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家づくりで泣く人・笑う人

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2006.3.27 第77号

住生活エージェントの役割

  【まぐまぐ公認 殿堂入りメルマガ!】

『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.077━2006.03.27━

《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                         ~第77号~
   ◆家づくりは人生最大の「事業」
   ◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
   ◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
                     《発行部数4,653部》

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 【今週のテーマ】

 ・拝啓、工務店社長殿
 ・編集後記  
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
 取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

 ■発行者のプロフィールはこちら
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  http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/profile.htm
—————————————————————-●
 こんにちは、発行者の若本です。

 前回のメルマガにも書きましたが、
 先週、東京に出張してきました。

 三菱総研が事務局となって運営されている
 「消費者エージェント普及検討委員会」への参加です。
 東京大学大学院の松村助教授を委員長とするこの委員会は、
 経済産業省のバックアップで数年前から開催されていたようです。

 会の目的は生活者と住宅供給者との情報格差を埋め、取引をより円滑にする
 「消費者の代理人(エージェント)」機能を果たす事業者を発掘育成すること。

 新たに「住生活エージェント」という名称が付けられ、
 新しいサービスとして業界の規範をつくっていこうという動きです。

 そのガイドラインづくりに、16社の代表とオブザーバーが一同に会し、
 三菱総研ビルヂングの会議室で円卓会議が開かれました。

 配布された資料を見ると、地方からの参加者は私だけ・・・(^^ゞ

 私を除けば、名古屋から1社、残りは全て東京の会社でした。
 それぞれ会社の規模も、サービスの内容もまちまちです。

 しかしそのほとんどが、既存の住宅業界に懸念を抱き、
 ここ数年で事業を興した「熱い想い」を持った人たちです。

 つまり、参加した皆の『志』は同じなのです。

 「生活者が安心して住宅や不動産を購入できる社会の実現」
 そして「社会全体に豊かな住環境を創造すること」を目指しています。

 これから「住生活エージェント」が注目されてくるでしょう。
 信頼される業界づくりのために、私も積極的に参加していく予定です。
 
 では、今週の本文の始まりです。 

——————————————————————–
  ▼拝啓、工務店社長殿   ~住生活エージェントの役割とは~
——————————————————————–

 耐震強度偽造問題で、ホテル経営のコンサルタントが登場しましたね。
 国会でも「■方メモ」というのが有名になりました。

 「指示じゃないですかぁ~!」

 民主党のM議員の言葉が今でも耳に残っています。

 施工者に対して具体的に鉄筋の量を減らすよう
 コンサルタントがメモをファックスで送ったということです。

 結果として耐震偽造が発覚し、
 経営コンサルタント事務所も「悪のレッテル」を貼られました。

 しかし、私の心境は複雑でした。
 クライアントの意向を汲んで、業者にプレッシャーを与え、
 代理人としてかなり踏み込んだ働きをしていたと取ることも出来ます。

 現場まで踏み込まない、口先だけのコンサルタントであれば、
 プロの施工者にコストダウンのプレッシャーも与えられなかったでしょう。

 結果がこのような結末でなければ、多くのクライアントは
 前者のようなコンサルタントを選ぶのではないでしょうか・・・?

 エージェントは単なる橋渡しではなく、
 交渉人(ネゴシエーター)としての役割を求められます。
 それが、口利きだけをするブローカーとの違いです。

 今回のメルマガでは、私が実際に工務店社長に宛てたメールから、
 エージェント(コンシェルジェ)の役割を考えていきます。

       ●———————-
         追加金額の根拠は?
       ———————–●

 私のサービスを利用して、工事を着工したお客様から連絡がありました。
 請負工事契約以降に依頼した、マルチメディア配線など「電気工事」の
 追加金額が、自分の想像をはるかに超える見積になっているということです。

