『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.023━2004.06.21━
《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第23号~
◆家づくりは人生最大の「事業」
◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
《発行部数2,266部》
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【もくじ】
・欠陥住宅を考える
・今週のお勧めサイト
・お勧めBOOKS
・今週のワンポイント・アドバイス
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、中小企業診断士を取得して、
200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた実戦派コンサルタントが、
家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。
どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。
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こんにちは。発行者の若本です。
今年の「父の日」も終わりました。
わが家の長男(7歳)から手作りのお守りを、
次男(5歳)からは「いつもありがとう」と書かれた似顔絵を
プレゼントしてもらいました。
感謝の気持ちは、何歳になっても持ち続けたいものですね。
もちろん、私も脳梗塞で片麻痺になってしまった父親に感謝いっぱいです。
家を計画し始めるのも、子供が幼稚園か小学校の頃が大半だと思います。
「今の生活」だけをイメージするのではなく、
5年後に必要な部屋、不要となるもの、15年後の家族構成など
ライフステージを考えたプランニングが欠かせません。
子供たちはいつまでも家に住み続けるわけではありません。
家族の身体機能も変わるかもしれません。(病気やケガなど)
しかし、十分練られたプランでも、
施工上の不具合を起す可能性は否定できません。
あれほど厳格な品質管理をされているはずの自動車でさえ
予期せぬ欠陥が数多く内在していること、
そして企業の隠ぺい体質を皆さんは目の当たりにしたはず・・・。
今回は、欠陥住宅に関して考えていきます。
では、今週も最後までお付合いください。
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▼欠陥住宅を考える ~なぜ欠陥住宅は起こるのか?~
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よく「予算がないと手抜きが起こる!」
というようなことを言われます。
だからローコスト住宅は、どこかに手抜きをしているのだと・・・
私は、必ずしもそうとは思いません。
思い浮かべて下さい。
仕事の能率の悪い社員、片付けの苦手な奥さん・・・
あなたのまわりにも一人や二人はいるではないでしょうか。
いくら効率の良くなる道具を与えても、劇的に変わることはありません。
じゃあお金を与えたら・・・
時間をたっぷり与えたら・・・
どうでしょうか・・・?
予算や工期の問題ではないのです。
もともとだらしない人や要領の悪い人、効率を考えない人は、
本人が望むような条件を与えても、いい仕事は出来ないのです。
逆に本当に腕の良い職人は、
与えられた予算、納期の中で創意工夫をします。
手間を掛けずにきれいに納まる方法を考えて実行できるのです。
条件が厳しければ、知恵を働かせるのもいいでしょう。
「競争力」というのも、厳しい条件によって培えるものです。
企業も、職人も、設計者も同じだと、私は考えます。
「予算がないから・・」
そんな言い訳をした時点で、腕や実績を見なくても、
その会社や職人の力量が自ずと知れるでしょう。
設計者も同じなのです。(「強調するな~」って?)(^_^;)
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建築業界の人材育成
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「何やってんだ? 材料が違うだろう!」
社会人1年目の現場監督は、現場で洗礼を受けます。
上司や先輩ではなく、大工や職人からの一喝です。
学校で習った知識はほとんど役に立ちません。
教科書の用語ではなく、独自の現場用語があるのです。
職人たちは、新人がどのくらいの知識があるのか、様子を見ます。
プラスターボードを運び、ゴミ掃除をして
職人たちにジュースを買ってくる・・・
まずはそんなことしか出来ません。
職人に指示をするどころか、職人の手先です。
「材料が足りないぞ!買ってきてくれ!」
職人に買いに行かせるわけにはいかないので、
自分でホームセンターや建築金物屋に買い出しに行きます。
こうして、多くの現場監督が職人に育てられ、
先輩面をしながら、後輩の指導をしていきます。
しかし、必ずしも正しい指導(施工方法)とは限りません。
従来からやっている施工方法を踏襲していくのです。
専門書で正しい施工方法を勉強する監督は残念ながらわずかです。(-_-;)
私は東京でも3年間現場監督をして、東北の職人とも仕事をしました。
いろいろな地域、規模の現場監督にも話を聞いたので
どこも大差がないだろうと思います。
(例外はどの業界にもありますが・・・)
ですから、「社内の現場監督に厳密な住宅検査が出来ない」というのは
残念ながら多くの場合、当てはまるでしょう。
でも現場で職人と納まりを考え、指示したことのない「図面屋さん」が、
例え一級建築士であっても、現場の手抜きやごまかしは見破れません。
じょうずに隠した経験があるからこそ、見るポイントが分かるのです。(^^ゞ
※決して瑕疵を隠ぺいしたと同意語ではありません。m(_ _)m
▽ ▼ ▽
従来の建築業界は徒弟制度がありました。
棟梁や親方が一人前と認めて、ようやくまともな材料を扱えます。
道具の手入れから、現場のマナーまで体で覚えさせられます。
教えられるのではなく、先輩から盗み取るのが原則です。
しかし、戦後の住宅不足で、半人前であっても、現場に駆り出され、
相応の日当を稼げるようになりました。
仕事の能率や腕には関係なく、
ただ頭数が揃って、工事が前に進めばいい・・・
そんな職人不足からプレファブリケーションの住宅が生まれました。
開発したのは繊維の会社や樹脂、化学の会社などです。
大手家電メーカーや自動車メーカーまで参入しました。
(いまだに別会社にしていない「兼業」の会社も多いですね!?)
