くの住宅会社や建設会社は、
 引渡し後に施主が負担するコストには「無頓着」といえます。

 出来るだけ自社の売上に貢献できる「建設コスト」に、
 お客さまが用意できるだけのお金を投じて欲しいのが本音です。

 それは「この工法だったら省エネにつながりますから・・・」
 と、高気密・高断熱を熱心に勧める工務店も例外ではありません。

 確かに、入居後の光熱費は少なくて済むでしょう。しかし、
 その分(以上かも?)、工務店側に建築コストを積むことになるのです。
 太陽光発電システムなども同様です。

 私自身、住宅会社をコンサルティングしていて
 一番顕著に感じたのが、『賃貸物件の建設』です。

 賃貸は、光熱費がどれほどかかるのか、
 発注側の家主も施工者側もほとんど関心ありません。

 「熱源? プロパンなら工事費もタダだから、プロパンでええよ!」
 「光熱費はどうせ入居者が払うんだから、家賃を抑えて利回りが大切!!」

 プロパンガスは、田舎では身近ですが、
 とっても不透明な料金体系で、都市ガスや電気に比べて割高です。

 建築時に設置さえしておけば、継続的に儲けさせてくれるため、
 最初の工事費はタダでもいい訳です。紹介手数料さえ用意します。(-_-;)

 建築コストも光熱費も、結局はすべて住む側の財布から出て行くのです。
 少なくとも施工業者や設計者、家主の懐は痛みません。
 だから、施主自身で自己防衛することが大切です。

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          Mさんの家づくり
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 大手自動車メーカーにエンジニアとしてお勤めのMさんの家づくり。
 競争入札に4社の工務店が参加し、その中の一社に内定しました。

 当初、一般的なロックウールによる充填断熱の見積でしたが、
 その工務店は外断熱工法に積極的で、過去の実績もかなりあります。

 「日本の住宅の耐用年数が短いのは、壁の中の結露もその一因です!」

 工務店の社長が、C値やQ値などの住宅の性能を現わすデータを持ち出し、
 外断熱工法の性能の良さをPRし始めた途端、Mさんの気持ちが動きました。

 エンジニアとしての興味が、自分の家づくりにも膨らんできたのです。

         ▽ ▼ ▽ 


 「社長、外断熱がよさそうだということは理解できました。
  だけど、快適だとか耐用年数が延びるとかだけでは判断できません。
  できるだけ、数値に置き換えて判断できる材料を提供してもらえませんか?」

 Mさんも将来の光熱費が少なくて済むのであれば、
 外断熱でコストアップしてもいいと思い始めました。

 しかし、建築業界独特の数値を持ち出されてもチンプンカンプン(?)です。

 実際、建物のスキマを計測する「C値」や断熱性能を示す「Q値」の数値
 をいくら並べられても、一般消費者にはピンとこないでしょう。

 「音が30デシベル低減できる」とか、「フローリングの遮音性能がL45
 だから、階下にあまり音が伝わらない」といわれても、専門的過ぎますよね。

 Mさんは、金銭に置き換えてどちらがコストパフォーマンスに優れているか
 判断したいと、工事価格に併せて、光熱費シュミレーションも求めたのです。

 つまり、C値が5から1になることで、
 いくらの建設コストのアップになり、1年間の光熱費がどれだけ助かるのか?
 そして、その投資コストが何年で回収できるのか・・・?

 実に緻密です。

       ●----------------------
          松・竹・梅 ?
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 注文住宅は、いくつもの組み合わせの中から仕様を選ぶことができます。
 組み合わせによって、コストも性能も変わってきます。

 例えば、グレードによって「松・竹・梅」のように
 各住宅会社が『標準仕様』をつくっているのが一般的なのです。

 本来なら、消費者自身がグレードを選べればベターでしょう。
 しかし、この点が不透明で、各社が「当社の仕様が最高です!」というため、
 消費者はますます混乱してしまいます。

 一般に売られている書籍を見ても、特定の工法のみすばらしいと讃えられ、
 他の工法は欠陥だらけで住む価値もないような書き方さえされています。

 「外断熱が最高なんだけど、予算がないならグラスウールで・・・」
 「太陽熱を有効に利用したいけど、補助暖房も要るから普通の家でも・・・」

 当初、あれほどまでに自社の取組む工法が最高だと説明していたのに、
 受注のためなら、ポリシーを捨てる会社も少なくありません。
 何だか極端ですよね?

 「グラスウールの充填断熱で建てると室内の温度差が激しく、
  健康被害まで起こる」というような話をさんざんされた挙句の果てに、
 「予算がないから元に戻しましょう」って言われて納得できますか・・・?

