2004.4.19 第15号
分譲チラシにご用心! ~あやしい不動産広告の見分け方~
『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.015━2004.04.19━
《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第15号~
◆家づくりは人生最大の「事業」
◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
http://www.cms-hiroshima.com/ 《発行部数1,969部》
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、中小企業診断士を取得して、事業計画のプロと
して住宅業界を見てきた『住まいづくり専門コンシェルジェ』若本修治が、
家づくりという大きな「事業」を成功させるノウハウを提供していきます。
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こんにちは。発行者の若本修治です。
今週号から、タイトルに新しく1行加えました。その名も
>>>『住まいづくり専門コンシェルジェ』<<<
です。(^o^)丿
これまで『CM』(コンストラクション・マネジメント)としていましたが、
どうもしっくりきません。
業界の専門用語のためか、愉しい家づくりのイメージが湧かない・・・
理系の性として、客観的に分析しつつ最適な家づくりを導き出すこと
は必要なものの、全く施主の感性を刺激していないのでは!?
家づくりを愉しむということは、感性も好奇心も刺激してもらいたい!!
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そんなことを考えていたら『コンシェルジェ』という言葉が浮かびました。
元々、高級ホテルなどに置かれたお客さまの案内役が『コンシェルジェ。』
滞在先で快適な生活を過ごすために、さまざまな不安や不便さを解消する
ために、ホテル側が用意したジェントルマンです。
(男性とは限りません・・・でも、紳士的な応対がキーポイントです)
慣れない土地で不安な宿泊客に、ホテル内だけでなくお客さまのご要望に
応じて、豊富な知識・経験からアドバイスや手配を行なっていきます。
でしゃばることはなく、売り込みもしない・・・。
そのような立場で、読者の皆さんにも情報提供が出来ればと思っています。
では今週の本文の始まりです。
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▼分譲チラシにご用心! ~あやしい不動産広告の見分け方~
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前回のメルマガでは、分譲チラシの『返済例』にスポットを当てました。
『頭金0円/月々7万円台/ボーナス払い0円』
(本当に小さな文字で)
※4年目以降金利が変動となり支払額が異なります。
と書いてあったチラシです。
変動金利なので、4年目以降の32年間は景気任せの返済額です。
しかし、この金額であれば
金利がかなり上がっても返済は何とかなりそうです。
支払い例の下に、区画図と現在の敷地の写真があります。
そして、その横に分譲後のイメージイラストが用意されています。
っと、あれれ~っ!
このチラシ、何か変だぞぉ~!!
建築確認番号も載っていないし・・・
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おとり広告!?
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チラシはA2サイズの大きなフルカラーで両面刷りです。
おもてにはコンピュータ・グラフィックスで作成した完成予想図と、
建築デザイナーの写真や彼の経歴まで載っています。
(前衛的な建築を手掛ける著名な建築家の事務所出身らしい。)
完成予想図は、建築家らしいBOXタイプの住宅が3棟並んでいます。
そして、裏面には標準仕様として有名メーカーの設備のイメージ写真が入り、
「結露を防ぐ『ペアガラス』を全居室に採用」とも書かれています。
「へぇ~ このグレードで土地+建物がこんな金額で出来るんだ!
一体、土地価格はいくらくらいなんだろう?」
プランと価格に目をやると、
土地面積と延床面積、そして税込価格くらいしか出ていません。
「建売住宅だな。今度近くを通ったら見てみよう。地図は、っと・・・」
んんん・・・?あれっ!
そこで、上記の疑問が湧いてきたのです。
▽ ▼ ▽
チラシを隅々まで見ていきました。
「どうもこの表現は気になるなぁ・・・」
ペアガラスを「全居室」に・・・ということは、
浴室やトイレは、ペアガラスは使わないということでしょうか。
「これじゃ、ヒートショックなどの問題があるなぁ~」(ブツブツ・・・)
その下には、「『(財)性能保証住宅保証機構』に認定された住宅です。」
というキャッチコピーがあり、
信頼のおける第三者機関である専門の検査員による現場審査や
保証の裏づけで、長期にわたる保証をしっかりバックアップします。
安心の10年保証です。
と続いていました。
「安心の10年保証・・・?
法律で義務付けられているから、まぁ、どこでも保証しているしな。
えっ!保証機構に認定された住宅・・・???
