━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.051━2005.03.07━
《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第51号~
◆家づくりは人生最大の「事業」
◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
《発行部数2,553部》
【バックナンバータイトル一覧】
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⇒このバックナンバーであなたの家づくりの常識が変わります!!
気になるテーマを印刷して、是非ご夫婦でお読み下さい。
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【もくじ】
・住宅はクレーム産業?
・今週のワンポイント・アドバイス
・編集後記
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。
どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。
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こんにちは。発行者の若本です。
先々週、東京で開催されたシンポジウムに参加しました。
経済産業省の主催で、『第1回住宅産業関連ニュービジネス』という
住宅業界の新しい動きを紹介するものでした。
今話題のインターネット関連企業が既存メディアに対して
「ITと金融とメディアのコングロマリット」を仕掛けているように、
古い住宅業界の体質を変える新サービスが期待されているようです。
まずは、消費者エージェントのサービスの発表です。
欠陥住宅調査や新築検査の『日本建築検査研究所』を皮切りに、
不動産の達人『さくら事務所』や建築家コンペの『ウィークエンドホームズ』
関西から、住宅プロデュースの『ザウスコミュニケーションズ』に続きます。
続いて、工務店経営改革を進めるサービスが発表されました。
日本最大の建材卸、ジャパン建材がつくった『ハウス・デポ・ジャパン』に
旭化成の子会社で建材のネット販売『カーサナビ』、そして設計事務所が
分離発注に取組む『オープンネット』。
それぞれ個性的な経営者が、独自のサービスをPRしました。
シンポジウム終了後の懇親会では、それぞれの経営者とも情報交換です。
皆さんまだ課題はあるものの、私も大いに刺激を受けました。
■シンポジウムのようす(最前列の記者席のような場所での撮影です)
※各社のホームページリンクもあります。
⇒ http://www.cms-hiroshima.com/symposium_1702.htm
お互いがコラボレーションしていけば、大きな流れが生まれそうです。
私も数年先には、このような場でプレゼンできるサービスを目指します(^o^)丿
では、今週も最後までお付合いください。
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▼住宅はクレーム産業? ~クレームの根本原因を考える~
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住宅業界の人たちは、自嘲気味に「住宅業界はクレーム産業」といいます。
特に注文住宅は、完成したものを買うのではないので、
建った後で「最初にイメージしたものと違う」となることも多いでしょう。
しかし、多くは業者側の不注意で起こることがほとんどです。
問題なのは、そのことに業界側があまり真剣に対応していないことです。
「住宅業界はクレーム産業だからねぇ・・・」(-_-;)
これが当たり前だと思ってはいけません!
業界の「常識」が世間では「非常識」ということを、
住宅業界の人たちが真剣に受け止めなければ解決できないのです。
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『承認図』って?
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すでに家を建てた人は、施工者側や設計者から
どれほどの図面を受取ったでしょうか?
もしかして、確認申請用の設計図書だけという人もいるかも知れません。
その設計図に、コンセントやスイッチの位置などは記入されていますか?
ドアノブの色や、手摺りの取り付けの下地補強が指示されていますか・・・?
注文住宅の場合、工事の契約をした後にインテリアや設備など、
細かな仕様を打合せして決めていく場合がほとんどでしょう。
着工後に決めていくのは論外として、
契約以降、着工までにさまざまな打合せを重ねていきます。
会社によっては、営業担当者から設計やコーディネーターなどに引き継がれ、
設計図書にまとめ直されて、資材の発注がなされていきます。
最初の基本プランから、実施設計が行なわれる段階です。
そして最終発注の前に渡されるのが『承認図』です。
施主が「確かに私たちはこの設計・仕様で建てることを確認しました」
と、設計図書をひと通り確認し、判をついてOKを出すのです。
⇒もし『承認図』も提出されず、施主の了解もないまま
確認申請図書だけで、現場が着工されるのは問題です。
(実は、こんなことも少なくないのです・・・)
しかし、実施設計を「承認」して
その通りの家が出来たからといって、
「これが自分たちの承認した家?」ということもあります。
▽ ▼ ▽
工事中に何度も現場に足を運ぶIさんは、
どうも玄関ホールからリビングへの開口部が狭く感じて仕方ありません。
また、対面キッチンの垂れ壁が予想以上に天井から下がってきてて、
せっかく開放感を重視して対面にしたのに、狭苦しさを感じます。
工事中は、仕上がりに傷をつけないように『養生』を行なうため、
実際の仕上りよりも、有効寸法は狭く見えます。
しかし「バリアフリー仕様」で頼んだ開口寸法があるのだろうか・・・?
完成間近になって、開口部が想像よりも狭くなった原因が分かってきます。
当初、ドアだったリビングの入口を、引き戸にしたため、
部屋の電気をつけるスイッチの位置も変更になったのです。
スイッチをつけるための小さな壁分、開口部が狭くなっていたのです。
キッチンの垂れ壁は、工事中に吊戸棚の寸法を変更して代えてもらいました。
「あっ、変更をお願いしていたのに変わっていない!」
今度は、洗面化粧台の色・・・。コーディネーターには伝えたはずです。
「玄関まわりって、明かり取りの窓を頼まなかたっけ・・・?」
「ピアノの床補強は本当にしてくれたんだろうか・・・?」
現場に行くたびに、不安が増幅してきます。
あれほどワクワクした家づくりがストレスになってしまいました。
無事完成し、お引渡し時に不具合や補修も確認したIさんは、
見た目には立派な家なのに、愛着のわかない新居となってしまいました。
それは・・・
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プロとしての提案!
