2006.4.24 第79号
特命と相見積 ~恋愛とお見合いの違い~
【まぐまぐ公認 殿堂入りメルマガ!】
『住まいづくり専門コンシェルジェ』が綴る家づくり総合マガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.079━2006.04.24━
《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第79号~
◆家づくりは人生最大の「事業」
◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
《発行部数4,894部》
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【今週のテーマ】
・特命と相見積
・お勧め無料レポート
・今週のお勧めBOOKS
・今週のワンポイントアドバイス
・編集後記
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。
どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。
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こんにちは、発行者の若本です。
先週はまた東京に出張してきました。
とある会合への出席です。(内容はまだヒミツです・・・笑)
少し時間があったので、久しぶりに原宿へも行ってみました。
建築家「安藤忠雄」氏が手掛けた、表参道の同潤会アパートの再開発計画
『表参道ヒルズ』なども「一応」見学してきました・・・
それよりも、20年近く前に私が担当した竹下通りの小さなお店が、
まだ元気に営業をしていたのは、ちょっと感激しました!!
変化の激しい時代に、しっかりとファンをつかんでいるのです。
昨年の東京出張で相談を受け、このたび建築スタートした
練馬区大泉学園の現場も訪ねてみました。
⇒ http://esumai.livedoor.biz/archives/50420022.html
では、今週の本文の始まりです。
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▼特命と相見積(1) ~恋愛とお見合いの違い~
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今、国会では「行政改革」が待ったなしの様相を見せています。
談合や天下りなどの弊害が、税金の無駄遣いを生んでいるからです。
税金の無駄遣いのニュースを見ていると、
「随意契約」とか「官製談合」といった言葉がよく出てきます。
契約する相手が事前に決まって、競争原理が働かない状態ですね。
このような発注を「特命」といい、公共工事では「特命工事」といいます。
各企業は「特命」受注を狙い、さまざまな工作をします。
その活動費用(献金や天下りの受け入れ含む)を負担しても、
それ以上の利益を、受注案件から得ることが出来るからです。
では、なぜ発注者側はこれほど大きな社会問題になっても、
「随意契約」や「特命」による発注をやめられないのでしょう?
今回のメルマガでは、世間では余り知られていない、
発注者側の事情を、一般の家づくりに絡めて考えていきます。
きっと「発注者」としての皆さんの家づくりにも参考になると思います。
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特命工事の裏事情
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最近でも、日本道路公団の橋梁工事の談合や、防衛施設庁による談合など、
いつまで経っても、公共事業の「談合体質」は直りません。
なぜ、ここまで「談合」が厳しく批判を浴びるかといえば、
本来ならもっと安く出来ていたものというのが「共通認識」だからです。
公正な形で「競争入札」が行なわれていれば、
それが「指名競争入札」でも「一般競争入札」でも競争原理が働くのです。
100%、談合が行なわれるよりも「安くなる!」と誰でも思います。
>> そうです! 誰もが「確実に安くできる」と分かっているのです。 <<
(少なくとも、高くなると考える人はいないでしょう・・・)
「税金」が国民負担とはいえ、直接自分たちの家計に影響はありません。
しかし談合は、自分たちが負担した税金の「無駄遣い」だとみています。
これが、耐震偽造のように直接自分たちの負担増となったら・・・
自宅を建てるというのは、まさに「直接自分たちの負担」です。
本来は「真剣」になって、負担を減らす知恵と努力を払うハズですね・・・?
でも、不思議と真剣に努力している人は少ないようです。
(読者のあなたはいかがですか?)
▽ ▼ ▽
談合のスタートは、業者間の利害調整でした。
企業規模や業界団体への貢献度などから、年間の受注量を調整していました。
みんなに「分け前」が行き渡るような、業界自身の知恵です。
最近の談合は「官製談合」と呼ばれるように、
公務員が天下り先を確保するために、仕事を与える対価として、
定年前の役人を雇用してもらうという側面も出てきました。
いかがですか・・・?
表面的にみれば、間違いありません。
報道も評論家もそのような論調をしています。
しかし、別の側面を考えると、何かしら「裏事情」がありそうです。
それは自分が発注者の立場になって考えるとイメージできます。
例えば、あなたが勤めている会社の事務所改装の担当になったとします。
あるいは、あなた自身の自宅のリフォームでもいいでしょう。
まず、どこから手を付けていこうかと考えますか?
