2005.8.01 第62号
CMと分離発注の関係 ~分離発注の実態とは?~
『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.062━2005.08.01━
《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第62号~
◆家づくりは人生最大の「事業」
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◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
《発行部数2,893部》
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気になるテーマを印刷して、是非ご夫婦でお読み下さい。
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【もくじ】
・CMと分離発注の関係
・今週のお勧めBooks
・今週のワンポイント・アドバイス
・編集後記
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。
どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。
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こんにちは。発行者の若本です。
先週、地元の中国新聞社の『ハウジングNews』の取材を受け、
『住クリエーター』として紹介されました。
この紙面は、比較的若手の建築士を紹介しているコーナーです。
奇抜なデザインの住宅の写真をいくつか見た記憶しかありませんでした。
だから「住クリエーター」という紹介には少し違和感を感じました。
「住宅を、作品として創り出している」のではなく、
「家づくりのプロセスを変えていこう」としているからです。
もちろん、出来上がった住宅が、性能だけでなく
デザイン的にもセンスを感じるに越したことはありません。
私が発信しているブログに、もう少し詳しく書きました。
⇒ http://esumai.livedoor.biz/archives/28623437.html
では、今週の本文の始まりです。
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▼CMと分離発注の関係 ~分離発注の実態とは?~
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最近、ブログで施主や設計者、施工会社などが積極的に情報発信しています。
そのなかで、分離発注やCM(=コンストラクション・マネジメント)という
一般消費者には聞き慣れない言葉がよく聞かれるようになってきました。
公共事業は減り、地方では大型プロジェクトも減ってきました。
だから、建設業や設計事務所も競争が激化しています。
それは価格競争だけでなく、受注競争も激化です。
つまり、安いだけでは受注できないということです。
ただでさえ物件が少ないため、企画やプランでも差別化が必要です。
そうなると、力のある設計者のところに仕事が集まるようになります。
これはどの業界も同じ、『二極化』という現象です。
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設計だけでは食えない!?
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人気の建築家と、力のない設計者・・・
一級建築士という、全国に30万人もいる資格を持っているだけで、
仕事をもらえる時代ではありません。
設計事務所は、基本的にはモデルハウスを持たず、広告宣伝も行なわず、
営業の担当者も雇用しないので、『待ち』の営業です。
材料の仕入れや外注費が少ないので、仕事があれば利益率は高く、
1件の受注で、数ヶ月は会社経費と従業員の給与を賄うことが可能です。
しかし、次の設計依頼がいつ来るとも知れません。
特にホームページを駆使することが出来ない世代は致命的です。
元々、設計が好きで、それ以外は出来ない不器用な人たちが多く、
設計の仕事を得るために、工務店の下請けをする人たちも数多くいます。
自分のポリシーを曲げても生活のため、致し方ありません。
しかし、たまたま知り合いから紹介があった案件を設計し、
工務店数社に見積依頼を行なうケースも出てきます。
このような設計者は、工務店に見積さえしてもらえないこともあります。
実は施工者側も、設計内容と予算で判断するのです。
特殊な設計や、設計図書の不備が多ければ、その分安全マージンをみます。
つまり、余裕をみた高めの見積と長めの工期を伝えるのです。
そもそも取れればラッキー!、半分「断るため」の見積書です。
▽ ▼ ▽
お客さんから、工期や予算を聞いている設計者は
そのままでは仕事自体が流れてしまう懸念が生じて焦ります。
かといって、プランにはあまり妥協したくありません。
そこで発案されたのが『分離発注』という手法です。
つまり、元請の工務店・住宅会社に見積を出してもらうのではなく、
専門の工事業者さんに直接見積を出してもらうという方法です。
設計の仕事をしていれば、多少、専門の業者さん、
職人さんたちとも知り会う機会があります。
カタログを持参するメーカーの担当者からでも紹介を受けられます。
恐る恐る元請なしでやってみたら、何とかできた!
とても設計料だけであうような仕事量ではなかったが、
仕事をキャンセルされることなく、工期や予算内に収めることが出来た!!
