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若本修治の住宅コラム

2003.1.20 第11話

クレームは天の声

「クレームは天の声」というのは、山口県岩国市に本社のある『ヨハネ建設(株)』の藤本会長が、社員の教育をするときに良く使っていた言葉だ。私が独立する前にお世話になっていた(株)リック工房の丸山社長が、中経出版から「なぜ人はこの会社に家づくりを頼むのか」という本を書いているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれない。詳細は書籍に譲るが、私がリック工房在職中にも、全国から工務店や住宅会社の視察が絶えなかったし、会長自身よくセミナーに招かれ全国で講演をしていた。

住宅業界で、クレームは残念ながら日常茶飯事であることは以前書いた。お客様からのクレームはいやなもので、担当者は言い訳をしたり、逃げたりしがちだ。しかし同社は、トップ自身が、クレームを全ての業務に優先して対処するようにと積極的に取組んでいる。私がお付合いしている当時は、たとえ新規のお客様との商談中でも、既存のお客様からのクレームがあれば事情を説明し、すぐに対応しなさいという指導をしていた。藤本会長は従業員に「火事や急病の時に電話するのは119番。私たちも、クレームには119分以内(2時間以内)で対応しよう」と、常々話をしていた。

現在では、社内のIT化を進め、グループウェアを使って、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムも導入し、クレーム履歴を電子データとして検索、保存できようにまで徹底している。一度社内システムを見せていただいたが、お客様から電話を受けた人がすぐにその内容をグループウェアに書き込む。「天の声」とされたそのクレームに誰がどのように対処したか、イントラネットでつながれたシステムで、役員はおろか全ての社員が確認できるようになっている。未対応のものもすぐに分かり、クレームを個人任せにせず会社ぐるみで取組んでいることが、紹介比率の高さにつながっているのだろう。

住宅CMサービスは、インターネットを重要な情報発信手段として利用している。このサービスの企画段階に知り合いの工務店経営者に事業アイディアを説明した折り、「インターネットでは、掲示板にネガティブな意見が書き込まれることがあるので、管理者である若本さんが判断して削除してもらうようお願いしたい」というような話があった。確かに、大手家電メーカーや建材メーカーでも、消費者から送られた苦情メールの対処を間違い、大変な騒ぎになったところもある。

私はその社長に以下のように説明した。「私は出張の折り、『ベストリザーブ』というビジネスホテル予約サイトをよく利用する。このサイトは、単に安くホテルを探すということだけでなく、宿泊を検討しているホテルに実際に宿泊した人の意見が書き込まれている。クレームじみた意見も少なくない。その意見を聞き流しているホテルには宿泊しないが、たとえ不具合があっても、ホテル側が丁寧な対応をしているところには好印象を持ち予約することも多い。」ユーザーから見た場合、クレームに正直に立ち向かい、どのように対処したかを知ることで、企業姿勢をつかむことができる。

住宅CMサービスも、一般のお客様にとっては見知らぬサービス提供会社、工務店を選択いただく材料として、お客様の声を積極的に公開していきたい。どのような宣伝文句よりも、クレームへの対処こそ小さな企業が信頼を得る最大の材料だからだ。

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