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若本修治の住宅コラム

2011.8.10 第63話

「グーグルアース」は過去が見える?!

今年の2月、フロリダ州オーランドで開催されたNAHBの視察ツアーに参加した。視察団長の戸谷理事長に案内され、セレブレーションやボールドウィンパークなどTNDによって開発された住宅地開発を見学すると、いかに日本の住宅地開発が、購入者の資産形成を考えていないことをまざまざと見せつけられる。街並みの美しさだけでなく、商業施設や業務・文化施設、公園など、暮らしの豊かさを演出する施設が、住宅地と違和感なく、地域住民のコミュニティ形成にも寄与していることが感じられるのだ。

 

事前に学習した資料によると、ボールドウィンパークは米国空軍基地の跡地を利用した都心型TND開発。ディズニーが開発したセレブレーションに触発され、よりダウンタウンに近いという好立地に、セレブレーションを上回る技術を駆使して開発された住宅地ということだった。実際に現地に行き、前日見学したセレブレーションと比較しても、確かにその意気込みが十分感じられ、私も数多くの写真を撮影した。その中の一枚が右下の写真。三日月形の小さな湖畔に面した住宅地は、真ん中を石橋で繋ぎ、特別な風景を提供していた。湖にはカモが泳ぎ、近くの樹木にはリスや小鳥の姿がさえずりと共に見え隠れするような環境だ。

 

私が持参したデジタルカメラはGPS機能付き。ホテルに帰ると、その日のうちにグーグルマップで訪問した先を地図上で辿り、グーグルマップの機能にある「航空写真」や「ストリートビュー」などで周辺の施設やロケーションなども再確認した。こうすることで、当日訪ねた住宅地が立体的な「三次元の情報」として自分の脳に記憶され、実際に日本に帰国後も強烈な印象が残っている。

 

今回、さらに確認したのはグーグルが提供している『グーグルアース』というアプリ。衛星画像で地形まで把握できる優れもののサービスだ。グーグルのホームページから無料でダウンロードでき、操作は直感的に使える。GPSで緯度と経度が分かれば、遠く宇宙空間から指定した場所にズームインされ、まるで精巧な地球儀にマイクロスコープで近づいたような感覚にさせられる。それだけでも初めて見ると感動ものだが、時間軸のスライドがあり、同じ場所の過去の衛星写真が無料で見られるのが驚きだ。

早速、ボールドウィンパークの緯度・経度を入力し、グーグルアースで表示してみた。元からその地にある「ボールドウィン湖」に向かって真っすぐ伸びるメインストリート沿いに、高密度に住宅や商業・業務系施設が配置されているのが分かる。メインストリートの延長線上に、三日月状の小さな湖がつくられているため、この住宅地に入ってきた車は、この美しい湖畔に沿った住宅地を目にすることになる。道路が弓状になっていることで、街並みの変化も楽しめて、この住宅地の価値も高めているのだろう。

 

グーグルアースのアイコンで時計の表示を選び、過去の画像に遡ってみた。スライドバーで1994年まで遡ることが可能だ。1999年2月末の画像を見ると、空軍基地の施設がモノクロの衛星写真で表示される。三日月の湖のある位置にはグランドらしきものがあり、そこには川も湖もない。道路の方向さえ現在とは全く違っていた。2002年になると三日月状の湖が現れ、空軍施設はすべて消えていて現在の道路が少しずつ姿を現しつつある状況が見て取れた。

 

現地で実際に施工を担当したホームビルダーの『David Weekly Homes』のマネージャーに話を聞く機会があった。売出しを始めた2003年、現在のモデルホームで40万ドルだった住宅の販売価格が、ピーク時の2008年には倍増の85万ドル。リーマンショック後、少し値下がりして2012年2月現在は約70万ドル。現在値上り基調ということで、この経済下でも優良な住宅地は資産価値が上昇している。

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