2017.12.10 Vol.15_No.7
土地選びに道路は重要なポイント
車のある生活が普通になった現在、家の前に道路があるのは当たり前ですよね。
しかも、家の前まで車が通行でき停められるのも当然にあってほしいこと。
いざ一念発起して家を建てようと土地探しを始めると、車の通れる道があるのが当たり前ではないことに気づきます。
道があっても狭かったり、道に面している敷地の幅が狭かったり…想像以上にクセのある土地が多いでしょう。
車のない時代から家は建ち、人々が生活していく中で道はできました。
当時は、人がすれ違い通れればいい位の幅でよかったのです。
戦後から道路整備が本格化して、国道、公道の舗装や幅拡張が行われてきましたが、古くからの住宅密集地では主要道路以外はなかなか手が加えられずに現在に至っています。
家の近くを散歩していると、路地や舗装されていない道がたくさんあります。
昭和25年に施行された建築基準法により、建築物を建てる場合、敷地は「幅員4m以上」の道路に「2m以上接する」べきという『接道義務』ができました。
昔ながらの木造住宅密集地では4m以上の道の方が少ないのではないでしょうか?
4m未満の場合はどうするのでしょうか?
いわゆる「セットバック」といって、将来のために道路幅が4mになるように敷地を後退するのです。道路の両側が住宅の場合は、道路の中心から2m以内はたとえ自分の敷地でも何も建てることは出来ません。
土地情報を見ていて、「セットバック要」と記しているのは、道路幅が4m以下であることと、敷地面積がセットバックする分狭くなるということです。
土地を探す上で、道路の幅とセットバックは要注意です。
もう一つ道路に関して要注意な点があります。
敷地に接する前面道路が公道なのか私道なのかです。
道路は全て公道だと思っていると、大きな間違いです。
普通に不特定多数の人や自動車が通っている道路であっても私道の場合があります。
私道とは、国や地方公共団体が所有、管理しているのではなく、個人や企業が所有、管理している道路になります。
私道の場合、所有している個人や企業に権限があります。
その道を通るなと言われたら、たとえ敷地が道の奥にあっても私道の権利が無ければ通ることができません。よって、私道の持分がない場合、敷地への道が閉ざされることになります。
もし気になる土地に接している道路が私道で、その持分がない場合は、家を建てることは出来ても、ローンの利用が難しくなります。
私道の持分がないということはいつ通行権が無くなるか分からないという不安材料を抱えることになるので、借入する金融機関から担保として持つ価値がないと思われてしまうからです。
以前お世話をさせて頂いた土地は、自動車が普通に往来する一般道路に接していましたが、その道路は公道ではなく私道でした。土地の売主に私道の持分も分けてくださいとお願いしたのですが、持主が増えると「承諾のハンコが余計に増えるから嫌だ」と断られました。
売主側の仲介業者も登記簿上公衆用道路になっているのでローンは問題ないと、売主を説得するのではなく買主を説得してくる始末です。
いざローンの申込をする段階になると、金融機関からは私道の持分がないと厳しいと言われました。
売主側の仲介業者が問題なく借りられるといっていた金融機関に問い合わせても、同じくローンの借入は難しいと言われる始末・・・再度売主側にお願いしても、持分を分けてくれる気がないのです。
出来れば他の土地にしましょうと言いたかったのですが、お客様が気に入っていたので、この土地を手に入れるべく手を尽くしました。私道の持分を分けてくれるという所有者の方がいたので、今回は無事に土地を取得できました。
土地情報を見て、道路情報、接道状況が私道となっている場合は、私道の持分があるのかどうか要注意です。
(宅地建物取引士 得本)