2007.2.26 第92号
原価公開の意味 ~真に正直な家づくりとは・・・?~
【まぐまぐ公認 殿堂入りメルマガ!】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.092━2007.02.26━
《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第92号~
◆家づくりは人生最大の「事業」
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◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
《発行部数4,617部》
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詳しくは本書の付録のページをご覧下さい!!
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【今週のテーマ】
・原価公開の意味
・今週のお勧めBOOKS
・今週のワンポイントアドバイス
・編集後記
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。
どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。
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こんにちは、発行者の若本です。
今年に入り相談急増で、1ヶ月ぶりの発行となってしまいました。
どうしても、まずは進捗中の現場や相談が優先となりますのでご容赦下さい。
この1ヶ月も多くのニュースが流れました。
談合疑惑で知事が辞任した宮崎県でも新風が吹いています。
今「旬な話題」といえば、東京都知事選でしょうか・・・?
建築家の黒川紀章氏が立候補しましたね!
実は、メルマガで黒川氏のことを書こうと思っていた矢先なので、
グッドタイミングになりました。
建築業界では、黒川氏の言動が少し前から注目されていました。
彼の代表的作品のひとつ「中銀カプセルタワー」などの建替え問題です。
建替え計画に参画している建築家に対して、
名指しで「本気か!」と、自らの展覧会で問うているようです。
歴史的・社会的価値のある建築物として「保存せよ!」という立場です。
会場は、黒川氏自ら設計した「国立新美術館」(港区六本木)。
■国立新美術館のホームページ
⇒ http://www.nact.jp/
従来の建物の保存運動は、伝統的建造物がほとんどでした。
設計者も棟梁なども、すでに他界しています。
しかし、今回はご本人が現役の著名建築家なので話は複雑です。
そこで、都知事選への出馬表明です!
マニフェスト(公約)は「東京オリンピック中止」でしたね!?
建築業界の人は「ピ~ン♪」と来たのではないでしょうか?
そうです!東京オリンピックの基本デザインは、
大阪在住の世界的建築家「安藤忠雄」氏なのです。
私は、東京都がなぜ都内の建築家ではなく
大阪の安藤氏に依頼したのか、不思議でした。
都内の著名建築家から批判の声があがるのではないかと・・・
(ちなみに対抗馬の福岡は「磯崎新」氏です)
黒川紀章氏が、東京五輪を阻止したい理由は・・・
「石原さん本気か・・・!」
黒川氏と長年の友人である石原都知事も、
建築家の「高~いプライド」を傷つけたようです。
★あくまでも、若本の邪推です・・・(^_-)-☆
ちなみに国立新美術館は、黒川氏も所属する「日本建築学会」が、
保存要望書を出していた「歴史的建造物」だったそうです。
黒川氏は、保存運動に苦言を呈したというから面白い!
では、今週の本文の始まりです。
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▼原価公開の意味 ~真に正直な家づくりとは・・・?~
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以前から「原価公開」を打ち出している住宅会社がありました。
最近では書籍でも「原価公開」を目にするようになりました。
最近は、政治の世界でも「透明性を高める」とか、
マニフェスト(公約)を掲げて、市民にアピールする手法が歓迎されています。
それだけ、不透明で信頼されていない証(あかし)といえます。
住宅業界でも同様に、「原価を公開する」ことで、
「透明性を高めている」と掲げる会社が現れてきました。
今回のメルマガでは、「原価公開」の意味を考えてみます。
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家づくりの原価
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原価公開をセールスポイントにしている手法は大きく2つに分かれます。
床面積に比例して、工事原価の坪単価が変動するタイプと、
積み上げ式の工事原価に比例して、会社の利益率が変動するタイプ。
少し分かりにくいでしょうか?