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住宅業界がクレーム産業と呼ばれるのは、建物の欠陥の問題ではありません。
「私たちは素人なので、なぜ事前に助言してくれなかったのですか?」
こんなケースが実はたくさんあるのです。
建物自体は設計図書通り、『承認図』のまま出来上がったとしても
施主は設計図自体をチェックし、完成イメージをつかむ能力はないでしょう。
入居し、新しい生活が始まって気づく使い勝手の悪さも、
必ずしも施主が設計上で納得して造られた訳ではないのです。
「もう少しスイッチがこちらの位置にあったら・・・」
「どうしてこの建具はこんな色のドアノブがついているんだろう・・・」
かなり詳細に打合せしたつもりでも、業者側の勝手な常識で、
思いもよらないところに、不恰好な機器が剥き出しにされることも・・・
▼吹抜けをつくったものの断熱の予算が割けず、寒くていられない家
▼輸入サッシを頼んだのに、納期が間に合わず勝手に国産サッシにされた家
▼「明るく」を希望したため、屋根のないバルコニーで洗濯物が濡れる家
設計図書と見比べても、工事のミスはありません。
確かに施主自身が「承認」した家です。
しかし、不満の残る家です・・・ (-_-;)
工事中の連絡体制の不備、打合せが現場担当に伝わっていない苛立ち、
徐々に施工者に対しての信頼が失われていき、入居後の使い勝手の悪さが
それまでのストレスを爆発させてしまいます!!
「私たちは、プロと見込んでお願いしたんです!」
クレームは、建物自体の不具合ではなく、信頼関係の問題だったのです。
クレームの根本原因を業者側が本当に理解し、対処しなければ、
この問題は永遠に解決しない問題です。
施主側が問題を解決できる方法はごくわずかです。
不満を抑え、あきらめること・・・ (>_<)
でもそれは決して、施主の望む方法ではないでしょう。
⇒ 次回に続く
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▼今週のワンポイント・アドバイス
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クレームの多くは、プロ側が情報共有することで、
避けられることがほとんどだと私は思います。
まずは打合せの記録をきちんとつけること。
その情報が、家づくりに携わる全ての人たちが共有できれば理想です。
設計途中の変更も、現場での手直しも、フィードバックされる仕組みです。
これを、『グループウェア』というITツールで
実現させていこうという試みもあります。
クレーム情報を登録し、未解決のものにはフラッグが立ちます。
フラッグが5つ以上、あるいは一週間以上対処していなければ、
『イエローカード』がコンピューターから出されるのです。
そして、そのうち『レッドカード』に・・・
多少遊び心がありながら、経営の最重要課題に「クレームの撲滅」を
意識させるのに、このようなツールは有効に使えそうです。
すべてのクレームの履歴とその対処方法もデータベース化されるのです。
問題は、住宅業界ではITアレルギーが多いのです。
「パソコンつついている暇があれば、見込み客のところへ行って来い!」
こうして手書きの記録も残さず、口頭だけで指示が伝わっていくのです。
では、今週のワンポイントアドバイスです。
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1.着工前に必ず『承認図』を確認しよう!
⇒(無い場合は論外!)
2.現場は承認図通りにしか進まない!
⇒(図面に記載なければ、現場の職人には伝わらない)
3.クレームは、『モノ』の問題よりも『信頼』の問題が多い・・・
⇒(プロ側が情報共有し、信頼に応える努力を!)
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■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clumn/vol_4.htm
↑コラム『住宅はクレーム産業?』
若本が書いたコラムに参考情報が載っています。
【 編|集|後|記 】
クレームにも程度の差が随分あります。
誰が見てもひどい施工や、設計図書と異なる工事がされている場合、
これは手直しが必要で、欠陥住宅が内在しているかも知れません。
これはクレーム以前の問題ですね。
しかし、設計図書通りに出来ていて、使い勝手が悪かったり
当初の要望に応えられていない場合は、建物の問題ではありません。
プロとしての能力や感情的な問題なので、当事者間しか解決できません。
昔、私がまだ現場監督だった頃、
建築家といわれる人の仕事をしたときのこと・・・
特注のカウンターがきれいに仕上がりました。
ウレタン塗装をして、ピンスポットが落ち着いた空間を照らします。
ナラの木目を生かした、クラシックなデザインです。
「思ったより少し濃いかなぁ・・・」
施主のそのひと言に、建築家も即座に反応しました。
「実は私も少し暗い感じがします」
「先生もそう思うかね・・・」
見本を提出し見てもらったのが、自然光の射す明るい建築家の事務所です。
実際に出来上がった空間は自然光を入れず、調光されたライトで照らされる
落ち着いた地下空間です。
「ちょっと監督さん!これ、少し薄くなる?」
(なるわきゃないだろ・・・) ※現場監督時代なので少しガラが悪い?
「う~ん。僕の考えていたのとちょっとイメージが違うね・・・」
(お前が承認した色だろう・・・)
このようなクレームで、何度も補修工事を行なって、
最後には会社に始末書を提出し、減額させられた苦い経験があります。
感性で言葉を発する建築家には気を付けましょう!(笑)
ではまた、再来週♪
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◇ 次号予告
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▼ 景観や街並みを考えよう ▼
~サスティナブルハウジングとは?~
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『住宅コスト削減術』や『業者選びのコツ』、『欠陥住宅を防ぐ方法』
から『住宅ローン攻略法』まで、生涯にわたって豊かさに影響する
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