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家づくりで泣く人・笑う人

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2006.7.03 第84号

家相と住まい   ~自然と共生した祖先の知恵?~ 

 【まぐまぐ公認 殿堂入りメルマガ!】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.084━2006.07.03━

《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                        ~第84号~
   ◆家づくりは人生最大の「事業」
   ◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
   ◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
                     《発行部数5,098部》

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 【今週のテーマ】

 ・家相と住まい
 ・今週のお勧めBOOKS
 ・今週のワンポイントアドバイス
 ・編集後記  
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
 取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

 ■発行者のプロフィールはこちら
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  http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/profile.htm
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 こんにちは、発行者の若本です。

 前回のワンポイントアドバイスに、耐震実験のCMについて書きました。
 「繰り返しの地震に強い」と、真四角総二階の建物を揺らしているCMです。

 少し補足して、自動車メーカーの衝突実験と比較すれば面白いでしょう。

 自動車メーカーは「市販車のボディ」でいろいろなぶつけ方を試します。

 正面だけでなく、一般の事故を想定し、
 助手席や後部座席の「衝突安全性能」も重視します。

 つぶれないのがいいのではなく、人に損傷を与えない潰れ方もあるようです。

 その結果は、自社独自ではなく、別の機関が評価し、
 メーカー別、車種別に発表されます。

 そのコマーシャルで、どう見ても市販車じゃない車が使われていたら
 視聴者から失笑を買うでしょう・・・

 昔、刑事ドラマのカーチェイスで壊される車が分かっていたように・・・

 そんなCMはきっと広告代理店もつくらないでしょうし、
 テレビ局も「放送倫理」に照らして放映を自粛するでしょう。

 「え~っ。私たちが乗っている車ってこんな形状じゃないよ!」

 でも、住宅は・・・???
 (ひとつとして同じ建物がないことをいいことに・・・)

 首都圏で、600棟を超える新築建売住宅の耐震強度不足が発覚しました。
 すぐに手を打ったため、意外にも社会問題にはなっていません。 

 この会社は「外部の設計事務所に設計委託した物件だけ」が、筋交いの不足
 が認められ、自社設計には一切なかったと発表しています。
 ホント・・・?

 まだまだ住宅業界は不透明感がいっぱいです・・・。(;-_-;)

 では、今週の本文の始まりです。 

——————————————————————–
 ▼家相と住まい      ~自然と共生した祖先の知恵?~
——————————————————————–

 家づくりをスタートした頃は、あまり意識されない「家相」や「風水」。
 まずは、建築コストや建物のイメージ、使い勝手などが優先されますよね。

 間取りプランがそろそろ確定した頃、
 身内や周囲から「家相は大丈夫・・・?」と声を掛けられます。

 それまで、ほとんど縁のなかった「家相」が突然、
 家づくりの制約条件に追加されることも少なくありません。
 それまで住んでいた家の家相を気にしていた人はわずかなのに・・・

 今回のメルマガは家づくりに大きな影響を与える(?)
 家相について考えていきます。

       ●———————-
         家相のトラブル
       ———————–●

 私のところには、毎週のようにさまざまな相談メールが届きます。

 苗字だけで、どこの誰か分からない方でも、
 お困りのようなので返事を出しているとついつい長文になってしまいます。

 今回、「家相のトラブル」についてメール相談がありました。
 大手住宅メーカーで「家相は大丈夫!」と太鼓判を押され家を建てた方です。

 すでに引渡しを受けて入居した後に、
 知人から「家相を見てあげよう」といわれたそうです。

 メーカーに太鼓判を押されていたので、
 自信を持ってみてもらったところ・・・

 「良くない!」と言われたそうです。  (-_-;)

 早速メーカーの営業担当者にクレームをつけたものの、
 対応が芳しくなかったため、私に相談メールが届きました。

 事情がよく分かりませんでしたので、私は下記のような返事を出しました。

 ——-<↓ここから↓>—————————————-

 おはようございます。
 家相に関する相談ということですが、状況がよく分かりませんので下記再確
 認させてください。

1.家相が良くないと言われた理由

 一般的には、「鬼門」や「裏鬼門」そして「欠け」や「張り」などが言われ
 ます。その他に仏壇の位置など、それこそたくさんの要素がありますが、人
 によって、宗派によって、あるいは建て主の生年月日によって変わってくる
 と言われているので、それが「本当に根拠があるものか」を確認されていま
 すか?