住宅性能表示制度の型式認定でもなさそうだけど・・・」
(一体何のことだろう?)
信頼を得られそうな文字は並んでいるものの、全然でたらめ・・・(-_-;)
住宅業界にいる人間でも見過ごしてしまいそうなほど、上手な表現です。
そして『分譲概要』・・・・???
建売住宅であれば、記載されているはずの『建築確認番号』の表示がない!
現在の現地写真を見ても、古い倉庫が建っているモノクロ写真・・・
この広告は、もしかして『宅建業法』違反?!
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青田売り
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最近、学生の就職も厳しくなってきてますよね。
バブル経済華やかかりし頃には、優秀な学生を早く確保しようと
『青田買い』という、就職協定を破って早く内定を出す企業がありました。
住宅・不動産業界では、逆に『青田売り』ということばがあります。
これは、業界の協定を破って早く売りさばいてしまおうというものです。
マンションや建売住宅は、業者側が土地を入手してお客さんに入居していた
だくまでに、かなりの月日が経過します。
その間、設計費用や建設コスト、会社の経費や金利負担などが掛かります。
企業側としたら、早く広告でも入れて営業活動をしたい訳です。
できれば、建築に着工する前にお客さんを見つけておきたいと考えます。
建物まで建ててしまってから、「売れなかった」では大変ですからね。
旅行業界のように、
「最小催行人員に達しない場合ツアーは中止されます!」
とできればいいのですが、そうはいきません。
そこで、『宅地建物取引業法』という法律で一定のルールを決めています。
まだ建物が建っていない『青田売り』の物件を広告する場合の制限です。
《宅建業法では》
未完成の宅地や建物は、開発許可や建築確認を受けるまでは、
広告その他の表示をしてはいけないことになっています。
もちろん、営業マンの口頭による説明も禁止です。
昨年、相談を受けたお客さまも、チラシで見に行った土地が気に入り、購入
を決意!! しかし、土地の所有者が全く別だと気づいたケースがありました。
たまたま所有者だと聞いた人が仕事関係の知り合いで電話で確認したのです。
(不動産業者のウソが発覚!!)
このようなものを『おとり広告』といいます。
「え~、でも建物はフリープランで、土地購入が決まって設計をする
『建築条件付き』の土地分譲もあるでしょう?」
そんな声が聞こえてきそうです。
そうなんです!
『建築条件付き』のように、3ヶ月で工事請負契約に至らなければ
契約が停止されるという条件が付いていれば、消費者の保護は可能です。
不動産の売買契約でも、条件によってはクーリングオフも出来るのです。
(詳しくは、別の機会に)
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このような広告で、欲しい物件だった場合は、
まず広告主をみましょう。
このチラシの場合は、企画・媒介が2社。売主・事業主の表示はありません。
宅建業の認可番号は
■広島県知事(1)第○○○○号
2社とも、知事のすぐ右の数値が(1)で会社名はカタカナです。
何業をやっているのか分からないような名称です。
(人のことは言えないって・・?)(^_^;)
この数字は、宅建業登録の更新回数(5年ごと)を示しているので
まだ、宅建業として業務を始めて日の浅い会社ということになります。
念のため、県庁に行き、業者名簿の閲覧をしました。
代表者の経歴や会社の財務諸表、行政処分歴など誰もが閲覧できます。
そうすると、いろんなことが見えてきました。
⇒次週に続く
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▼今週のお勧めBOOKS
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若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。
●家族みんなが満足できる家を建てよう 上村博之 著 [かんき出版]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761259663/cmshiroshima-22
↑家づくりは業者任せにせずに、自分たちで勉強しましょう。
この本は、図解やイラストも多く、建物から資金面まで分かりやすく書いて
います。著者の上村さんは東京都住宅性能表示制度アドバイザーでもあり、
『RDネット』という住宅コンサルティングのグループをつくられています。
●上村さんの運営サイト http://www.rd-n.com
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┃若┃┃本┃┃の┃┃本┃┃棚┃今週のお勧めBOOKSが本棚になりました。
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http://www.cms-hiroshima.com/mail mag/books2.htm