まとめてみると・・・
【坪単価変動型】*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
前者は、例えば40坪であれば、工事原価が坪単価40万円。
45坪になれば坪単価38万円、50坪だと36万円といった形で、
床面積が大きくなるほど、坪単価が安くなる仕組みです。
【粗利率変動型】*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
後者は、例えば工事原価が1500万円だったら、利益率が22%。
1800万円になれば20%、2100万円で18%といった形で、
工事金額が大きくなるほど、粗利率が低くなる仕組みです。
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いずれにせよ、工事の原価を公開して、
規定の利益を施主に負担いただくという形です。
▽ ▼ ▽
『坪単価変動型』は、床面積によって「目標原価」が決まっています。
つまり、工事金額は建物の規模が決まった時点でほぼ確定します。
その代わり、建物の仕様や性能もほぼ「標準仕様」が決まっています。
詳細見積をする手間を省き、
商談スピードをアップさせる仕組みでしょう。
おおむね、原価の内訳提示はないようです。
各業者から見積を取る手間も省き、
坪単価によって各業者への発注金額も決まっていくからです。
積算や見積書作成の手間を省くことで、全体コストを抑えます。
一方『粗利率変動型』は、各業者からあがってくる見積を提示します。
積み上げ式の原価計算で、設計や仕様の自由度は高まります。
設計事務所がプランした物件でも対応可能です。
どちらかというと『分離発注』に近い形です。
分離発注と異なり、責任は元請工務店が取ってくれます。
そのリスクも含めた「粗利率」の計上です。
仕入先の見積書だけでなく、
請求書まで開示するケースもあるようです。
まるで「政務調査費問題」で揺れる議員のようです。(^^ゞ
し・か・し
坪単価変動型は「明快」だけど「透明性」には疑問が残ります。
粗利率変動型は「透明」だけど「明快」かどうかに疑問ありです。
前者は、坪単価を公開しているため、他社との比較も容易です。
価格競争力がなければ、負けてしまうので価格を抑える期待も出来ます。
もちろん、設備のグレードも「安かろう」では見向きもされません。
人気のある設備を揃える努力もしているでしょう。
後者の会社で、消費者が得られるメリットは・・・
もしかして、単に「透明」というだけ?
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本当の原価公開
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今の時代「透明で、裏がない!」というのは、
消費者にとって魅力的かもしれません。
運営者側も、「隠さない」ことで精神的にも楽でしょう。
隠さなければ作業手間も減らせるかもしれません。
しかし、本当に家を建てる人が「原価公開」を求めているのでしょうか?
業者からの見積を数多く見せられ「私たちは正直です!」と、
訴えられても、本当にその金額と施工内容の妥当性が分かるのでしょうか?
もっと違う施工方法や仕様があり、
アイディア次第では、もっと安く求める性能が入手できるかも知れません。
下請け業者さんからあがってきた見積が、交渉もされず
そのまま提出されたとしたら、必ずしも安いとは言えません。
本来、原価というのは「下請けからあがってきた見積」ではないのです。
では本当の原価とは・・・
▽ ▼ ▽
「材料の価格」と「人件費」(現場の手間や運搬に掛かる人手など)、
「機械・工具の損料」、そして「会社経費」です。
『工種別』に分離発注するのではなく、
『材工別』で発注しなければ、本当の原価は分かりません。
その「資材の費用」が、一般消費者がホームセンターや
建築金物店で購入するよりも安ければ、材料原価は納得です。
工事現場の「職人手間」も、時間給や日当が常識の範囲内で、
実際に現場に拘束された時間が明示されれば、高くても納得です。
もちろん、現場に持ち込む機械類の損料も計上します。
車に掛かる費用や電話・ファックスなどの経費も必要です。
その根拠を積み上げ、集計すれば「原価公開」が可能です。
やれば出来るでしょうが、私でも大変な作業です。
本当に大切なことは・・・
>>> さまざまな組み合わせの中から、最適な選択肢を選び、
効率的にマネジメントしていくこと!!! <<<
そして、その費用が『工事金額と連動しない』こと。
50万円のシステムキッチンと、250万円の高級システムキッチン。
打合せの手間や発注の手間は、そんなに変わりません。
配管や設置の手間も、運搬費はどうでしょうか・・・?
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▼50万円のシステムキッチンが20%の粗利で10万円
▼250万円の高級キッチンが15%の粗利で37.5万円
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家づくり世代の「給料1か月分」に相当するこの差額に、
たとえ「原価公開」といっても、合理的説明がつくでしょうか?
