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家づくりで泣く人・笑う人

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2007.8.30 第99号

日米の住宅事情 ~サブプライムローンの問題とは?~ 

【まぐまぐ公認 殿堂入りメルマガ!】

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《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                        ~第99号~
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   ◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
   ◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
                     《発行部数4,502部》

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 【今週のテーマ】

 ・日米の住宅事情
 ・ワンポイントアドバイス
 ・編集後記
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
 取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

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 こんにちは、発行者の若本です。

 最近なかなか時間が取れず、月一回の発行になってしまいました。
 このメルマガを楽しみにされている皆さんには申し訳ありません。m(_ _)m

 前回告知させていただいた通り、私が全文を書くのは、
 次回の100号までとさせていただきます。

 それ以降は、おもに社内のスタッフにバトンタッチです。
 発行人として、全体の監修はしていきます。

 さて、大阪世界陸上や安倍内閣の改造、悲惨な事件などの陰に隠れて
 住宅業界では大きな、しかし扱いは小さな記事を見つけました。

 それは・・・

 

 住宅業界トップ企業の「営業停止命令」の記事です。

 http://esumai.livedoor.biz/archives/51044904.html

 今年初めに発覚した、不二家の問題から、コムスン、ミートホープ、
 英会話学校大手のNOVA、「白い恋人」の石屋製菓・・・

 最初は「業務改善命令」から行政指導が行われます。
 かなり『悪質』でなければ、行政から「営業停止命令」は行われません。
 しかし、あまり大きなニュースとして取り上げられませんね?

 耐震偽装の問題から、今年6月に建築基準法が大改正され、
 建築業界、設計業界は大混乱。

 まるで帰省ラッシュ時に起きた玉突き事故の様相で、大渋滞です。
 設計事務所からも悲鳴や「廃業」の話も聞こえてきます。

 中越沖地震などもあって、
 住宅業界トップの不正には、もっと関心が集まると思いましたが・・・

 やはり、日常的に口に入る食品の衛生管理や、
 普段から反発を買うような言動をしているところが、
 マスコミのやり玉にあがるのでしょうね・・・?

 年間の広告出稿量も影響しているのかも・・・(^^ゞ
 
 では、今週の本文の始まりです。 

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  ▼日米の住宅事情   ~サブプライムローンの問題とは?~
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 この夏、世界中で株価が暴落し世界の金融当局が慌てました。
 その発端は、米国の低所得者向け住宅ローンの焦げ付きでした。

 いわゆる「サブプライムローン問題」です。

 プライムが「優良」でサブがつくと「やや」とか「次」となります。
 優良の借り手とは言えない、低所得者向けの高金利の住宅ローンです。

 東京の住宅・不動産業界では、ミニバブルがささやかれていますが、
 今回のメルマガでは、日米の住宅事情について考えてみます。

       ●————————-
          等価交換の原則?
       ————————–●

 私が独立した2001年、住宅業界の新しいサービスを模索していた時、
 数多くの専門家に面談して、自分の考えを伝えていきました。

 その時のキーワードが「差別化」です。

 数多くの住宅会社、工務店、建材店の経営者との付き合いの中、
 どの会社も競合他社との「差別化」に腐心していました。

 それが「高気密高断熱」であったり「自然素材の健康住宅」だったり、
 「ローコスト住宅」であったりと、差別化に余念がありません。

 当時の私の立場は、そのような「差別化」を支援して、
 相談を受けた企業の業績が伸びるサポートをすることでした。

 そのサポート業務を「ITを利用」して効率化できないだろうか・・・?

 新しいビジネスモデルを考え、「中小企業創造活動促進法」も取得し、
 行政からも「ベンチャービジネス」としてのお墨付きをいただきました。

      「効率の悪い住宅業界を変えてやるぞ!!」

 以前、講演を聞いて、何冊も書籍を読んでいた
 住宅業界の生産性向上の第一人者「NPO法人住宅生産性研究会」の
 戸谷理事長(千代田区飯田橋)に面談を求め、意見を伺いました。

 そうしたら・・・

 

      「君は何もわかっていないなぁ・・・」

 

 それから延々2時間、たったひとりで先生の講義を受けました。(^^ゞ

         ▽ ▼ ▽ 

 最初は何を言われているのか戸惑いました。

     >>> 「取引の基本は、等価交換だ!」 <<<

 アダム・スミスの国富論から、現在の住宅業界の問題を一気に話されました。
 当時は恥ずかしながら、話の内容がほとんど理解できませんでした。(^^ゞ
 中小企業診断士を持っていながら、断片的にしか筋が見えません。

 しかし、改めて勉強会に参加し、テキストを購読することで、
 ようやくその時の話の意味が理解できるようになってきました。

 その内容を要約すると・・・

 すべての取引は、物々交換の時から、貨幣経済になっても、
 お互い取引するものの価値が「等しい」という前提で成り立っています。

 1万円のモノやサービスに1万円の価値を認める人だけ取引が成り立ちます。
 高いと思えば、交渉するでしょうし、取引は成立しません。

 つまり、すべての取引は「等価交換」ということです。
 考えてみると当たり前ですね・・・?

