2005.11.21 第69号
構造計算書偽造問題に思う ~あなたは良い業者を選べるか?~
『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.069━2005.11.21━
《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第69号~
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【もくじ】
・構造計算書偽造問題に思う
・編集後記
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。
どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。
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こんにちは。発行者の若本です。
最近、急に読者が増えたと思っていたら、
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読者が3千人を突破です!! (^o^)丿
新しく読者になっていただいた皆さん、宜しくお願いいたします。m(_ _)m
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>>> 『欠陥住宅を防ぐ7つの自己防衛策』 <<<
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では、今週の本文の始まりです。
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▼構造計算書偽造問題に思う ~あなたは良い業者を選べるか?~
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前回の編集後記を覚えていらっしゃいますか?
民間に開放された検査機関の『業務停止』の事例を取り上げました。
⇒ http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/BN_vol68.htm#01
このニュースは業界でも一部でしか話題になりませんでした。
しかし、先週、業界を揺るがすような大ニュースが飛び込んできました。
構造設計事務所による『構造計算書偽造』問題です。
分譲マンションやホテルなど、多くの人が利用する建築物で、
偽造された構造計算書が、民間の確認申請機関の審査で無事パスし、
震度5強程度の地震でも倒壊する可能性のある建物が完成したという話です。
今、分かっているだけで21棟(完成は14棟)というから、大変な状況です。
偽造した一級建築士の責任は無論のこと、
確認申請を受理した検査機関の責任も重大です。
結果としては、非常に悪質な行為を行なったことになりますが、
問題が発覚する以前に、この一級建築士が『悪徳業者』に見えたでしょうか?
いわゆる『欠陥住宅』の問題も、以前のような悪質業者の仕業ではなく、
普通にまじめにやっている身近な工務店や設計者が起こすこともあるのです。
それを、私たちは『事象なき欠陥住宅』と呼んでいます。
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よい業者とは?
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前書きで紹介した『欠陥住宅を防ぐ7つの自己防衛策』は、
悪質な業者を見極める方法や、欠陥を見抜く方法をまとめたのではなく、
相手に関わらず自己防衛することを目的にまとめたものです。
それは、まわりの評判で良い業者だと聞いていても、結果として
社会通念上必要な性能に満たない家を建ててしまう可能性があるのです。
このような建物は、テレビで放映されるような
「明らかに欠陥住宅」と分かるような住宅ではありません。
今回の構造計算書が偽造されたマンションも同様でしょう。
しかし、住む人にとっては『欠陥のある住宅』に間違いありません。
発覚するまで、分からなかったとしても「欠陥が内在」していたのです。
今回私がまとめた上記Eブックを、
数人のメルマガ仲間に事前にお送りし、評価を聞いて見ました。
できれば、あなたのメルマガでも紹介して欲しいと依頼文もつけました。
ひとりの専門家からは、以下のような返信がありました。
(個人名は伏せて掲載します)
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> 新しいレポートのご案内ありがとうございます。
>
> 早速読ませて頂きましたが、素人の方にもとても分かりやす
> くて素晴らしいと思います。ただ、ひとつ気になる点があり
> まして、残念ながら今回の相互紹介はお受け出来ないと判断
> いたしました。
>
> と言うのはレポート請求ページに書いてある
> 「住宅の6割は欠陥です」という見出しです。
>
> あの岩山健一さん(でしたっけ)の著書の帯にも書いてあり
> ましたが、私はこれについてあまり快く思っておりません。
> (本は読みました。)
>
> 実は「この6割と言う数字に根拠があるのか?」という問い
> 合わせを、あの本の出版社に電話をして聞いてみたのですが、
> 出版社の方は「岩山さんに言われてそう書いただけで、多分
