広島で「家づくり」のお悩みごとを丁寧に解決していく(コンストラクション・マネジメント)CMサービスです。

メールでのお問い合わせは24時間受付中!
12時間以内にお返事差し上げます!

若本修治の住宅コラム

2012.4.10 第71話

『総括原価方式』の電力業界と建築業界が変わる時。

今『原発再稼働』が大きな政治課題になっている。それは将来のエネルギー問題や原発の安全性ということよりも、むしろ「日本経済への悪影響」として語られている。電気料金が値上がりすることによる「企業のコスト増」や、LNGなど割高な燃料を輸入に頼ることによる「貿易収支の悪化」、そして給与所得が伸びない中で、家計に負担が増えることによる「消費への悪影響」を問題視しているのだ。

 

一方で、多くの政治家や経済評論家が、デフレ脱却のためには、物価が上昇する必要があると言っている。消費増税も電力料金の値上げも、消費者の負担が増えるから消費が冷え込むといいながら、物価は上がった方がいいという。であれば、すべての企業活動に必要な電気料金の値上げを容認し、その料金を商品やサービスに転嫁すれば、ほぼ確実に物価は上昇し「数字上」のデフレは解消するだろう。

 

しかし問題の本質は電気料金等の「コストアップ」を価格に転嫁し、販売価格上昇以上の魅力を購入者に訴えるだけの説得力や商品・サービスの開発力が、国内の企業に足りないこと。だから、電気料金がアップしても価格に転嫁できず「日本経済が大変になる!」という論調に繋がるのだ。

 

商品やサービスに自信がなければ価格競争に走りやすい。そこで、さらなるコストダウンを求めて人件費圧縮のため非正規雇用増加やリストラなど雇用に手を付け、海外移転を進めて仕入先や協力業者にコスト削減を強要、税金や電力料金などのコストが下がるよう政治に働き掛けをしている。日本経済を低迷させているのは企業に他ならない。

 

会社四季報に掲載された上場企業で、実はそうしてコスト削減をして「最高益」を更新している企業が数多くある。価格は転嫁できなくても、自分がコントロールできる人件費や取引先にはコスト削減を強要でき、利益確保はできるのだ。利益が出せないのは、円高で苦しみグローバル競争に巻き込まれている家電業界や、下請けのためコストアップを転嫁できない中小零細企業がほとんどだ。

 

電気料金に話を戻すと、電力会社は『総括原価方式』という原価を販売価格に転嫁できる仕組みがある。だから原発事故が起こらなければ、確実に収益が出せ、安定した雇用を守ることが出来たのだ。しかしご承知の通り建築業界も、実態は『総括原価方式』の会社がほとんど。つまり、下請業者から提出された見積金額に対して自社の一定の利益率を上乗せし、発注者に「価格を転嫁」出来るビジネスになっている。だから一定の営業力さえあれば、不況に関係なく大きな利益を得られるビジネスだ。

 

その証拠に、大手ハウスメーカーの決算は軒並み良好。この不景気でも広告宣伝や営業マンの大量投入など、消費税増税がチャンスとばかりに史上最高益をめざして積極的な活動をしている。同じ住宅業界でも、価格の転嫁が出来ない建材メーカーと明暗が分かれているのは対照的だ。

 

この『総括原価方式』によって「コストを転嫁」された高い住宅を購入させられているのが今の日本の現状。そして入居した途端に数百万円も資産価値が急落し、長期に亘って目減りが確実な状況で、消費が上向くはずがない。

国民の持つ『資産(不動産・株・社債等)』が、欧米のようにジワジワとあがることが一般市民や日本経済にとって望ましい。現金が増えなくても、手持ちの資産価値が長期に亘って上昇すると確信できれば、資産を持っている人たちが、さらに資産を増やすお金の使い方をし始めるだろう。

 

その鍵は、住宅業界が『総括原価方式』をやめ、CMによってコストダウンと収益性向上を目指すことにある。

岩手県陸前高田市の震災一年後に視察した時の写真。海岸近くに残された有名な一本松が震災と津波被害の甚大さを象徴していた。
一覧に戻る