どこをどうしたいかというのは、箇条書きで出していくことは可能でしょう。
完成したときには「こうなりたい」という希望は伝えられます。
より具体的になるほど、壁にぶつかります。
誰かに助言を受けなければ、およその工期も金額も分かりません。
まわりの上司や経験者から、信頼できそうなところを紹介してもらいます。
「まだ、発注先は決めていないけど、アドバイスしてくれますか?」
「一般的には、どのくらいの予算を考えておけばいいものでしょう?」
呼ばれた業者側は、利潤目的で事業を行なっている民間企業です。
実際にそのような仕事の経験が豊富なので的確な助言をしてくれます。
しかし、無料で教えて喜んでもらうだけでは民間企業は成り立ちません。
教えるだけ教えて、他社に発注されたのではたまりません。
そこで、どうするか・・・・
(決してワイロを贈るとか、裏工作をするといったことではないですよ)
それは、
>> 「他社では困難なやり方を教える」 <<
ということになります。
技術的な特長や、そのエリアでは自社しか持っていない機械を使うとか・・・
とにかく、他社の参入障壁をつくるように知恵を絞って助言するのです。
他社でも簡単に出来ることを助言するのは、
よほど間が抜けている会社とも言えるでしょう。
冷静になれば、皆さんも分かりますね!?
一方で・・・
公務員の方々は、数年で異動していきます。
職場にはこれまでの資料も残り、ノウハウも残っているはずです。
しかし、結局これまでの経験は「人」にくっついて異動していきます。
「経審」と呼ばれる、民間業者の「経営審査」の資料に、
企業の経営状態や入札参加資格、技術に関する評点も記載されています。
(今回の耐震偽造のK建設でも、「経審」書類の偽造が問題となっています)
いくら、書面上に過去の資料が残っていても、
プロジェクトごとに内容の異なる「建築・土木」や「ソフトウェア」の
発注は、実際にかなりの発注経験がなければ業者のコントロールは困難です。
数年で異動する「公務員」が、新しいプロジェクトを発注する。
民間業者から意見を集め、プロジェクトの全体像が出来上がる・・・
税金を使うからには「失敗は許されない!」 (-_-;)
技術の変化も激しく、コストも毎年変動しています。
※ 耐震強度偽造も、検査機関が
最新技術に追いついていないのも露呈しました。
着任して、2~3年の担当者が、
全て具体的指示を出すのは困難でしょう。
だから、その時にはもうすでに、相談した民間企業に頼るのが、
もっとも間違いがないようになっているのです。
打合せの過程に参加していない一般企業を入札に参加させても、
本当に自分たちの意図、予算、工期で出来るのか、確信が得られません。
そうなるように、業者側からも「洗脳」させられています。
「専門部署」とはいえ、業者側のほうがはるかに経験豊富です。
だから、いつまで経っても「業者から教えてもらう」ことが続きます。
ここに「特命にせざるを得ない」理由も潜んでいるのです。
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恋愛とお見合い?
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話は飛躍するかもしれませんが、分かりやすくするために
「恋愛」と「お見合い」に置き換えてみましょう。
他社の参加のない「特命工事」は「恋愛」のようなものです。
それに引き換え「指名競争入札」は「お見合い」のようなもの。
恋愛結婚は、他のライバルを寄せ付けないよう努力し、
「あなただけです!」といわせて、めでたくゴールインします。
恋愛期間中は、他の異性に目が行かないよう気配りは欠かせません。
自分だけのパートナーにしておきたいのです。
しかし「結婚」という目的を達成した途端、
気配りがなくなる人もいますねぇ・・・ (^^ゞ(苦笑)
自分で決めた結婚相手であれば、恋愛時に抱いていたイメージと、
結婚後の相手の態度にギャップがあっても、誰も責めるわけにはいきません。
あなた自身の判断で選んだのですから・・・。
住宅購入でも「この会社の家づくりに惚れました」ということがあります。
雑誌や展示場をみて、見学会に参加し、次第に惚れこんでいきます。
相手は「惚れるように仕掛ける」ことを日々考えている民間企業です。
どの住宅会社も、出来れば他社の参入のない「特命受注」が理想なのです。
なぜなら、自分のいうなりに誘導でき、利益も確保できるからです。
「当社だけとの商談にしてくれたら、その分お安くします!」
こんな経営者(又は営業担当)の甘い言葉を、本当に真に受けますか?
前回のメルマガのように、多少の「出精値引き」は期待出来ます。
しかし、冷静に見て、本当に安くなると思われますか・・・?
業者側は「受注」と「利益」が目的で事業を行なっているのです。
競争原理が入らない中で、業者の判断で自由に出来るのを狙っています。
それは「悪意」ではなく企業にとっての「経済合理性」です。
「相見積をするような人は、どうぞ他社にご相談下さい!!」
「当社のこの性能を、とても他社はこの金額ではできないでしょう!」
「この材料は、決して他社では手に入らないものです!」
男女の関係と同じで、モテる人は「駆け引きじょうず」です。
それは、企業規模による違いではありません。
逆に、小さくてこだわりのある経営者ほど、施主を選ぶようになります。
その会社しか、自分たちが望むような工法、性能が出来ないと思うと、
高くても「特命」でお願いしなければしょうがないか・・・と考えます。
このようなことが、日本の住宅業界全体で繰り返され、
次々と工法が登場し、住宅のコストが押し上げられているのです。
そして、皆さん、個人個人の負担増につながっていきます。
これまでは、そんな状態でもただ受忍するしかありませんでした。
しかし・・・
⇒ 次週に続く
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▼今週のワンポイント・アドバイス
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先週、電話での相談を受けました。
建ててもらう会社は決まっているけど、プランだけでもしてもらえますか?