> 根拠はないと思いますよ」との返事でした。
>
> また岩山さんのホームページの問合せフォームからも聞いて
> みたのですが、お返事はありませんでした。
>
> 私自身の感覚では、6割もの住宅に欠陥があるとは感じてお
> りませんし、また仮にそれが事実だとしても、6割の悪徳業
> 者を吊るし上げるのではなく、4割の良い業者を応援する道
> を選ぶべきだと思うのです。
>
> 若本さんもご存知の通り、私がメルマガ読者に伝えたいメッ
> セージとは、「恐れることはないですよ。」ということなも
> のですから、どうかその点をご理解頂ければと思います。
========================================================
確かに私の紹介文には「6割が欠陥」と書いています。
⇒ http://www.cms-hiroshima.com/e-book/kekkan.htm
それは、悪徳業者が行なっているような欠陥を指しているのではありません。
良心的な業者であっても、欠陥のリスクを内在させているということです。
上記の意見について、私は以下のような返信を送りました。
——–<若本の返信 ↓ここから↓>——————————-
こんにちは
返答いただきありがとうございました。
ご指摘のことはよく分かります。
考え方としては私も同じです。
で・・・
私がやっているのも、良い業者を応援することですが、
実態として「欠陥住宅」とはいえないまでも、「施工ミス」や
「施工方法の間違い」がかなりあることも事実です。
私のサービスの登録施工店は、これまで5社ほど
「住宅性能表示制度」の「建設性能評価」を実際に受けました。
昨日も1物件「ハウスプラス中国住宅保証」の『躯体検査』を受けています。
広島県内でも、戸建て木造住宅で「性能評価」を
堂々と受けているのは、施工に自信のある工務店がほとんどです。
しかし、設計図書の審査を受け、従来の「瑕疵検査」では
パスしていたようなミスや不具合が、性能評価員の検査で
どこも指摘を受けず「完璧だった」ということはまずありません。
何らかの指摘を受け、手直しなどをしています。
瑕疵検査や公庫検査程度しか受けていなかったとしたら、
ほとんど見逃していたでしょう。
だから、私は地元で「優良な業者」をさらに技術レベルも上げるよう、
検査以外にもさまざまなサポートや助言を業者向けにも行っているのです。
一昨日、新しい加盟工務店が入会しました。
早速社長と現場を見に行きましたが、気になる施工がありました。
【私】:「この隣りの建物は社長の会社が施工しているの?」
【社長】:「ここを分譲した業者の売り建てで、違う工務店です」
防水紙の貼り方が間違っていました。(-_-;)
将来台風が来て雨漏りするまで分かりません。
解体するまで気づかないことさえ考えられます。
別の現場では、私が相談に乗ったお客さんの隣りで、
同じ登録工務店が三階建ての住宅を施工していました。
並んで同じ施工会社が手掛けているのにも関わらず、
隣りの建物の断熱材の入れ方が間違っていました。
大工が間違えたのでしょう。
すでに性能評価付き住宅は20棟以上手掛け、
「瑕疵保証」ではJIOから表彰をもらったような工務店です。
(当然指摘しておきました)
将来「欠陥という症状が出るかどうか」は分かりません。
しかし、工務店側も「欠陥のリスクを承知で手抜きをしている」
という業者はほとんどありません。
皆、真面目に取組んだ結果「施工ミス」をしているのです。(>_<)
だからこそ、私のほうは「業者育成」が大切だと
現在のサービスをやっています。
不用意に消費者を恐れさせる必要はありません。
しかし、岩山さんほか、現場の瑕疵、施工ミスなどのチェックポイントを
教えてもらい、実際に自分のサービスで手掛けられている現場を見るほど、
「ミスや不具合が隠れている」ということに気づかされました。
問題なのは、施工業者だけでなく、設計事務所の一級建築士でも
そのことに気づいていない人があまりにも多いのです。
数年前まで私もそのひとりでした・・・。
誤解のないよう、私の実感をお伝えしておきます。
引き続き宜しくお願いいたします。
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本当のプロの仕事
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先日、ハウスプラス中国住宅保証の躯体検査を受けた結果、
実は屋根下地を全てやり直すことになったケースもあります。
「夏の暑さ対策と結露防止のために設けていた通気層により、
屋根の水平面の剛性が不足する」という指摘です。
間口6メートル足らずのうなぎの寝床状の狭小地で、
「耐震等級2」を取得するためにぎりぎりの構造計算をした住宅です。
内部には大きな吹き抜け空間も設けたので、床の剛性もぎりぎりでした。
恐らく「構造等級2」でなければ、あるいは通常の「瑕疵検査」であれば、
第三者の検査機関が入っても指摘を受けなかったと想像されます。
実際にこの工務店は、これまでこの工法でいくつも住宅を完成させています。
※「構造等級2」とは建築基準法の1.25倍の耐震性を要求される強度。
地元の工務店仲間でも技術力に定評があり、社長の人望も厚い会社です。
「等級1」であれば、全く問題のない施工であっても、
施主は「等級2」の耐震性を要求して請負っているのです。
この工務店社長は「まいったなぁ・・・」といいながら嬉しそうです。