 競争見積による4社の入札を行なったので、
 工事の契約まではかなり見積明細のチェックを行ないました。

 地鎮祭や上棟式も立会い、施主と工務店との信頼関係も確かめていたので、
 私は、半ば安心して工事の進捗を見守っていました。

 その間、性能表示の検査立会いなども行い、
 ほっと一安心したところに、上記の連絡です。

 地耐力調査の結果、当初の予定をはるかに超える杭打ちが必要となり、
 予備費もほとんどなくなっていました。
 施主にとってはこれ以上の追加は簡単には容認できません。

 相談を受けた私は、直接工務店社長と話をする前に、
 エージェントの立場でメールを送ることにしました。
 冷静にこちらの意図を伝えるためです。

         ▽ ▼ ▽ 

> ×○  ■■社長様
>
> いつもお世話になりありがとうございます。
> このたびのSさんの工事はとても手間の掛かる工事だとお察しいたします。
> お引渡しまでしっかりとお願いいたします。
>
> さて、Sさんより照明器具等の相談がありました。前回も打合せに同席した
> 折「電気工事の追加が高すぎる」という話があり、協力業者さんには「10
> 万円程度の値引き」交渉をしていただいたことと存じます。
>
> その後照明器具の施主支給の打合せで、Sさんからまた相談を受けました。
> ■■社長から「うちと業者との関係が悪化し兼ねないので、器具取り付けは
> こちらでやらせて欲しい」と泣きつかれたということでした。私はその場に
> 同席していないので、一方の話だけでは判断できませんが、私の立場は「施
> 主の代理人」という立場になるので、「1円でも安くしたい」という施主の
> 要望を出来るだけ実現する交渉役をしなければなりません。
>
> 施主にとっては「うちと下請け業者との関係が悪化し兼ねない」というのは
> 関係のないことです。無理な発注単価で下請け業者への支払いを減額すると
> いったことは許されませんが、下請け業者の作業や材料コストなどを査定し
> 交渉するのも元請企業の役割です。
>
> 単に下請けから「今回の現場はかなり手間が掛かったので、これくらいの追
> 加は頼むよぉ~」と泣きつかれただけで「建売の現場の何倍もの手間でよく
> やってくれている」という感情論だけで判断しないようにお願いしたいと思
> います。
>
> ■■社長もご承知の通り、工事原価は「材料費」と「労務費」そして「機械
> 損料や会社経費」です。お客さんに対しては「平方メートル単価」などの「
> 材工とも単価」でOKですし、通常は業者支払いもそれでOKだと思います。
>
> しかし、「この現場は儲かっていないから追加でお願いします」というから
> には、その根拠をきちんと確認し、本当に原価や下請けの会社経費も賄えな
> いほどのものなのかを査定して欲しいものです。それが、今後も業者に「貸
> し借り」なくきちんとした見積を出し支払いが出来る関係になると私は考え
> ています。
>
> 例えばコンセント取り付けが10箇所であれば、「器具代×個数+10個の
> 取り付け時間(工数)」を10で割ったものが、1箇所あたりの単価になりま
> す。5個になっても、工数は半分にはならないので単価は割高になるでしょ
> う。逆に、数量が倍になれば、元請企業としては本来協力業者に交渉の余地
> があるはずです。
>
> 特に、今回「器具自体の支給は仕方ないが、器具取り付けは電気工事業者に
> させてくれ」と言われたと聞いていますが、その根拠が分かりません。器具
> の儲けがなくなった分、取り付け代でその穴を取り戻すということだったら、
> 例えば「2万円しか労務費が掛からないのを7万円で請求する」と宣言して
> いるようなものです。
>
> 材料と役務に対してお金を払うのであって、(施主支給という)材料分の儲け
> がなくなったら役務を水増ししなければ「割に合わない」と下請け業者がい
> っているのを、そのまま真に受けて施主に「器具取り付けをさせて儲けさせ
> てやってくれ!」と代弁しているのです。
>
> 役務を依頼したらきちんと支払うし、役務がなければ支払う必要もないのが
> 「取引」です。それは電気工事店の経営者も分かっているはずです。そこを
> 器具代や材料コストも「なぁなぁ」で実行予算管理できていないから、儲か
> った現場や儲からなかった現場が出てくるわけです。それは、施主の責任で
> はなく、施主に負担をお願いするものではありません。
>
> 根拠を明示し、正当な理由で施主に負担をお願いすれば、施主も納得して支
> 払うでしょう。自社の利益もきちんと確保し、業者のコントロールもしっか
> り出来るよう、宜しくお願いいたします。
>
> また、Sさんの要望もあり、本来私は契約の当事者ではありませんが、追加
> 金額については、発生した時点で速やかに私のほうに提出いただき、Sさん
> にお渡しするという形を取らせていただきます。
>
> 私も手間が増え、ここまで関与することは本来避けたいところです。しかし
> 施主の代理人の立場ということをご理解ください。
>
> 今回の耐震偽造の「■方メモ」ではありませんが、私も「コスト削減」に発
> 注者の立場でプレッシャーをかける「コンサルタント(交渉人)」役です。
> 「指示」ではなく「要望」ではありますが「若本メモ」としてご考慮のほど
> お願いいたします。
>
> あくまでも「下請けを泣かす」ということや「手抜きを容認する」というこ
> とではなく、きちんとした「コンストラクションマネジメント」の元に追加
> 金額の査定をお願いいたします。
>
> また、現場もあまり綺麗とはいえません。職人は「道具を大事にする」はず
> ですが、結構あちこち散らばっています。工事現場なので仕方ないとはいえ、
> 整理整頓と道具の手入れは、腕とも比例することが多いと思います。Sさん
> 自身、職人が現場でタバコを吸うのを二回確認したといっています。
>
> 出来上がりや性能はもとより、職人や監督のマナー、現場の綺麗さなどで、
> さらに上の会社を目指して現場を指導していただければ幸いです。