2.家相の相談をした相手の信頼性

 「あなたの家相を見てあげましょう」と来られた方は、本当に信頼おける方
 でしょうか?屋根工事や床下のシロアリ、耐震補強の業者さんたちは、親切
 ぶって「無料でみてあげます」と近づいてきて、「ここを見て下さい。この
 まま放置していると大変なことになります」と、危機を煽ります。

 決して「お宅はまったく安心ですから良かったですね!」と引き上げること
 はありません。

 足裏診断など、いかがわしい宗教団体などは、必ず「このままだとあなたは
 不幸になります」と、不安を煽ります。家相を見る人、風水師なども、商売
 でやっている限りは、親切心でお金にならない「何も心配はありません」と
 いう助言は行ないません。

 商売でやっていないシロウトのにわか風水師であれば、なおさら指摘はあて
 になりません。

3.メーカーの対応

 家相に対して、メーカー側はどのような回答をされているのでしょうか?
 そもそも、完成引渡しが終わった建物で、いまさら「家相が悪いから」とい
 うのは、それを容認した個人の責任となります。設計段階で専門家に家相を
 見てもらい、具体的な要望を出したのにもかかわらず、無視した建物を建て
 たのであれば問題ですが、施主が設計の承認を出し、建物が完成して「引渡
 しを受けた」ということは、メーカー側は契約どおり履行したということに
 なります。

 私は、家相や風水の専門家ではありません。
 もし指摘された家相が気になるのであれば、それを解決する「風水的処理」
 もあるかと思います。

 風水のメルマガを出している一級建築士で、仙波甚一さんという方がいらっ
 しゃいますので、例えばそんな方にご相談されたらいかがでしょうか?
 ネットで検索されると出てくるはずです。

 不十分かも知れませんが、取り急ぎ回答まで。

 ——-<↑ここまで↑>—————————————-

 苗字だけのメール相談なので、これ以上具体的な回答はできませんでした。
 しかし数日後、この相談者から電話をいただき、少し事情が分かりました。

 お話をお聞きすると、何と5人の家相の専門家に診てもらったそうです。

 5人とも、家の中心の取り方は若干違うものの、
 「これは家相が悪い」という指摘だけは一致したそうです。

 こう複数の専門家から指摘を受けると、気持ちのいいものではありません。

 メーカーの営業担当者を呼び、確かに「家相は大丈夫だといいました」との
 確認は取り付け、支店長まで出てきたものの、問題解決には至っていないと
 いうお話でした。

       ●————————
           先人の知恵
       ————————-●

 物事を教えても分からない時、人は全く違う例えで分からせようとします。

 たとえば子供に「罰が当たるよ!」と叱る母親のようなものです。
 『なまはげ』など、各地に伝わる伝説もいろいろありますよね?

 確かに、悪いことの理屈を教えるよりも、
 恐怖心でしないように仕向けるほうが簡単です。

 それが、「結果として危険を避けられる」のであれば有益です。
 例え事実ではなく、比喩だとしても!

 特に昔は読み書きが出来なかったので、
 強烈なイメージで分からせる必要があったのでしょう。

 風水や家相も、先人の知恵から生まれました。
 「統計学」だという方もいますが、そのデータも根拠も私は知りません。
 占星術などの占いも統計学なのでしょうか・・・?

 建物の「欠け」などは耐震性を考えれば説明がつきます。
 鬼門や裏鬼門も、湿気や風通しを考えれば、おおむね理解できます。

 風水で「部屋の中央にある階段は凶」だとも聞きました。
 説明では「吹抜けや階段は『気』が不安定になるから」ということでした。

 よくよく考えてみれば、断熱性能が劣る昔の家では、
 家の中心に階段や吹抜けがあれば、冬は寒くてたまりません。
 また、床剛性が低くなり、耐震性能も劣ります。

 今年5月にジャワ島で大地震がありました。
 耐震性能の低い建物が多く、多くの家が倒壊していました。

 トルコやインドネシアのような地震国でも
 日本のような耐震技術も、厳しい耐震基準もないのでしょう。

 家相が発達した江戸時代の日本も同じでした。

 庶民が住む家に、高度な木組みの家はありません。
 社寺建築や武家屋敷などの限られた建物だけです。
 もちろん筋交いなどもなく、木組みや仕口、貫などで建物を固めます。

 そんな頃、地震国「日本」で大きな地震が起こった時、
 倒壊するのは、バランスの悪い変形した建物が多かったと想像できます。

 それは、今でいう「欠け」のある間取りですね。

 「あの建物は、東南に欠けがあったから、地震で倒壊した!」
 「家相が悪いから、あんないい人が亡くなったんだ!」

 人の不幸は噂が広がるのが早いものです。

 ちなみに「張り」のある間取りでは、倒壊の危険性はきわめて低くなります。

 (このメルマガでは「張り」や「欠け」の解説は省略します)

 また、トイレが厠(かわや)と呼ばれて、建物の外にあった時代、
 当然「水洗」などはないので、家に臭いが来ない場所が望まれます。

 台所が「クド」(かまど)と呼ばれていた頃、
 当然「冷蔵庫」のようなものはありませんでしたから、
 食べ物にカビが生えたり、腐ったりしにくい場所が望まれます。

          ▽ ▼ ▽ 

 このように考えると、昔の人たちが家を建てるとき、
 「失敗しないためのルール」を口伝えしたと考えても不思議ではありません。

 お風呂が寒いところにあると、体が冷えて脳卒中になる可能性が高まります。
 湿気の多いところや日が差し込まないところは、病気になりがちです。

 台風は、ほとんど「裏鬼門」の方向から近づいてきます。
 真夏に西日がきつい方向も決まっています。

 西日に向かって窓を設けるよりも、
 窓のない床の間のほうが、畳の日焼けもありません。
 西日の暑さを部屋に入れないことも、夏のしのぎやすさにつながります。

 自然と共生し、機械装置も技術もない時代には、
 先人の知恵でルールを守り伝えていくしかなかったのではないでしょうか?

