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家づくりで泣く人・笑う人

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2004.3.01 第8号

下請けと元請の関係  ~あなたの負担すべき本当のコストとは~

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.008━2004.03.01━

《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                        ~第8号~
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 こんにちは。発行者の若本修治です。
 発行のたびに購読者数が増え、あっという間に1,500部を突破しました。
 読者の皆様やご協力くださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
 これからも、皆様の役に立つ情報を届けてまいりますので、お楽しみに!
 では、今週の本文の始まりです。 

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         ▼下請けと元請の構図
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 [先週の続き]
 昨年、私が開催したセミナーに参加されたB様の話。
 あまり予算がないので、競争見積で安くならないだろうかとの相談でした。

 プランニングから見直していたところ、
 B様は、熱心に通ってくるY社に決められたようです。
 どうしてY社に決められたのか、尋ねてみました。
 そうすると・・・
 ∞∞∞前号はここまで∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 B様は、知り合いの設備業者さんからY社を紹介されていました。
 実は、その設備業者さんから
 「今回は、うちの工事を安くしてあげるから、Y社で契約してあげて下さい」
 という話を持ちかけられたそうです。

 これまで付き合いのある業者さんから「自分の工事金額を安くする」
 とまで頼まれると、やはり情が移ります。

 更に、Y社の営業マンが営業に訪れる時、子供への手土産や
 参考となる家づくりの書籍を度々持ってきてくれたそうです。

 そして、極めつけの一言。
「お引渡しを考えると、今月中の契約でなければ難しくなります!」
 営業マンの殺し文句のひとつです。(-_-;)

       ●————————–
         「安くする」の落とし穴
       —————————●

 以前の日本企業の強さは、メーカーや元請をピラミッドの頂点とした、
 「協力業者会」(つまり「系列」)という存在を抜きにしては語れませんでした。

 「系列」という仕組みは、経済が右肩上がりの時勢にはうまく機能しました。
 親会社への貢献度(つまり購買運動)が高ければ発注量も増大していたのです。
 自動車メーカーなどは顕著で、他社の車では工場内への進入さえもできません。

 そこにはコスト競争力や技術力よりも、忠誠心が求められていました。

 しかし現在、国際競争力が必要な業界では「系列」という枠組みが既に崩れて
 いることはご承知の方も多いでしょう。

 では、住宅業界はどうでしょうか・・・?

 大手住宅メーカーは、自社に職人や技能者を抱えて、
 直営で工事をしている訳ではありません。
 ほとんどが、地域の工務店や専門工事業者に外注しています。

 外注先(つまり下請け)は、メーカーを頂点とした「協力業者会」の一員です。
 実は、「協力業者」になるには、単に「仕事をさせて下さい」というだけでは
 ダメなのです。

 大手の協力業者になるには、数百万円の保証金を負担しなければなりません。
 アパートを借りる時の敷金同様、金利のつかないお金を預けるのです。

 一戸の住宅建設には20を超える業者が工事に入ります。
 しかも、当然のことながら、1業種1社ではありません。
 さて、一体どれだけのお金が積まれるのか・・・? 
 (これは、後半でお話します)

 お金を出して「協力業者」になったのだから、どんどん仕事を出してぇ~!!
 (「指定業者」ともいいます。)

           『甘い!甘い!!』(-_-;)

 まず、メーカーは、協力業者に「紹介キャンペーン」を要請します。
 つまり、「一定期間中に新築をするお客さんを探して来なさい!」
 ということです。

 「さすれば、継続的に仕事を出してあげましょう・・・」
 「年間、○棟以下だったら、来年から指定業者を外します。」(>_<)
 まさに、アメとムチの手法ですね!!

 (話が遠回りしてしまいました・・・)

 という立場が、Y社の下請けの設備業者さんです。
 何としてもY社に受注させなければ、今後の取引はないかも知れません。
 そこで、切り札!!!・・・

         「うちの工事金額を値引きます!」
            ☆悲しい決断ですね... (-.-)

 自社の売上や利益を切り詰めてでも、元請に貢献しなければならないのです。

 ここからが、また問題です。
 値引いた証拠がどこにも無いのです。
 仮に、金額を安くしたとして、仕様を落としてもB様には気付かれません。

 こうして、知人の下請け業者が苦しむか、グレードを勝手に落とされるか。
 Y社を選んだことで、そのいずれかをB様自らが選択したことになります。
 (Y社に限らず、展示場を持っている大手メーカーは同様です。)

         ▽ ▼ ▽

 地元の中小企業が、現金を担保に取られ、
           地元のお客さまの新築情報を
            大手ハウスメーカーに伝えなければならない実態。

 高くなるのが分かっていても・・・背に腹は変えられない!!!(>_<)

 まるで、封建制度だと思われませんか?