アマゾン・ドット・コムですぐに書籍が購入できます。
私もよく利用しています!! (^_-)<☆
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▼今週のワンポイント・アドバイス
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悲しいかな、私たちはテレビや新聞の情報を鵜呑みにしがちです。
それは、記者も同じことかも・・・
しかし、倫理規定があり少なくともメディア関係者のフィルターを通ります。
危険なのは、そのような第三者のチェックの入らないケース。
例えば今回のようなチラシや、『電ビラ』と称される広告などですね。
広告やチラシでも、リクルートのような出版社や、大手広告代理店は内規で
広告表現のチェックが入るので、あやしい業者は排除されます。
しかし、小さな印刷屋や広告制作会社は、
そこまでチェックせず、売るための広告をつくるから困ります。
『建築家』と呼ばれる人たちも、
一昔前までは『新建築』という権威ある業界紙に紹介されなければ、
自ら『建築家』と名乗るのはおこがましかったのではないでしょうか。
ここにも、先輩諸氏の厳しいチェックがあったからです。
しかし、現在は、ちまたに自称『建築家』が溢れています。
30万人もいて、資格の更新もなく、
国土交通省さえ実体の掴めない『一級建築士』の先生達・・・。
一級建築士に通った途端に、勝手に『建築家』を語る若手まで・・・。
(『建築家』として本物だといえるのは、ほんの一握りでしょうね。)
建築家のコンペサイトや一般誌の建築作品の紹介を見ても、
奇抜で、技術的な背景のない『作品』が排出される危惧があります。
そこには、ほとんどプロのフィルターは通っていない・・・?
今回のチラシも、『デザイナーズハウス』として、
宅建業法も何も知らない建築家が、
消費者の興味を引くための「ひとつのツール」として利用されています。
本人は恐らく気付いていないでしょう。
宅建業法違反の片棒を担がされ、
もしかしたら、不幸な消費者を生むことになるかもしれないことに・・・
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あやしい広告だけど、魅力的な物件だと思ったら、
すぐには契約はしないで
物件だけでなく、業者の調査した方が賢明でしょう。
都道府県に建築指導課のような組織があり
宅建業者の詳しい情報が閲覧できます。
不動産取引に不正をする企業が、確かな建物を建てるとは到底思えません。
つきあっている施工業者も、
倫理観があればこのような宅建業者と付き合わないでしょう。
不安があれば、各地域の不動産公正取引協議会や宅建業協会で
広告を持参して相談してもよいかも知れません。
■(社)首都圏不動産公正取引協議会のホームページ
↓ ↓ ↓
http://www.sfkoutori.or.jp/consumer/index.html
消費者の方のホームページに、広告の見方などが書いています。
【 編|集|後|記 】
有名な経済評論家が「ハレンチ学者」容疑で報道されました。
女子高生を追いかけて、手鏡を出したところで「御用!」です。
やれやれ・・・ (-_-;)
やはり有名な建築家が建てた自邸に
家族がブーイングの合唱!!
「こんな家に住みたくない!」
そんな記事も目にしました。
そして、
数百億円も売上のある材木屋の社長が
自宅を木造住宅で建てて、木の暴れ具合に驚いたそうです。
「乾燥が十分でない木は、欠陥住宅の温床になる!」
(たぶん自社でもとびきりの材料と、
信頼できる大工さんに建ててもらったと考えるのが自然ですが・・・)
そして開発された「超乾燥木材」が凄い売れているとの新聞記事です。
「今年は、乾燥材の比率を6割にしていきたい!」
・・・んっ!?待てよ!
ということは・・・
未だに乾燥の十分ではない『グリーン材』を他人には売っているの?
(*_*) (>_<) (-_-;)
鳥インフルエンザや牛肉のBSE始め、財閥系の自動車メーカーまで・・・
少し時代がおかしくなっているのかもしれません。
業界を代表する専門家たちも、普通の感覚を持って欲しいものです。
もちろん、私自身の自戒を込めて・・・
では、また来週♪
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◇ 次週予告
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▼ 建築家で家を建てる? ▼
~もっと建築家を知ろう!~
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●このメルマガでは、
『住宅コスト削減術』や『業者選びのコツ』、『欠陥住宅を防ぐ方法』
から『住宅ローン攻略法』まで、生涯にわたって豊かさに影響する
住居費のコントロール方法を週刊で提供していきます。
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