本来、自分が「この予算と工期で出来るでしょう」と受けた仕事だから、
設計料の範囲で責任を持ってするのが当然です。
しかし、手間が掛かりすぎました。
そして、その間次の仕事の営業も出来なかった・・・(-_-;)
「あっ! そうだ、これを新たなサービスにすれば、
一人のお客さんで倍の料金をいただける。営業が苦手だから一石二鳥だ!」
と思ったかどうか定かではありませんが、
それから、設計事務所の分離発注方式が少しずつ全国に広がっていきました。
設計事務所には、設計料とは別に「CMフィー」が入るようになったのです。
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CMの実態とは
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新しいサービスにはネーミングが重要です。
その頃、請負をしない監理専門で発注代行するサービスがありました。
これをCM(コンストラクション・マネジメント)と呼んでいました。
私が昔いた商業施設計画の分野では珍しくない存在でしたが、
主に現場叩き上げの技術者がフリーランスになったというイメージです。
組織に縛られるのが嫌いな技術屋の外人部隊です。
「コンストラクション・マネジメント」は「建設」のマネジメントです。
コンストラクションという英語が「建設」を意味しているからです。
だから、本来施工者側が身に付けるべき管理技術を指します。
少なくとも「設計者」向けのマネジメント技術ではありません。
日本の製造現場で行われた『TQC』の建築版といってもいいでしょう。
建築プロジェクトの、品質、コスト、工期(時間)の管理を指します。
「元請」の建設業こそ学び、実践して身に付けるべきノウハウです。
それがいつのまにか『元請け不要!』『施主による分離発注』と解釈され、
施工に責任を持たない設計者たちが行なう新しいサービスとなってきました。
そのサービスが、設計監理者としての責任の重さを認識して、
監理料に多少上乗せされて施主のサポートをするのであれば納得もいきます。
そもそも、以前のメルマガに書いたように監理業務自体あいまいなのです。
▽ ▼ ▽
現在、設計事務所の設計料は、物件や事務所にもよるものの、
おおむね工事費の7~12%前後としているようです。
2500万円の住宅で、175万円~300万円が目安です。
この金額で、施主と打合せをして詳細図面を起こし、監理を行ないます。
当然、分離発注でなくても工務店を集めて見積の説明会、
質疑応答や補足図面の作成、見積書のチェック、現場指示なども行ないます。
分離発注をすることで、上記以上にどれほどの手間が発生するのでしょうか?
工務店3社を集め資料を配るのが、専門工事業者20社を集めて資料を配る、
そして見積の集計業務が増える、現場に行く回数が多少増える・・・
その程度ではないでしょうか?
「プロの設計者が、元請を外してコストを下げてくれた分、
高い設計料だったけど、少しばかりの功労金を追加で支払おう・・・!」
施主も、設計者の働きに感謝するかも知れません。
では、あなたはいくらぐらいだったら妥当だと思いますか?
実は設計料と同等か、それよりも大きな金額なのです! (*_*)
さすがの私もビックリしました!!!
これが、マネジメントといえるのだろうか・・・
⇒ 次回に続く
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▼今週のお勧めBOOKS
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若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。
全米ホームビルダー協会編 NPO法人住宅生産性研究会 監修 [井上書院]
↑こちらはプロ向けの本。
私が新たに自分のサービスを立ち上げたときに、基本から学びました。
この本の監修を行なった、住宅生産性研究会の戸谷理事長には、
『日本版コンストラクション・マネジメント』がいかに嘘っぱちか、
飯田橋の事務所に伺い、口角泡を飛ばすほどの熱弁を聞かされました。
■NPO法人 住宅生産性研究会 ⇒ http://www.hicpm.com/
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┃若┃┃本┃┃の┃┃本┃┃棚┃今週のお勧めBOOKSが本棚になりました。
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アマゾン・ドット・コムですぐに書籍が購入できます。
私もよく利用しています!! (^_-)<☆
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▼今週のワンポイント・アドバイス
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品質は同じでコストを下げるためには、大きく5つ挙げられます。
(1) 中間マージンを削減する
(2) 固定費の少ない企業から購入する
(3) 競争原理を導入し、交渉を行なう
(4) 大量仕入れによる数量割引
(5) 業務効率を高めて作業時間を少なくする
例えば、(2)と(4)を具体的に比較してみましょう。
分かりやすい事例で、近所の家電ショップと大型家電チェーンです。
あるいは近所の酒屋と、お酒のディスカウントのお店です。
いかがでしょうか・・・?
