2018.1.10 Vol.15_No.8
土地を選ぶとき、地域の属性を気にしていますか?
物件を探している時、物件概要に記載されている欄を見ると必ずと言っていいほど、「用途地域」と記載されています。土地選び、住宅建築において、重要なポイントになります。
「用途地域」とは?
一般的に建築物といえば、一戸建て住宅、アパート、マンション、店舗、オフィスビル、ホテル、学校、病院、工場、娯楽施設など色々とあります。
混在してどこにでも建っているようで実は「建物の用途」によってちゃんと規制されています。
この地域は”住居を中心にした地域”、その地域は”工場を中心にした地域”と区分して建築物等の用途の制限をしているのが「用途地域」です。
住居専用の用途地域は、第1種低層住居専用地域、第1種住居地域など7種類あり、建築物の種類、建物の高さや建ぺい率、容積率の制限が異なります。
その他にデパートや映画館、飲食店などの店舗系の賑わい施設が中心の商業系地域、工場や倉庫などが建ち並ぶ工業系地域などが5種類あります。用途地域は、主に市街化区域で定められています。
市街化区域とは、優先的かつ計画的に市街化を図る区域になります。
住宅建築やマンション建築等、積極的に建築着工ができる都市計画区域です。
一方で、市街化を抑制する区域=住宅建築が難しい区域があります。
それは、市街化調整区域になります。
農家(住宅)が点在しているけれど、周辺は田や畑ばかりの地域がありますよね。
広い敷地がたくさんあって家を建てたいと思っても、建築許可を取るのが難しい市街化調整区域になっていることが多いのです。元々水田が広がっていたような郊外をイメージすると分かりやすいでしょう。
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その時は、住宅建築できない市街化調整区域の可能性があるので、確認が必要になります。
当サービスである住宅CMサービスを利用された広島市安佐南区のお客様の住宅建築予定地も、すぐ近くに新交通システムの「アストラムライン」が走っている拓けた場所なのに、市街化調整区域でした。ですが、離れとして利用していた既存住宅の面積以下の建替え及び親族であるということから、新築建築許可がおりました。これらの条件は開発許可の緩和の一つとなります。
広島市の佐伯区や安佐南区の方は市街化調整区域がまだまだ残っていますし、東広島市では多くのエリアでまだ市街化調整区域が残されています。
他のお客様は広島の熊野町で土地を探されていて、気に入った土地が市街化調整区域でした。
本来ならば住宅建築不可になりますが、売主側の仲介業者に聞くと、50戸連たんなので、建築可能だということです。
50戸連たんとは、市街化調整区域の開発行為の緩和のために定められた制度で、市街化区域から1キロ内の市街化調整区域で隣の敷地との間が50m以内の距離でつながり、7ha以内に50戸以上建っている集落のことです。
広島県内では、府中市、大竹市、安芸郡海田町、安芸郡熊野町などで50戸連たんなどの開発緩和制度を行っています。
市街化調整区域内ではあるけれども住宅建築は可能な区域でしたので無事に購入できました。
ただ、市区町村役場で住宅建築の許可をしているにもかかわらず、金融機関によっては市街化調整区域ということで住宅ローンの審査通過が難しいかもしれません。
仮に返済が滞り、金融機関が売却しようとしても、土地の担保評価が低く、将来の中古住宅の需要も高くないので融資枠が厳しいのです。実際に上記のお客様も融資の審査に時間がかかりました。
平成29年2月に閣議決定され用途地域が25年ぶりに追加されることになりました。
都市緑地の保全及び農業と調和した良好な住環境を保護する目的の「田園住居地域」です。
あくまで都市の中にある緑地を重要視して創設されました。
周囲の環境も用途地域によるので、土地を選ぶ際には用途地域の確認は必須です。
例えば、病院が近くにあってほしい、近くにはカラオケボックスやパチンコ店などの娯楽施設があるのは避けたいなど…用途地域によって、病院や娯楽施設の建築の制限がありますので、気になる方は仲介業者にしっかりと聞くことをオススメします。
(宅地建物取引士 得本)