2021.9.10 Vol.15_No.27
広島の団地シリーズ-Vol.08_高陽ニュータウン
今回は、前回の美鈴が丘団地に続き広島市内に古くからある大規模団地・高陽ニュータウンについてご紹介します。
高陽ニュータウンは以前ご紹介したJR芸備線安芸矢口駅周辺の団地群からさらに北東に進んだ広島市北部の太田川左岸に位置する旧安佐郡高陽町の丘陵地を造成して開発された大規模団地です。
高度成長期の最中、人口の急増により民間が開発した団地が増える一方で欠陥団地も増えていき、不安と不満を抱えた住民たちの中、「虫食いではない理想の開発を」と旧高陽町から広島県への陳情を受けて新住事業・新住宅市街地開発事業として広島県住宅供給公社が開発しました。民間の開発とは異なり、学校やあらゆる施設が整備されているのが特長です。
1972年に造成開始して、1974年からB住区から分譲が開始して1990年に分譲が終了しました。
千里ニュータウン(大阪府)、多摩ニュータウン(東京都)に次いで三番目に高陽ニュータウンが完成しました。当時は中四国、九州で最大の団地と謳っていました。
広島市に編入されてから「高陽」という町名は消えましたが、学校名や施設名などで使われ今なお多くの方に親しまれています。
高陽ニュータウンにはA住区、B住区、C住区に分かれています。
A住区は真亀、亀崎一体、B住区は落合3丁目、4丁目一体、C住区は倉掛一体となります。
A住区は一番広くA1、A2住区と分かれており、その中心部に団地住民の生活に不可欠な施設が集う地区センターや公園があります。
地区センター内には郵便局や消防署、交番、銀行、公民館が配置されており、1981年に広島県第1号店としてオープンしたフジグラン高陽(旧フジショッピングスクエア高陽店)があります。
A住区には真亀小学校、亀崎小学校、亀崎中学校、落合中学校が、B住区には落合東小学校が、C住区には倉掛小学校がそれぞれ子どもたちの学び場として開校しました。
広島中心部との交通手段はバスの往来があり便利ですが、A住区を囲むようにJR芸備線が走っており、玖村駅、下深川駅、中深川駅の各駅が周辺にあり、広島駅方面への往来ができます。ですが、団地内は坂も多く、スーパーや公共施設に行くには車が必須アイテムです。
人口は、造成開始20年後の1992年の約22,000人をピークに減少傾向にあります。
2021年6月現在、人口は約13,500人、世帯数は約6,700世帯とピーク時よりも約8千人減少しています。
また高齢化率も上がっており、66才以上の高齢者が約43%と他の団地に比べても高齢者率がとても高いです。(広島市HP内の人口・世帯別データを参考)
人口の減少、高齢者率の高さ等、古い団地特有の課題がこの高陽ニュータウンにも課題としてあるのが分かります。特に顕著です。
その中で自治会の試みとして、共働きの子育て世帯を支援しようと高齢者が学校帰りの子供を預かって、安心して働ける仕組みを作りました。
また、スーパーの撤退などで徒歩圏内で買い物が出来なくなった住民のために、2011年(平成23年)8月よりフジグラン高陽発着点とするB住区、C住区、近くにある団地ハイライフ高陽行きの3コースの無料巡回バスが毎日運行しています。
広島中心部から少し離れていますが、子育て世代も高齢者世代もお互いが協力し合って生活しやすい環境を作っているのは土地選びのポイントに一つになりますね。