 Mさんも、最初はロックウールと外断熱で比較を受けました。
 グレードで言うと「松」と「梅」でしょうか。
 (あくまで、施工会社内のグレードです)

 明らかに性能数値では「外断熱」に軍配が上がります。
 ちなみに、提出された数値を以下に比較してみます。

 【 条件 】
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 ●工法 ・・・ 在来軸組工法
 ●床面積・・・ 39.6坪
 ●設計温度
  <暖房>・・ 18度 (燃料単価22円)
  <冷房>・・ 27度 (  同 上  )

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 1.外断熱(40ミリ)+樹脂サッシ+基礎厚追加+輸入換気システム

    ▼上記に掛かる工事金額=332万円
    ▼年間の冷暖房費=108千円(月額約9千円)

 2.充填断熱(100ミリ)+アルミサッシペアガラス+国産換気システム

    ▼上記に掛かる工事金額=144万円
    ▼年間の冷暖房費=148千円(月額約1万2,300円)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                   ※ 照明や家電の電気代などは別途

    <<工事費差額>>=188万円 (工事費アップ=4.7万円/坪)

    <<年間冷暖房費差額>>=4万円 


    投資を回収する期間/ 188万円÷4万円=47年 (@_@)
                         ~~~~~~~

 1月の暖房負荷はかなり差があり、光熱費も約1万円の差が出ています。
 しかし、夏の7月は大差なく、2千2百円程度の差額です。
 1年を通じて、暖房も冷房も使わない月がないという設定のデータです。

 実際には、冷房も暖房も使わない期間はありますし、
 使っていない居室はほとんどエアコンを切っているでしょう。

 最も寒いときの1万円の差が消費者にはインパクトが強いかも・・・?
 業者側のセールストークも、最も効果のあるときになりがちです。

 結局、Mさんは、断熱性能的にはこの中間(つまり「竹」)で、
 コストパフォーマンスの高い、現場発泡ウレタンで断熱施工をしました。

 もちろん、ここでもシュミレーションしたのはいうまでもありません。
 気密性能が高く、数値的には外断熱と遜色がありませんでした。
 しかも、外断熱よりおよそ130万円ほど安かったのです。

 注)私は、理由なく特定の工法や仕様を薦めることはしません。
   施主が選択するための判断材料を提供し、納得の上選んでいただきます。
   それが、住まいづくりコンシェルジェの仕事です。 (^_-)<

 ⇒ 次回に続く

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            ▼今週のお勧めBOOKS
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 若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。

 ●この本を読んでから建てよう   山本順三 著  [成甲書房]

 http://esumai.livedoor.biz/archives/23526862.html

 ↑この本も、他の工法を批判した内容になっていますが、消費者自身が
  家づくりをスタートさせたとき、判断材料となる一冊です。

  私も今年5月に実際に著者に会い、事務所にも立ち寄ってきました。
  直接会うこと、そして実際に体験することが一番です。

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┃若┃┃本┃┃の┃┃本┃┃棚┃今週のお勧めBOOKSが本棚になりました。
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   ↓  ↓  ↓
 http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/books2.htm
 アマゾン・ドット・コムですぐに書籍が購入できます。
 私もよく利用しています!! (^_-)<☆


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          ▼今週のワンポイント・アドバイス
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 一般的に、住宅会社や工務店は他社との差別化を求めます。
 価格競争に巻き込まれず、自社優位に商談を進めるためです。

 しかし、自動車で考えると、最高級車か軽自動車しか扱っていないような、
 そんな印象を私でさえ受けます。「断熱」しかり「自然素材」しかりです。

 そして、その高級仕様のスペックについて、各社基準がマチマチで、
 「自社の仕様こそベストだ」と主張されるので、消費者は、
 結果的に「熱意」や「印象」で決めているのが実態ではないでしょうか?

 「坪単価25万円!」というワンプライスも駆け引きの余地がないので、
 明快かも知れません。誰から買っても同じなので、誰でも売れるのです。

 でも注文住宅は、施主がスペックも価格も選べることがメリットです。
 もう少し価格と仕様のバリエーションを提供できてもいいでしょう。
 パソコンを買うときだって、携帯電話を契約するときだって同じですよね。

 なぜか、住宅展示場も最高級の商品しか展示していません。(-_-;)
 工務店も最高級かローコストしか説明しないところが多いようです。

 自動車の品揃えや価格帯は、消費者が自ら選べる幅が広くなっています。
 しかし、より高額な住宅が「オーダー」なのに選べる余地が少ないのです。
 本当におかしな業界といえます。

 では、今週のワンポイントアドバイスです。

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆

 1.多くの住宅会社は、自社の受注金額に最も関心がある。

   ⇒お引渡し後に施主が負担する附帯工事や諸費用、光熱費には無頓着

 2.建築コストも光熱費も、結局消費者の財布から出て行くお金

   ⇒売る側の説明だけではなく、別の情報源、データを入手しよう!

 3.施主に比較検討の自由と、複数の選択肢を取り戻そう!

   ⇒根拠の乏しい「快適性」や「不安感」に惑わされない

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆


【 編|集|後|記 】

 先般、住宅金融公庫とハウスプラス中国住宅保証のセミナーに参加しました。
 フラット35に『優良住宅取得支援制度』が出来たということです。

 省エネ性能、耐震性能、バリアフリー仕様に関して、
 住宅性能表示制度に基づく一定等級をクリアした住宅に、
 当初5年間、金利が優遇されるという制度です。

 ★詳しくは住宅金融公庫のホームページ
 ⇒ http://www.flat35.com/document/backup_01.html

 いわゆる『キャンペーン金利』と呼ばれる
 施主にリスクのあるローンではなく、技術基準に照らした検査も行われます。

 各企業が勝手な基準で「耐震性能」とか「高断熱」を謳っているのではなく、
 国土交通省の基準により、設計のチェックと工事中の検査が第三者の機関に
 よって行なわれます。

 これから住宅ローンを検討している方は、チェックしておきましょう。
 今年6月から全国5千棟限定、先着順のようです。
 
 ではまた、再来週♪

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 ◇ 次号予告
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          ▼ 住まいの防犯を考える ▼
 
          〜住宅のセキュリティ対策とは〜

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