 こんな中、一体誰が泣き、誰が笑うのでしょうか・・・?

       ●————————–
         業者負担金はいずこへ?
        —————————●

 指定の協力業者からの保証金の預かりは莫大なものです。
 これらのお金を集めることで、モデルハウスなどへの投資が可能となります。
 いずれは返す可能性のあるお金ですが、すぐに返す必要もないのですから。
 (返されるのは指定業者をやめるときです)

 バブル時代のゴルフ場開発やエステティックサロンなども、
 設備投資は、最初にお客様から預かった会員権や入会金などで賄っていました。

 入会希望者が多く、利用者も多ければ十分ペイできていました。
 ですから、豪華な施設をつくり、高いお金を取っていたのです。

 住宅展示場のモデルハウスも同じ構造といえるでしょう。
 意図的に、豪華で広々とした空間をつくっているのですから・・・

 公的年金保険料を使った健康福祉センターなどが、格安で売却され
 社会問題になっているのはご存知でしょうか?
 売却損は、結局、広く国民負担(=税金)となってしまいます。
 では、協力業者に出させてつくった豪華なモデルハウスのコストは
 最終的には一体誰が負担するのでしょう・・・?(*_*)
 展示場に来店した全ての人が、入場料を支払って負担するのでしょうか?

 それとも・・・

 ⇒次週に続く

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          ▼今週のお勧めBOOKS
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 私はうっかりしていました!
 市販の本は、どうしても著者の主観が入ります。知らないうちに特定の工法が
 すばらしいように刷り込まれてしまう場合もあります。
 (プロでも刷り込まれている人がたくさんいます!)

 でも、施主の立場で書かれたお役立ち書籍を見落としていたのです!
 これ1冊だけは買っておいてください。(1冊1,000円)

●家族で書いてプロと決める
 納得できる住まいづくりの本  公庫監修 [(財)住宅金融普及協会] 
http://www.sumai-info.com/common/shop_top.jsp

 ↑上記ホームページにアクセスし、「商品のご案内」をご覧下さい。
  住宅展示場に行く前に、この本で家族会議を開きましょう。
  ひとつひとつチェックしていくと、自分たちの住まいのイメージが
  明確化します。住まいは自分たちで決めるものです!

┏□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┓
  ▼今週のワンポイント・アドバイス
┗□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┛

 家電や車などの既製品であれば、品質も保証も同じなので、
 インターネットや大型量販店で安く買えば、お客さまもお得です。

 住宅でも、マンションや建売りは、出来たものを比較検討できます。
 引渡し前に第三者の専門家にチェックしてもらえばかなり安心です。
 (「インスペクション」といいます。)

 しかし、注文住宅の場合は「安くする」ことで、
 多くの場合、どこかにしわ寄せが行くことに間違いありません。。
 それは、結果として消費者に戻ってくるのです。
 (「安くする」にはそれなりの知識とコツが必要です!!!)

では、今週のまとめです。

 1.大手は下請け業者にも紹介のノルマを課している。

 2.そのノルマ達成のために、地元業者と施主にしわ寄せが行っている。

 3.業者側から「安くする」といわれるのは要注意!!
   ※プロだからと安直に信じるのは禁物!根拠を確認しましょう。

■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clumn/vol_5.htm

(若本が書いたコラムに関連知識を載せています)

↑『社内検査とお引渡しチェック』
 建設業は一部上場企業でも現場の実態は同じです。私自身が体験者です。

【編集後記】

 先週、競争見積を実施しました。
 同じ基本プランで今回は4社の参加です。
 入札に参加した各社で手掛けている家づくりの特長を活かすため、
 仕様は各社にお任せしましたので、個性的な性能や仕様が出てきました。

 価格もバリエーション豊かです。
 さて、お施主さんはどの工法・仕様を気に入るでしょうか?
 (私までドキドキ☆ワクワクします。)
 家づくりは、さまざまな組み合わせの中から選択できるから楽しいのです。

 「今月中に契約いただけたら・・・」とは、本文の営業マンの言葉ですが、
 こんな家づくりの一体どこが楽しいのかと疑ってしまいます。

 では、また来週♪

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 ◇ 次週予告
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          ▼ハウスメーカーの光と影▼

          ~私も驚いた、内部の実態~

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