       ●————————
         エージェントの役割
       ————————-●

 上記の方は、その後施主と工務店社長を交え、
 改めて調整を行い、無事お引渡しを終えました。

 住宅プロデュースといった業務も、消費者の代理人として、
 設計者選びや業者選びのサポートを行なうのが仕事です。

 それは、単に建築家や工務店を斡旋して「終わり」ではありません。

 プロを自認する人たちに、しっかりと施主の声を伝え、
 時には軌道修正をさせる役割も担う必要があるのです。

 施主にとって、直接言いづらいけれど不満に思っていることは、
 エージェントを介して指摘されることで、工務店も学ぶことが多いでしょう。

 施主の言えない不満が蓄積し、最後に爆発するケースは珍しくありません。
 それが結果としてクレームとなり、契約時の信頼関係が失われるのです。
 施主のとっても工務店にとってもマイナスでしかありません。

 素人の施主と、業者側との認識の相違や情報格差を、
 しっかりと「翻訳」しながら円滑な取引となるようにサポートする存在。
 そんなエージェントが住宅業界にも求められています。

 ⇒ 次回に続く

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【 編|集|後|記 】

 私が社会人になりたての頃から読んでいた専門紙が休刊しました。
 一般には馴染みがありませんが、「室内」(工作社)という月刊誌です。

 主にインテリアに関する情報が満載で、
 発行人の故山本夏彦さんの辛口コラムにずいぶん刺激を受けました。

 今、私がメルマガを書いているのも、この本の購読で得た知識や、
 この本が発信していた権力に媚びないスタンスに影響されていると思います。

 50年間続いた、良識ある業界紙がその使命を終えたということですが、
 とても名残惜しい気がします。

 このメルマガもいつかは「終わり」が来るやもしれません。
 それまで、骨太の情報を発信し続けたいと思います。
 応援してくださいね!

 ではまた、再来週お会いしましょう♪

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