 それが、地域によりさまざまな流派を呼び、
 風水や家相となって、家づくりに影響を与えてきたのだと私は思います。

 今や、建築基準法で機械換気が義務付けられ、
 耐震基準も厳しくなった現代の建築で、

 「南西に欠けがあったら、子供が不良になる」

 といったことがまことしやかに言われ、
 プランを左右させているケースもあるやも知れません。

 皆さんの家ではいかがでしょうか?

 まぁ、前出の方のように、あまりにも多くの専門家に「家相が悪い」と
 指摘されると、本当はいい家相であっても、ネガティブになってしまいます。

 家相を信じすぎて、使い勝手の悪い間取りや
 精神的にネガティブになってしまうのは、やっぱり避けたいですね!

 正月のおみくじで「凶」が出ても気にしないくらいが気楽です。
 皆さんはどれほど気にされますか・・・

 ⇒ 次週に続く

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             ▼今週のお勧めBOOKS
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  若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。

●「いい家」はこうつくる こだわりのヒント集

                 金堀一郎 著  [ニューハウス出版]

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 ↑私が広島でいつもお世話になっている住宅デザイン研究所の金堀所長。
  この本の「Part7」書斎・家事室・趣味室には、特に参考になるヒントと
  スケッチがいっぱいです。ちょっとした工夫で住まい方が変わります。

  今週末には、ご自宅でのバーベキューパーティに参加予定です!

  ■ニューハウス出版
   ⇒ http://www.newhouse.co.jp/

  いよいよ、私の出版プロジェクトもスタートしました。
  今月は、打合せも兼ねて久しぶりに上京する予定です。

  やっぱり、メルマガ発行は月一回になりそう・・・かな!?

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          ▼今週のワンポイント・アドバイス
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 世の中の現象がすべて科学的に解明できるわけではありません。
 たまには「ゲンを担ぐ」ということがあってもいいでしょう。

 理屈じゃないときには「プラス発想」で考えたいですね。

 「いつかきっといいことがあるだろう!!」

 家相や占いも、良い点を伝え、特長を伸ばせばいいのですが、
 相手を不安にさせることのほうが多いような気がします。

 目の前に専門家がいない「おみくじ」など、
 不安にさせても、損得がないものは、いたずらに不安を煽りません。

 私は「いいことだけ」を記憶に残す「ポジティブ・シンキング」です。
 家相が悪くても、別に解消策を見出しましょう!

 だって、これまで住んでいた実家だって、借りていた賃貸住宅だって、
 家相を気にして生活していましたか・・・?

 家相を気にせずとも、幸せな生活を営んできたはずです。
 だから、今、家を建てる土俵に乗っているのでしょう!?

 では、今週のワンポイントアドバイスです。

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 1.間取りが決まった頃に、家相の話がよく出てくる。
      ⇒ 気にしていなかった家相が突然制約条件に!?

 2.家相が悪いといわれる家を、機械装置のない時代で考えてみよう!
      ⇒ 自然災害や高温多湿の気候風土が、家相の原点?

 3.家相で不安になるより、いいことだけを信じよう!
      ⇒ 自然に逆らわない家をつくれば安心!

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■参考情報 ⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clumn/vol_26.htm

   ↑コラム『旬(しゅん)』
    (若本が以前書いたコラムに、参考情報があります。)

    日本人は自然と共生し、季節の移り変わりを感じてきた民族です。

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【 編|集|後|記 】

 「理にかなう」という言葉があります。

 それは「理屈に合う」というだけでなく、
 自然の摂理に逆らわなければ、自然にそうなることも含みます。

 世の中「理屈」だけでは通りません。

 家相や風水は、本来、人々が幸せになるための先人の知恵です。
 決して、人々を不安に落とし入れたり「占い」の商売にしてはいけません。

 私が発信している情報も、
 時には消費者を不安にさせることがあるかも知れません。

 しかし、根拠なくいたずらに不安を煽るのではなく、
 しっかりと根拠を示し、不安を解消できればと思います。

 「理にかなった、誰でも理解できる根拠や事実」を追求したいですね。

 このたびメールで相談を受けた方から、以下の質問を受けました。
 商談中のハウスメーカー営業マンからの話だそうです。
  (恐らくユニット系のプレハブメーカーでしょう)

 > 昔の建物は釘をほとんど使ってないから丈夫だけど最近はほとんどが釘
 > を使っているから建てるときに雨にさらされて釘が錆びてすぐに建て替
 > えしなければならなくなりますと言われたのですが本当なのですか?

 木造住宅や工務店の家づくりに、
 こんな不安を植え付けようとする営業マンもいるのです。

 工場生産が本当に「理にかなって」いればいいのですが・・・

 ではまた、再来週お会いしましょう♪
 (来月になってしまったらゴメンナサイ!)

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