『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.029━2004.08.02━
《週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第29号~
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◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
《発行部数2,293部》
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【もくじ】
・健康住宅を考える
・お勧めBOOKS
・今週のワンポイント・アドバイス
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、中小企業診断士を取得して、
200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた実戦派コンサルタントが、
家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。
どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。
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こんにちは。発行者の若本です。
私事ですが、かれこれ20年以上花粉症を患っています。
私が花粉症の存在を知ったのは、症状が出てからかなり年月が過ぎ、
プロ野球で西武時代の田淵幸一氏(前阪神コーチ)が所沢で発症した頃です。
古いですか・・・? (^^ゞ
それまで、花粉症という病気の存在も知らず、
毎年春になると、花粉症の症状が出ては眼科や耳鼻科に行っていました。
今では、年中無休で症状が出るので、目薬は肌身離さず持っています。
「漆」という自然素材でも多くの人はアレルギーが出るそうです。
そばガラでも、じんましんが出る体質の人もいます。
ヒノキやヒバなどは、『ヒノキチオール』という
殺菌作用のある成分を含んでいます。
故に、腐りにくいから土台にも使われているのです。
なぜ、自然の木にこのような成分が含まれているのでしょう・・・?
みなさんは、そんなことを考えてみたことがありますか?
全ての生物は、外敵から身を守り、種(しゅ)を保存する本能があります。
植物も、微生物とて例外ではないでしょう。
自ら逃げることも、外敵を追い払うことも出来ない木が
外敵から身を守る方法・・・
それが、「木や植物に含まれる成分」なのです。
自然と共生しながら、外敵から身を守る植物たち!
その能力を適材適所に活かした先人の知恵も凄いと思いませんか?
ちなみに花粉症は、植物が子孫を残そうと、
種を花粉に乗せて遠くに撒き散らしたものが、
人間の体内でアレルギー反応を起こしたものなのです。
生態系を乱した人間への、自然界からの反逆かもしれませんね。
では、今週も最後までお付き合いください。
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▼健康住宅を考える ~シックハウス症候群に苦しむ人たち~
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平成16年1月末の新聞に、
『シックハウス集団訴訟』という記事が掲載されました。
大阪市北区の新築マンションの入居者ら20世帯46人が、
大手マンション分譲会社と建材メーカー相手に
約3億円の損害賠償を求め、大阪地裁に訴訟を起こしたのです。
このマンションは、住宅性能表示制度がスタートした直後、
2000年11月に完成しましたが、住民は入居後すぐに頭痛などを訴えました。
民間研究機関が調べたところ、
ほとんどの世帯で国の指針値(0.08ppm)の約2倍の
高濃度ホルムアルデヒドが検出されたのです。
「ホルムアルデヒド」と聞いてもピンとこない人は、
『ホルマリン漬け』と聞けば想像がつくかもしれませんね。
学校の理科の授業で見た、あのホルマリンは
ホルムアルデヒドの40%水溶液、つまり水で薄めたものなのです。
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シックハウス対策は十分?
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この事件が、なぜここまで大きな問題になったのか・・・
それは、分譲会社側が「健康住宅」をセールスポイントにしていたからです。
同社のパンフレットには、以下のような記載がされていたそうです。
▼建材はホルムアルデヒドの最も少ないものを使用。
▼(指針値の)0.08ppmをクリアすることはもちろん、
限りなくゼロに近づける。
営業マンは、これをセールストークとして使っていました。
そしていざ入居してみると、約2倍の濃度が検出されたのです!! (>_<)
その後の調べでは、昨年施行の改正建築基準法で
使用禁止になった建材が使われていることも明らかになったそうです。
ちなみにこの分譲会社は、現在合併問題で話題のUFJ銀行から
4,700億円もの金融支援を受けた業界最大手の会社です。
ほとんど倒産状態ともいえますが、『業界最大手』です。
そして、『住宅性能表示付マンション』として、
工事中の垂れ幕で、堂々と性能の高さを誇っている会社です。
あなたのお近くでも、そのような懸垂幕を見た記憶はありませんか・・・?
今でも、営業マンは会社のパンフレットで「健康住宅」をPRしています。
食品と違い、社会問題化されないのは何故でしょうか・・・。
この会社が全国に建てている数多くのマンションの中で、
唯一このマンション1棟だけ、この建材が使われたと誰が考えるでしょう?