家の構造躯体や、建物自体の性能には全く関係のない業界からの参入です。
建設業からは、大手ゼネコンが1社だけが、
コンクリートパネルの住宅を現在でも供給しているくらいでしょう。
そうです。パ●コンですね。(^_-)<☆
木材やコンクリートは完成直後から少しずつ強度が増します。
それから数年経って、穏やかに強度が落ちていきます。
建築物に使った場合の経年変化も職人たちは感覚的に知っています。
しかし、鉄や樹脂などは、工場出荷時点が最高の品質です。
建物として完成しさまざまな自然環境でどのように劣化するのか・・・
職人たちも開発メーカーもほとんど経験がありません。
しかし構造材だけでなく、断熱材も仕上げ材も
ほとんどが工業製品に変わっていきました。
熟練度の低い職人でも施工しやすいように開発された工業製品が
職人のレベルを落とし、結果的に職人の嗅覚も奪う結果となったのです。
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建材小売業?
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欠陥住宅というのは、ほとんどが現場での小さなミスから生まれます。
悪意を持って、欠陥住宅をつくろうとしている会社はないハズです。
(お金と手間を掛けて欠陥住宅をつくっても誰も得をしませんから。)
「悪意」ではなく、「知識」がなくてつくっているケース
「予算」ではなく、「監理」がなくてつくっているケース・・・
それは、あまりにも新しい建材や工法、素材が次々と開発され、
知識が追いつかないまま、現場に材料が届けられているということも
一因といえるでしょう。
ミスが生じるのは、慣れた頃です。
あまり考えずに単純作業になったり、分業化されると
ミスを起こしたり、責任の所在が曖昧になりがちです。
一本一本、癖のある木材をどう加工し、どこに使用するか・・・
自分たちの経験と知恵で材料と向き合っていた頃には、
欠陥にまで至るミスは少なかったに違いありません。
しかし、今は簡易な材料が届けられ、
頭を使わずとも、建材の取り付けが可能で、
住設機器を据え付ければ「住宅」は完成してしまいます。
職人が下ごしらえをしながら
きちんと能力に応じた手間を評価する時代ではなくなりました。
自分たちで段取りをしないから、取り付け方法も考えていません。
「これ、どうやって取り付けるんだぁ?」
現場に届けられた材料の梱包をあけて
現場監督を叱りつけることで、ストレスを発散し、
少しだけ自分の地位が上がったと勘違いする職人も少なくありません。
「学歴や資格はあっても、現場じゃ役にたたん奴だ!」
「俺は、腕だけで20年メシを食ってきているんだ!!」
見積も、建材メーカーから仕入れる単価に粗利を乗せて販売し、
申し訳程度の取り付け賃を見積ります。
しかも、メーカーが責任施工までする建材も増えてきました。
技術者や熟練した職人は必要なく、
建材を販売する販売員とメーカーに発注する仕入れ担当者がいれば
住宅が建ってしまうという時代になりつつあります。(-_-;)
まさに、建材の小売店化、『建設業』ではなく『販売業』です。
こんな住宅会社、工務店も増えています。
現場でのミスを見逃す温床が、ますます広がっているのです。(>_<)
⇒次週に続く
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▼今週のお勧めBOOKS
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若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。
●折り込みチラシで見分ける 買っていい家わるい家。
堀 清孝 著 [ネコ・パブリッシング]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4777050483/cmshiroshima-22
↑今週のお勧めサイト『住まいの水先案内人』堀清孝氏が書いた書籍。
技術者なので少し専門的ですが、土地契約する前にこれ一冊は読んで
おきたいですね。第一章「間取りで判断する危険な住宅」は即効果あり。
特に三階建てを検討中の方は必読です。
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┃若┃┃本┃┃の┃┃本┃┃棚┃今週のお勧めBOOKSが本棚になりました。
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アマゾン・ドット・コムですぐに書籍が購入できます。
私もよく利用しています!! (^_-)<☆
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▼今週のワンポイント・アドバイス
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欠陥住宅は、住宅業界の構造的な問題です。
建築基準法などの法律で簡単に変えられるものではありません。
本当は、現場で働く技術者のモチベーションを高めることです。
▼「職人たちは見ていないと手抜きをする!」
というのではなく、
▼「職人たちがやる気になるにはどうしたらよいか?」
ということを考えてあげることが必要です。
彼らもいい仕事をして、施主に感謝されることが喜びなのです。
父の日に我が子に感謝されて嬉しいように、
お金だけでなく、人から感謝されるのは、誰だって嬉しいですよね!!
