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若本修治の住宅コラム

2003.2.10 第14話

デフレ時代の賢い住宅取得(1)

 
今年第一回目の家づくりセミナーでは、「デフレ時代の賢い住宅取得とは」というテーマで話をしたので、その内容について二回にわたりその一部を公開したい。今回は、安く住宅を建てるにはということを中心にまとめた。「安い住宅=ローコスト住宅」ではなくて「安く=仕様や品質を下げずに工夫する」ことが重要だ。

「安く」家を建てる方法として一般のお客様が知っておきたいこととして以下5つを挙げた。
1. 固定費負担の高い企業で家を建てない(展示場、広告宣伝、人件費・・・)
2. シンプルな間取り・構造を選ぶ
3. 競争原理を導入する
4. スケルトン(構造躯体)とインフィル(内装・設備)に分けて考える
5. 施主が勉強する

3.と5.はこのサービスがその役割を担おうとしているので、他の3つについて解説する。

現在毎年1万戸を超える住宅を建設しているハウスメーカーが全国に7社ある。規格化し工場生産で大量に販売可能だから安く提供できると思ったら大間違いだ。たとえば「ヤマダ電機」や「トイザラス」といった郊外の大型店舗であれば、大量仕入れと、床面積あたりの販売効率で、地場の商店よりも同じ商品を安く販売することが可能である。カテゴリーキラーといわれるこれらの大型店は、地価の安い郊外で建物の建設コストも抑え、パート労働力を利用して固定費負担を極力少なくしている。購入者ひとり当たりで考えると固定費の負担額はわずかだ。

住宅の場合どうだろうか?購入者ひとり当たりどのくらいの固定費を負担しなければならないかと考えると、ハウスメーカーの株主になれるくらい出資(ではなく出費)している計算になる。それは、5年から7年で解体され、ゴミを発生させるモデルハウス建設費と展示場への出展コストだけだ。それに、人の迷惑を考えず訪問してくる営業マンの人件費、成約したら支払われる歩合、資源ゴミになる豪華なカタログ、大量に撒かれる折込やTVコマーシャルなど、技術系の地場工務店では不要なコストがすべて購入者だけの負担となるわけだ。地場の工務店に施工を丸投げしている分高くなっているといった単純なものではない。固定費負担の少ない組織で設計と施工を適切に分離することで、そのコストは材料や技術に回すことができる。

間取りによっても随分コストが変わる。シンプルな間取りや構造にすることでかなりのコストダウンにつながることはローコスト住宅の間取りを見ても明らかだ。フランチャイズで共同仕入れして下がるコストは知れており、設計部分でのコスト削減余地のほうがはるかに多い。例えば建物の外周が同じ寸法であれば、総二階と凹凸のある建物では外壁の面積は同じだが、コストはかなり違ってくる。凹凸があると外周が同じであれば床面積が少なくなる。しかも出隅や入り隅は役物という割高の材料を使うため、材料ロスと併せて、安く収めることが困難になる。床面積が少ないから、坪単価になれば高く感じる。これが地場工務店の建てる家が必ずしも安く感じない一因でもある。総二階で玄関ポーチやベランダ、窓周りにちょっとした変化をつけるだけで見栄えの良い住宅を安く造ることは可能だ。

スケルトンとインフィルはSI住宅として、集合住宅でも話題に上がっている。頭金が十分用意できない若い世代では、スケルトンだけはしっかりしたものをつくり、間仕切りや仕上げも最低限のものにしておく。構造強度や気密断熱だけにはお金をかけ、ほとんど間仕切りをしないことでかなりのコストダウンは可能だ。そしてライフステージも変化し、金銭的余裕が出てきて、内装や設備のグレードアップ、リニュアルをする。そうすることで資産価値も高まり、土地に依存しない転売価値のある住宅とすることが出来る。この「転売価値」については次回のコラムに詳しく書きたい。

住宅展示場に出展すると、モデルハウスの建築費のほか広告宣伝費やイベント費用、スタッフの人件費など多大な経費が必要となる。1モデルハウスで年平均20棟程度の契約なので、月1~2家族が利用料を支払っている計算となる。
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