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若本修治の住宅コラム

2002.12.02 第5話

社内検査とお引渡しチェック

前回では、正確な設計図書と情報の共有でクレームは減らすことが出来ると書いた。確かに設計図書通りに施工ができていれば問題はないが、なにぶん人がすることなので、設計通り納まらなかったり、施工ミスが発生したりする。あいまいな設計図書での施工は論外だ。

 

工事現場で設計図書通りの住宅が建設されているかどうかをチェックするのは現場監督の仕事である。住宅の現場の多くは、設計施工の一括請負工事となっているので、住宅金融公庫の検査など一部を除いて社内の監督による自主検査となる。しかし、この「社内検査」が極めて怪しい。現場監督の多くは、建築系の学校を卒業して入社し、現場管理の専門教育も受けず現場に放り出される。私もその一人だった。そこで現場のことを教わるのは、職人たちであり、複数の現場を掛け持ちしている先輩たちには、即判断を仰げないことも多い。おのずと、下請けの専門工事業者や職人たちから、現場の納めはこうやるのだと、彼らのやりやすいほうに誘導されることも少なくない。

 

職人たちにしても、昔は徒弟制度があったため、親方からみっちり仕事の基本を教わった。しかし最近は十分な修行もせず、また新しい建材を扱う機会も多いため、材料にあった施工方法を熟知していない職人も少なくない。初めは職人たちも「こんな施工方法でよいのだろうか」と疑問を持って工事を行なっても、何度か同様な現場をこなすことで、その施工方法が当たり前となってくる。それは断熱材の入れ方であったり、防水紙の張り方であったりする。

 

その職人が同じ施工方法でかなりの現場をこなしても、それが正しい施工方法だとは限らない。例え間違っていても、問題が発覚するのは入居後数年してからだ。例えば断熱材の施工方法が悪くて壁内結露するのは、十年経過しても気づかないかもしれない。その施工方法でこれまでやってきたと豪語する職人に、新人の現場監督がどれだけ指示をし、検査が出来るだろうか?その人たちが数年するとベテランの顔をした監督となっていく。

 

私は現在マンション住まいだが、購入時にやはり引き渡しチェックを行なった。日本有数のマンションディベロッパーとスーパーゼネコンが手掛けたそのマンションは、工事中に起きた阪神淡路大震災やアジア競技大会の選手村として仮利用されたため、社内検査は厳しく行なったとの触れ込みだった。2社連名のお引渡し確認書には、数箇所だけ手直しが残っていますというチェックがされ、1時間程度確認して書類にサインをして欲しいということだった。

 

その部屋はたまたま知り合いの軽天屋さん(内装下地工事業者)が工事に入ったと聞いていたが、すべてチェックしてみると15ヶ所を超える手直しを新たに書き込んだ。翌週の引渡しにはすべて手直しが終わっていたが、一般のお客様であればほとんど気づかずにお引渡しを受けていただろう。1年後の定期点検で私の近隣はほとんど手直しが入っていたが、お陰で我が家は今もって不具合が出ていない。食品業界の例を見るまでもなく、大手であっても社内だけの検査では安心できない。特に顔も知らない孫請けが入るような建築現場はなおさらだ。

住宅性能表示制度に基づく、性能評価員の検査立会い
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