週明けには野地板を剥がし、屋根材も再検討しなければなりません。
でも、今回の指摘で大切なことを学びました。
評価員の指摘を真摯に受け止め、すぐに大工に手直しを指示した工務店社長。
決して、目先だけでごまかして塞いでしまおうとせず、
施主や私にも正直に説明し、「今だったら直せる」と前向きな姿勢です。
ちなみにこの建物は、ハウスプラス中国住宅保証の性能評価だけでなく、
別の検査機関の『瑕疵検査』も、「基礎配筋」「躯体」で受けました。
同日に行なわれた検査で、こちらはほとんど指摘事項はなかったのです。
しかし、性能表示での配筋検査では、
型枠を外しての手直し工事も発生したのです。
決して、手抜きや不良工事ではありませんが、将来鉄筋が腐食して
コンクリートが剥離する可能性を否定できない箇所があったからです。
施主や私も立会い、評価員と手直しを見守りました。
▽ ▼ ▽
このメルマガでも「住宅プロデュース会社」のことを書きました。
きちんとした施工のチェック体制もないまま、「良質な業者」と紹介され、
素人も同然な人たちが家づくりのサポートをしていくサービスもあります。
本人たちも「良質な業者さんだから大丈夫!」と考えているのでしょう。
施主側は疑いようもありません。
しかし、人間的に真面目で誠実だということと、
現場で間違った施工やミスをしないことはイコールではありません。
だから、『ヒューマンエラー』をチェックする仕組みが必要です。
それが、施主だけでなく施工者や設計者、
そして地域社会を守ることにもなるのです。
技術や人柄だけで「良い業者」という判断ではなく、
エラーを回避する仕組みを提供するのも「プロの仕事」です。
岩山さんが「住宅の6割が欠陥」といっているのも、
施主が求める設計強度の施工がなされていない建築物は、
その「価格に見合った建物ではない」のです。
住宅業界に携わる「職業人」として、より厳しい基準によって
施主に『安全を提供する責務』を持っているということです。
単に「当社は安心ですからお任せください」ではなく、
安全を期した「チェック体制」を整えているところを選んで下さい!
安全性の高さを示せる根拠が必要なのです。
だって、検査機関でさえ選ばなければならない時代です。
施主も、業者任せではなく、自ら「自己防衛」できる知識を持ちましょう。
★特別レポート『欠陥を防ぐ7つの自己防衛策』
↓ ↓ ↓
http://tinyurl.com/c9xqa
⇒ 次回に続く
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【 編|集|後|記 】
株式市場が活性化していますが、
東証や名証のシステム停止のニュースもありましたね。
インターネットによる個人売買が増え、
証券取引所のシステムがダウンしてしまったという前代未聞の事故です。
これも、ヒューマンエラーに対してチェック機能が働かなかった一例です。
人は同じ作業の繰り返しでマンネリ化するとミスを犯しやすくなります。
住宅業界にどっぷりと浸かった人たちも、
業界が犯しているミスやエラーに鈍感になってきています。
だから、私は積極的に異業種と交流しています。
また異業種とのコラボレーションセミナーを行ないます。
詳しくはこちら↓
⇒ http://www.cms-hiroshima.com/event/seminar_1711.PDF
ではまた、再来週♪
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●このメルマガでは、
『住宅コスト削減術』や『業者選びのコツ』、『欠陥住宅を防ぐ方法』
から『住宅ローン攻略法』まで、生涯にわたって豊かさに影響する
住居費のコントロール方法を週刊で提供していきます。
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【筆者プロフィール】
地方私立大学の建築学科を卒業後、店舗・インテリアの施工管理に従事。
分離発注なども数多く手掛け、企画・マーケティング部門に異動。
アメリカのトレンド情報誌、海外デザイナーのプロデュース等も手掛け
Jターン転職で東京から広島へ。住宅リフォームのFCチェーンの地域
本部にて加盟工務店の指導をしながら、中小企業診断士の資格を取得。
住宅専門のコンサルティング会社で、数多くの住宅会社、工務店、工法
に接し、消費者不在の住宅業界の慣習を変革しようと奮闘中!
●発行者の詳しいプロフィールはこちら
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http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/profile.htm
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【発行者が携わっているサイト】
▼ 家づくりのトータル支援サービス『住宅CMサービス広島』
http://www.cms-hiroshima.com/
▼ 不動産・住宅取得の学習サイト『住まいのキホン・ドット・コム』
http://www.sumainokihon.com/
▼ ブログも発信中です!!『住まいづくりコンシェルジェ出動!』
http://esumai.livedoor.biz/
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