 その当たり前の概念が、日本の住宅・不動産業界に「無い」というのです!
 建物価格しかり、不動産の仲介料もしかりです。

 等価交換ではなく、不当に高い金額で消費者が買わされている?!

 今回のサブプライムローンの問題も、
 背景にはこのようなことが隠されています。

       ●——————-
          交換価値
       ——————–●

 等価交換の原則に当てはめると、住宅や不動産の価値は、
 建物の性能や使用価値が同じであれば、金額が同じであるはずです。

 また同じものを再生産(建築)する場合に、同じコストが掛かるはずですね?

 新築のマンションは、未入居であれば半年後も価値は同じです。
 例え入居しても、傷や汚れを落とすコストを掛ければ、同じ価値なのです。

 補修費用や手数料を除いて、査定される金額が「交換価値」です。
 不動産と引き換えに手にする金額は「等価交換」のはずです・・・ね?
 あとは「需給関係」によって多少の変動があるのです。

 しかし、日本では再建築する場合のコストはかなり安くなります。
 なぜなら、販売経費が掛かりすぎて、最初の金額に含まれているからです。
 建物自体の金額はもっと安い、だから数年で売却すると大幅値引きです。

 話を元に戻して・・・(^^ゞ

 サブプライムローンは、交換価値重視の米国の原則が悲劇となりました。
 日本のように新築購入後、建物の価値が下がらないのです。
 むしろ長い間、住宅の価格は上昇していました。

 だから、不動産の交換価値があれば、所得や個人の信用力に頼らず、
 金融機関は多額の資金を低所得者層にドンドン融資したのです。
 資金の供給源は「ファンド」、金融機関自体のリスクは分散です。

 アメリカの住宅市場の活況とともに、
 全世界から大量の資金が流れ込んで行きました。

 それが、日本のバブルと同様、破たんしたのです。
 返済不能となり、家を手放す人が増えて住宅の価格が下がりました。
 慌てたファンドや金融機関の動きが世界の金融市場を揺るがしたのです。

 ちなみに日本の住宅(建物)は、残念ながら「等価交換」ではありません。
 前出の通り実際の価値よりも高いものを買わされているのです。 (-_-;)

 建物自体に「交換価値」がないのを金融機関が認めているので、
 個人の支払い能力と、返済を保証させることで初めて融資がされるのです。
 しかも団信保険という死亡保険まで負担させられて・・・

 要するに、死ななければローンはチャラにはならないのです。(>_<)

 一方、米国では住宅の交換価値、いくらで売れるか!が、
 融資を貸し出す金融機関の査定になります。

 返済不能になれば、その住宅を差し押さえて売ればすべて解決です。
 それ以降、ローンの残債支払いを求められることもありません。

 建物さえ差し出せば、あとはチャラです。\(^o^)/
 ローン返済のためにさらに高金利のサラ金を借りることも、
 借金で自殺することもありません。 (-。-)y-゜゜゜

 これまでずっと住宅の価格が上昇していたアメリカでは、
 差し押さえた住宅を売却することで利益さえ出ていたのです。

         ▽ ▼ ▽ 

 起業した当時「差別化」に腐心していた私がその後学んだこと、
 それは、対極にある「標準化」という考え方でした。

 日本の住宅が高いのも、欠陥住宅が減らないのも、
 経営効率や現場での作業効率が低いのも「差別化」が元凶です。
 私もずぅ~っと、それに気づかず過ごしてきました。

 差別化を重視するから販売コストも上がります。
 いざ売る時には、アメリカと違い、大幅値下げです・・・(-_-;)

 初めて組み立てるプラモデルを思い浮かべて下さい。
 最初は、説明書を見ながらの組立てで、かなり時間が掛かります。

 慣れてくると、次第に早く、綺麗にできるようになります。
 接合部の形状や接合方法が同じであれば、違うモデルでも簡単です。
 規格と作業手順を「標準化」することで、早く正確に組み立てられます。

 これが、差別化と称して接合部の形状も作業手順も異なり、
 毎回のように説明書を見ながら組み立てているとしたら・・・

 作るほうも手間が掛かるし、出来上がり精度も高まりません。
 部品の製造段階でもコストが掛かります。
 そこに差別化のために特許まで取っていたら・・・

 コストは上がり、業務の熟練度は期待できません。
 現場に行くと、常に「差別化」のために、新しい建材が使われます。
 「施工指導」という、コストアップ要因をさらに付加して! (-_-;)