でも、どうしても知識不足でミスもします。
ミスを見つけて叱るのではなく、正しい施工方法を指導し、
今後ミスのないように育成する仕組みも業界として必要です。
過ちを非難するのではなく、改善しレベルアップを促す仕組み・・・
また、欠陥が発生して対処するのではなく、
欠陥を予防する仕組み・・・
▽ ▼ ▽
鳥インフルエンザの問題も、
予防接種など、予防対策をしていたら
あれほどの騒ぎにもならず、被害額も少なくて済んだでしょう。
住宅も同じなのです。
技術レベルよりもシステム(制度や仕組み)が必要です。
そのひとつとして、『住宅性能表示制度』ができました。
運用次第で、お客様にも業者側にも喜んでもらえる制度。
業者を取り締まる法律ではなく、住宅の品質を上げるための制度です。
この制度が消費者にも分かりやすい小冊子とビデオになりました。
メルマガ読者の方に、先着20名様に限り送料無料で差し上げます。
●これでもう安心!!『住宅性能表示制度』~夢のマイホームへ 強い味方~
サブタイトル:《欠陥住宅のトラブルに巻き込まれないために》
監修:日本建築検査研究所 提供:国土交通省住宅局住宅生産課 (非売品)
■お申込み⇒ http://www.cms-hiroshima.com/video_kensa.htm
【 編|集|後|記 】
先週、東京に出張しました。
バブルの頃、江戸川区や葛飾区に住んでいたので
地下鉄やJRなどの乗り継ぎはおおよそ覚えていました。
それにしても、「スイカ冷えています」・・・!?
んんっ・・? あっ、「スイカ使えます」かぁ!
JR駅で、「スイカ」のPRをしていたのには驚きました。
もちろん本物のスイカ(西瓜)のことではありませんよ!
その昔、「E電」に驚いたことを思い出させます。
田舎では考えられないネーミングですね(笑)
★。、:*:。.:*:・’゜☆。.:*:・’゜★。、:*:。.:*:・’゜☆。.:*:・’゜★
これからの住宅ローン制度や小口不動産の証券化など
このたびの出張で、これまで建てるだけでよかった住宅業界に、
大きな変革が押し寄せてきているということも再認識させられました。
家族の「住まい」というだけでなく、日本の経済や個人の資産形成に
住宅業界が考えなければならない多くの課題があります。
また時期が来たら分かりやすく紹介したいと思います。
では、また来週♪
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◇ 次回予告
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▼ 建物の資産価値 ▼
~スケルトン・インフィルとは~
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●このメルマガでは、
『住宅コスト削減術』や『業者選びのコツ』、『欠陥住宅を防ぐ方法』
から『住宅ローン攻略法』まで、生涯にわたって豊かさに影響する
住居費のコントロール方法を週刊で提供していきます。
【発行者が携わっているサイト】
▼ 家づくりのトータル支援サービス『住宅CMサービス広島』
http://www.cms-hiroshima.com/
▼ 不動産・住宅取得の学習サイト『住まいのキホン・ドット・コム』
http://www.sumainokihon.com/
▼ 住宅にユニクロ方式の生産システム『セルフ・ビルド・プロジェクト』
http://www.koukoku-ya.com/sbp/index.html
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