どちらが、同じものを安く買えるでしょうか?
住宅も『分離発注』で中間マージンをカットし、
固定費の掛かっていない職人さんに直接発注しても、
まとまった数量や、高い作業効率がなければ安くなりません。
原価を公開したって、何の意味もないのです。
つまり(1)や(2)を行なっても、実は効果は少ないのです。
むしろ(3)~(5)が効果的ですが、ここは事業者側の内部にまで
きちんと働き掛けなければ、本当のコストダウンは実現できないのです。
ここには、「設計」とは別の職能として「マネジメント」が必要です。
このように『コスト』だけ見ても、単純ではないのがお分かりでしょう。
これに、部材発注や職人手配、現場の品質管理、工程チェックなど、
プロジェクト全体が複雑に絡み合ってきます。
設計業務以外の経験やノウハウが必要で、
一級建築士だから大丈夫だろうというレベルではないのです。
では、今週のワンポイントアドバイスです。
☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆
1.建築プロジェクトの減少で、設計者も二極化してきた。
2.仕事が少ない設計者は、施工会社もコントロール出来ない?
3.分離発注は、設計者にとって「二度美味しい!?」
☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆
■参考情報⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clum/vol_19.htm
↑コラム『下請け業者と原価公開』
(若本が書いたコラムに関連知識を載せています)
【 編|集|後|記 】
今回のメルマガは、CMと呼ばれる業界専門用語が出てきました。
実は私のサービスも『住宅CMサービス広島』というものです。
真っ向から『日本版住宅CM方式』を否定しているようですが、
設計事務所が「副業?」でやっているものに疑問を持っているのです。
本当に設計力のある設計事務所は、本業で手一杯です。
少なくとも、施工者の分野まで手を突っ込もうとはしません。
ある意味専門職なので、お互い分業したほうが業務を極められます。
実際にCM方式を手掛けた設計者のウラ話がブログに出ていました。
2話連続のお話です。
◆第1話 http://blog.livedoor.jp/koseijyuutaku/archives/24422739.html
◆第2話 http://blog.livedoor.jp/koseijyuutaku/archives/24519858.html
横須賀の工務店三代目のブログです。(北村さん勝手に紹介しました!)
このブログは、現状の『CM方式』の実態がとてもよく分かります。
本文にも書きましたが、CMは施工業者が身に付けるべき管理技術です。
経営コンサルタントなどのマネジメントの専門家が指導するものなのです。
それは、社内の業務フローも変えていかなければなりません。
『コスト・品質・納期』などに対する絶え間ない業務改革です。
私は自分のサービスに、あえて『CM』と付けました。
設計事務所などが手掛ける『分離発注』ではなく、
本来のマネジメント機能を生かして「いい家を安く!」を実現するためです。
少しずつ全国に広めていこうと考えています。
共感いただける専門家はメールをいただければ嬉しいです♪
mailto:info@cms-hiroshima.com
ではまた、再来週♪
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◇ 次号予告
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▼ 分離発注の光と影 ▼
~コストと瑕疵担保責任~
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●このメルマガでは、
『住宅コスト削減術』や『業者選びのコツ』、『欠陥住宅を防ぐ方法』
から『住宅ローン攻略法』まで、生涯にわたって豊かさに影響する
住居費のコントロール方法を週刊で提供していきます。
【発行者が携わっているサイト】
▼ 家づくりのトータル支援サービス『住宅CMサービス広島』
http://www.cms-hiroshima.com/
▼ 不動産・住宅取得の学習サイト『住まいのキホン・ドット・コム』
http://www.sumainokihon.com/
▼ ブログも発信中です!!『住まいづくりコンシェルジェ出動!』
http://esumai.livedoor.biz/
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