 日本の住宅は、元来標準化が進んでいました。
 木材の規格寸法や仕口や継ぎ手の加工など・・・

 米国の2×4工法も同じです。
 単純な部材の組み合わせで、熟練の大工でなくても組める工法です。

 部材の加工も流通も、現場の取り付けも、
 標準化によって、安くて確かな品質の建物が出来上がっていきます。
 小さな改善の積み重ねが、さらに安く品質をアップさせます。

 均一のものではなく、標準化によって多品種のアウトプットは可能です。
 まさに、世界でも認められている日本の製造業の原点です。

 DVDやデジカメの記録メディアなどのように、
 規格が乱立すると、メーカーも消費者も余計な負担が増えてきます。
 差別化が行き過ぎると、収拾がつかず混乱は増えるばかりです。

 個性化と差別化は全く別な概念です。
 差別化は、企業の都合でしかありません。
 標準化によって、余計なコストや作業手間が減れば、
 技術面だけでなく、デザイン面も改良を加えていくことが可能です。
 幅広い層に受け入れられ、飽きの来ないデザインの住宅も出来るでしょう。

 それが、アメリカで発達した「CM(コンストラクションマネジメント)」
 や「CPM(クリティカルパス・メソッド)」の原点です。

 ⇒ 次回発行に続く
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     ┏□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┓
          ▼今週のワンポイント・アドバイス
     ┗□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□┛

 サブプライムローンの問題は、全世界の経済を揺るがしました。
 より高いリターンを求めて、投資ファンドのお金が流れ込みます。

 アメリカでは個人の支払い能力ではなく、
 担保価値で住宅ローンが組めるので、借りる側のモラルも低下します。

 まじめな日本人は、低金利の銀行の借金を「期日」に返済するために、
 高金利のクレジット会社やサラ金まで利用してしまいます。

 「とにかく、私が借りたのだから返さなくちゃ・・・」

 アメリカでは物件を手放したら、ハイ終わり!
 「そちらがこの価格で査定して貸したんでしょ・・・?」

 企業の買収でも「LBO(レバレッジド・バイアウト)」という手法では、
 買収対象企業の資産価値などを担保に、買収資金の借り入れが行われます。

 自分たちの支払い能力ではなく、
 買いたい対象物が、将来どのくらいで売れるのかが、貸す基準です。
 手持ちのお金が少なくても、大きなお金を借りれるのです。

 どちらの社会が暮らしやすいのか・・・ (-_-;)

 でも、日本人のように借金で自殺することはありません。
 住宅ローンも返済がきつければ「リスケジュール」という方法もあります。
 詳しくは、またの機会に書きますね!

 では、今週のワンポイントアドバイスです。

☆*☆━━━━━━━━━━━━━*☆*━━━━━━━━━━━━━☆*☆

 1.取引の基本は「等価交換」、日本の住宅業界が忘れた概念?!

 2.交換価値を高めることで、住宅の質も生活の質も高まる。

 3.差別化ではなく標準化で「個性化」と「コストダウン」が実現!

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■参考情報⇒ ★コラム『アメリカの住宅事情』     

       ★コラム『プランブックとCM』        

       (若本が書いたコラムに関連知識を載せています)

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【 編|集|後|記 】

 最近、イギリス人のご主人と日本人の奥さんが相談に来られました。
 また海外赴任の経験も豊富な、自動車メーカーの方もいらっしゃいました。

 お二組とも、住宅展示場などに出向き、何かおかしいと感じたそうです。
 私のホームページを見て、とても新鮮なメッセージを受けたようです。

 特に、自動車メーカーの方の話は私自身も勉強になりました。

 なぜなら・・・

 「ご多分に漏れず、私も住宅展示場に行って記名したら
                 営業攻勢を受けてしまって・・・」

 断りきれずに、SハウスとMホームの工場見学に参加されたそうです。

 普通の人なら、初めて見る住宅メーカーの工場に感激し、
 お弁当や手土産に感謝してズルズルと契約をしてしまうか、

 「この経費、一体誰が払うのだろう・・・?」と
 冷静になってハウスメーカーとの家づくりをやめてしまうでしょう。

 この方も後者になったから、弊社に相談に見えたのですが、その理由は

   「あの工場に技術力もコスト競争力も感じなかった・・・」

 というものでした。

 自動車業界は国際競争にもまれ「生産方式」も「技術や精度」も
 ハウスメーカーの工場など、足元にも及ばないのでしょうネ?!(^^ゞ

 冒頭にも、住宅業界トップ企業の営業停止のニュースを取り上げました。
 一番大切な建築現場に、自社の専任技術者を置いていなかったのです。

 別の大手ハウスメーカー出身の知人もメルマガで告白しています。
 内部告発のようで、とても面白い内容です。
 (施主にとっては笑えませんが・・・)

 タイトルは強烈です!

 ■『住宅・建築メーカーのRC造は、ほとんどが丸投げ?』

 http://www.kuusitsu110.com/meru/merumaga-92.htm

 では、また再来週お会いしましょう!

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