工務店や住宅会社の仕事は、打合せと発注、現場での検品作業などです。
工事費や機器の価格と連動する利益率に「正当な根拠」は見当たりません。
お客様の「懐具合」によって、利益が確定するのです。(-_-;)
ちなみ、私は「定額制」のサービスを行なっています。
予算や工事金額に、私の業務費用は全く影響を受けません。
だから、施主の望む「コストダウン」に知恵を絞れるのです。
新しく「お客様の声」をいただきましたのでご紹介します。
⇒ http://www.cms-hiroshima.com/reason/reason-019.html
建築コストを下げるには、
時間給の高い人が効率よく働く仕組みが必要です。
国会で棚上げになった「ホワイトカラーエグゼンプション」も
同様な考え方でしたね・・・!?
原価公開よりも、むしろ「マネジメントの仕組み」が、
安くて品質の高い家づくりに欠かせないと私は思います。
⇒ 次回発行に続く
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▼今週のお勧めBOOKS
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若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。
●家を買いたくなったら 長谷川高 著 [WAV出版]
http://www.amazon.co.jp/dp/4872902785/ref=nosim/?tag=cmshiroshima-22
↑欠陥住宅調査の第一人者、岩山健一さんの紹介でお会いした長谷川さん。
「デジタル不動産コンサルタントLTD」の代表として活躍中です。
私と同様「消費者志向」で分かりやすい本を書かれています。
アマゾンの「カスタマーデビュー」が私より多くて、満点の5つ星!
うらやましいですねぇ~!(笑)
■メルマガ「幸せの不動産学」~不動産で豊かになつための知恵~
⇒ http://www.mag2.com/m/0000095657.html
(若本)
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┃若┃┃本┃┃の┃┃本┃┃棚┃今週のお勧めBOOKSが本棚になりました。
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http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/books2.htm
アマゾン・ドット・コムですぐに書籍が購入できます。
私もよく利用しています!! (^_-)<☆
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▼今週のワンポイント・アドバイス
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前回は「日本人は保証に弱い」のではないかと書きました。
最近では「透明性」とか「正直なこと」に弱くなっている気がします。
マスコミに取り上げられると、ウワァーとブームになり、
ウソが発覚すると、突然「悪人」に仕立て上げられます。
情報番組の「捏造」なども、権威のある人から
それらしき根拠を提示されると、多くの人が信用しました。
アパホテルなどの耐震偽装も、
「素直」に謝ったので、大きな事件には発展しませんでした。
「正直そう」だといえば、ヒューザーのマンションを建設した
熊本の建設会社の社長も、私には正直そうに映りましたが・・・
東京支店長も同様に・・・
私から見れば「原価公開」は、
値引き交渉をさせないための仕組みです。
人々が信頼してくれて、値引き交渉も起こらない。
業者側が損を出すことのない、よく考えられた仕掛けです。
仕事をすれば、確実に「規定の利益」が得られるのです。
しかし、本当に「正直」なのか「安くなる」のか分かりません。(-_-;)
では、今週のワンポイントアドバイスです。
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1.住宅の原価公開には大きくふたつの方式がある。
2.本来の住宅の原価は「工種別業者価格」ではなく「材工別集計価格」
3.工事金額と連動しない、マネジメント提供型サービスが求められる!
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■参考情報 ⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clumn/vol_19.htm
↑コラム『下請け業者と原価公開』
(若本が以前書いたコラムに、参考情報があります。)
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【 編|集|後|記 】
先般、免震工法の勉強会に参加してきました。
各メーカーとも、科学的データをもとに、最新装置を開発しています。
しかしその原点は、五重塔などの昔の建造物にも採用されていたものです。
しかも、免震は「震度3以下では効果を発揮しない」そうです。
機会があれば、詳しくまとめたいと思います。
広島の郊外、宮島対岸の「宮浜温泉」に行きました。
2月というのに、もう沿道の桜が咲き始めていました。ビックリです!
地球規模の異変に、私たちはなす術がないのでしょうか・・・
自家用車の異変にも気づかず、高速道路でエンコした若本でした。(苦笑)
(レッカー車を呼んで、今修理工場に入っています。)
皆さんも、車の点検、家の点検、そして体の点検をたまにはしましょうネ!
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