車であれば、リコールの対象になってもおかしくないケースです。
しかし、マンションを含めた住宅の場合、販売会社だけを責められません。
建材メーカーのカタログ数値を信じて建材の採用をするのですから、
製造物責任は、建材を製造したメーカーにもあるのです。
▽ ▼ ▽
現在の住宅は、ほとんど工業製品の組み合わせで出来ています。
内装の仕上げも、建具も、設備機器も、建材メーカーがつくっています。
多くの住宅会社は、その資材を仕入れアセンブルする『組み立て業』です。
だから雪印問題などで、食品スーパー各社が取扱いを自粛したように、
問題ある建材は、完成品をつくる会社が仕入禁止にするくらい
業界を挙げて情報共有するような流れをつくらなければならないでしょう。
住宅は製造物の責任を問う『PL法』の対象外なので、
食品スーパーのように、製造メーカーにもっと厳しく対応すべきです。
「経営者が、消費者への説明責任を果たすまで、うちは取引しない!!」
記者会見で、自社の姿勢を明確にしたらどうでしょう。
でも、そんな話は見たことも聞いたこともないですね。 (-_-;)
ちなみに、大阪のマンション集団訴訟の
もうひとつの被告企業は、自動車に関連する会社です。
数年前、アメリカの自動車会社、フォードが
リコール問題に揺れたことは記憶に新しいでしょう。
このときは、今回の三菱自動車のような車自体の問題ではなく、
タイヤの問題ではないかと指摘されました。
日本の大手タイヤメーカーが買収した、アメリカのタイヤの会社です。
マンションは、防音の問題もありますよね。
実は、フローリング素材はゴムメーカーも開発しているのです。
ここまで言うと、お分かりいただけるでしょうか・・・? (^_-)<☆
食品や車、家電に比べて、住宅業界は被害が発生した場合、
企業に対する社会的制裁が大変甘いといわざるを得ません。
そこには、住宅販売会社と建材メーカーの
消費者不在の馴れ合いがあるのかもしれません!
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施主のシックハウス対策
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2003年7月に、シックハウス対策で建築基準法が改正されました。
ホルムアルデヒドを使った建材の使用制限のほか、機械換気の義務付けです。
つまり揮発性の化学物質を減らし、物質が発散しても機械で戸外に出す作戦です。
「新築住宅では2時間に1回、
部屋の中の空気を入れ替えられる換気設備をつけなさい!」
というのが法律で義務付けられたのです。
シックハウスの犯人は、ホルムアルデヒドということになりました。
そのほか、毒入りカレー事件でシロアリ駆除材として有名になった
クロルピリホスも全面使用禁止です。
しかし、トルエンやキシレン等、別の化学物質も被害報告があります。
自然の素材からも揮発性の物質が出ているケースもあります。
だからこそ、『換気設備の義務付け』かもしれませんが安心は禁物です。
すべての企業が法令遵守しているとは限らないからです。
そして、設計通りに換気が行なわれる保証もないのです。 (-_-;)
「じゃあ、どうすればいいのか」って?
引渡し前に、実際にご自分の家の化学物質を測定するのです!!
産地偽造やリコール問題は、企業任せでしかありませんでした。
消費者が、自ら確認する術はなかったのです。
しかし、住宅は自分自身で第三者に測定を頼むことができます。
(前回も書きましたね・・・)
住宅性能表示を行なっている指定評価機関にご相談ください。
中国地方では、ハウスプラス中国住宅保証(株)などが行なっています。
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http://www.jutakuhosho.com/
⇒次週に続く
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▼今週のお勧めBOOKS
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若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。
●長寿健康住宅 金堀一郎 著 [日本住宅新聞社]
↑インテリアコーディネーター養成講座でも有名な住宅デザイン研究所の
所長が書いた、住まいも人間も長寿になるための基本の一冊。
日本住宅新聞への連載から、加筆修正を加えて本になりました。
書店では取扱っていないかも知れません。私は著者からいただきました。
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私もよく利用しています!! (^_-)<☆
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▼今週のワンポイント・アドバイス
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私が以前所属していた住宅リフォームFC本部は、
事務所が2×4工法の木造3階建てでした。
3階の小屋裏空間にデザイン室があり、
CADやドラフター(製図台)が置かれていました。
今頃の時期、冷房でガンガンに冷やして
CADの操作をしたり、手描きのプランを作成したり
小屋裏にこもることもしばしばでした。(とっても暑かったです・・)
恐らく私が入社したのが、築5年程度だと思いますが、
熱でムッとするだけでなく、目がチカチカしていました。
この当時、今のようにシックハウスについて問題にはなっておらず、
私も相当な量、吸い込んでいるはずです。
現場でも、塗装工事でかなり「きていました」し・・・(^_^;)
平成12年の既存住宅の調査で、築後4~5年の住宅が
最もホルムアルデヒドの濃度が高いという結果が出ています。
(厚生労働省・国土交通省など関連団体からなる研究会の発表)
全国の戸建て・共同住宅約4,500戸を個別測定した結果です。
そのうち、指針値(0.08ppm)を越える住宅は、なんと3割弱です。
厚生労働省は、室内の化学物質について、
世界保健機構(WHO)並みの、50~60種類の指針値を設けようと
していますが、現在、指針値は10数種類だけです。
しかも、建築基準法で規制されているのは、2種類のみ・・・(-_-;)
お引渡しして、5年後に最高濃度になる化学物質を
24時間の機械換気に頼って室内の空気を入れ替えていても、
一体どのくらい排出されるのでしょうか・・・?