という質問でした。
話を聞いてみると、地元の有力工務店と商談中です。
元、大手ハウスメーカーの下請けをしており、自社にも設計士がいます。
リクルートの情報誌にも事例が掲載され、設計施工をしている会社です。
「何か事情がありそうですね・・・?」
私が電話ごしに聞いてみると、何度かプランをしてもらったけど、
自分たちが伝えた以上の、プロとしての提案が全く出てこないということ。
シロウトの自分たちが言った通りのプランが清書されるだけのようです。
「どうして、そこに建ててもらうと今の段階で決めているのですか?」
雑誌などを見て、見学会などにも参加し、
その住宅会社に盲目状態になっている人は結構いらっしゃいます。
ほとんど「惚れてしまった」状態です。
しかし、それだけではなく「昨日契約を交わしたからです」との回答!
「えっ!? まだプランが決まっていないんですよねぇ・・・」(@_@)
当然、仕様も見積の明細も出ていません。
でも「お客様の予算を超えません」という特記事項を書いて
まだプランも出来ていないのに契約したというのです。
まずは、設計契約とか敷地調査のための申込金であれば、まだ分かります。
しかし、工事の契約を交わし、契約時に50万円を支払ったというのです。
初めての経験で、信頼した業者さんからの勧めだったのでしょうが、
私自身は驚いて開いた口が塞がりませんでした。
しかし、恋愛と一緒で、他人が口出ししても本人は真剣です。
こちらも「そんなところと付き合うのはよしなさい」とまでは言えません。
(そんな雰囲気でもありませんでした・・・)
ただ、以下のコメントだけは付け加えました。
「その会社に限らず、そんなに契約を急かす会社は
資金繰りが苦しい可能性を否定できません。
第三者の完成保証か、経営者の連帯保証だけは取るようにお勧めします!」
実は、倒産直前の会社は結構このようなことをします。
耐震偽造のK建設も、事件が発覚する直前の昨年11月に、
経営コンサル会社を通じて、ホテルの工事代金回収を急かしていましたね!
技術力やいい家を建てるといった以前の「契約の取り方」です。
競合相手が入ってくる前に「契約」というツバを付けておきたい気持ちは
分からないでもありません。しかし、すべて業者側の都合です。
「特命工事」を受注するために、そんなことまでしているのです。
これは、ほんの氷山の一角かも知れません。
では、今週のワンポイントアドバイスです。
☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆
1.「特命工事」や「随意契約」は無駄なコスト負担をしている。
⇒ 自分の懐から直接出さなくても、皆分かっていますね?
2.「特命工事」は、発注者の専門知識や経験不足も要因のひとつ。
⇒ 数年で異動するため、発注者にノウハウが蓄積されていない?
3.「特命」ではなく「入札(相見積)」を検討しよう!
⇒ 相見積に関しては、次号までお待ち下さい・・・
☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆
前回の「ワンポイントアドバイス」にお礼のメールが届きました。
契約前に、見積の明細や仕様書はしっかりチェックしよう!というものです。
今回の電話相談の方も、前回のアドバイスを生かしていただければ・・・
しかし、各社「倫理観」が崩壊しつつある危険性を感じてなりません。
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【 編|集|後|記 】
小泉内閣誕生から5年が経ったそうです。
2001年4月26日に発足し、歴代3位の長期政権となりました。
私が起業して会社設立をしたのが2001年5月1日。
ほぼ、小泉内閣と同じ時代を走ってきました。
ようやく、今月末に5期目の決算を終えると、設立5周年を迎えます。
最初の3年間は赤字で、会社の存続も危ぶまれました。 (^^ゞ
しかし危機よりも、希望と自分の役割を確信し、ここまでやって来れました。
この5年間で、お客様といい仲間にも恵まれ、
メルマガ発行によって、多くの方に情報発信もできるようになりました。
振り返ってみると、大変でしたが充実した5年間でした。
また、新しい事業年度が始まります。
次の5年、さらにお役立ちできるよう頑張っていきたいと思います。
どうぞ、皆さんの応援を宜しくお願いいたします!
▼こちらの応援もヨロシク! (^_-)-☆
⇒ http://esumai.livedoor.biz/
ではまた、再来週お会いしましょう♪
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