しかも、中途半端にサッシで気密化された住宅は、
中途半端なすきまがあって、十分な換気はされないのが実態です。
ちょうど、穴を開けたストローで、水を吸い上げるようなものです。
これも実験してみたら、皆さん自身で体験できます。(^_-)<☆
では今週のアドバイスです。
☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆
1.営業マンのいう「シックハウス対策済み」は鵜呑みにしない。
(例え大手企業でも安心できません。)
2.健康被害を起こす化学物質は、ホルムアルデヒドだけではない。
(建築基準法の規制は、ザルのような規制です。)
3.お引渡し前に、化学物質を測定してみよう!
(換気だけでは除去できないと考えましょう。)
☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆
■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clum/vol_6.htm
↑コラム『外断熱と健康住宅』
(若本が書いたコラムに関連知識を載せています)
【 編|集|後|記 】
少し前になりますが、昔の上司が訪ねてきました。
『無添加住宅』という住宅の普及を手伝っているということでした。
※ 無添加住宅は(株)無添加住宅の登録商標です。
いいネーミングですよね!
接着剤は、米のり、にかわ、ぎんなん草(海草)などです。
防腐剤や防カビ材は、柿渋を使い自然の「抗菌効果」を生かしています。
この住宅を開発したのは、植物学者を目指していた兵庫県の秋田さん。
食べ物でも、食当たりになるような食べあわせがあるように、
自然素材の建材でも、独自の配合があるそうです。
単純に揮発性物質を少なくした工業製品は、
従来のような耐久性や防虫性が期待できるのでしょうか・・・?
その結論が出るのは、十年後かもしれません。 (-_-;)
長年、日本家屋に使われてきた自然素材は、
何百年とわたって実績のある建築資材なのです。
ここ数十年、私も含めてその知恵が忘れ去られているのです。
この国の建築の教育そのものの見直しも必要かもしれませんね。
でも、家具や芳香剤からも揮発性の化学物質がでるのです。
なんだか、いたちごっこの様相です。 (^^ゞ
では、また来週♪
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実は、8月17日(火)にFM番組に出ることになりました。
ローカル局で、私も日頃聴いたことのなかった局です。
でも聴いてみると、J-WAVE系列のFM放送でした。
午後5時半から15分くらい、インタビュアーと話をするそうです。
広島しか聞けませんが、FM766(P-Station)です。
どんな話となるのやら・・・。
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◇ 次回予告
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▼ バリアフリー住宅考 ▼
~グループホームから学んだこと~
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●このメルマガでは、
『住宅コスト削減術』や『業者選びのコツ』、『欠陥住宅を防ぐ方法』
から『住宅ローン攻略法』まで、生涯にわたって豊かさに影響する
住居費のコントロール方法を週刊で提供していきます。
【発行者が携わっているサイト】
▼ 家づくりのトータル支援サービス『住宅CMサービス広島』
http://www.cms-hiroshima.com/
▼ 不動産・住宅取得の学習サイト『住まいのキホン・ドット・コム』
http://www.sumainokihon.com/
▼ 住宅にユニクロ方式の生産システム『セルフ・ビルド・プロジェクト』
http://www.koukoku-ya.com/sbp/index.html
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