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若本修治の住宅コラム

2017.10.20 第136話

一戸建て住宅とマンション混在の街の問題とは

私が住む地方都市広島では、閑静な住宅地も高齢化が進み建物の老朽化や空き家・空き地が目立つようになって来ている。相続も発生してきているが、以前は地価がそれほど高くなく、広いゆったりとした敷地がアダとなり、自宅以外に土地を所有していると、相続税支払いの対象となる住人も増えてきた。昔は数多くいた団塊世代の子供たちも進学や就職で地元を離れて、実家に戻って来なくなると、街はスポンジ状に空洞化し、建売業者やマンションデベロッパーが買い漁って、少しずつ昔の面影は無くなっていく。

 

左上の画像は、そんな典型的地域に建てられた中高層の分譲マンション。古くから住んでいる入母屋造りの平屋の家とのコントラストは、欧米の人たちにとっては眉をひそめるような景観だろう。自治体がこのような建築計画に許可を与える都市計画は日本以外の先進国ではまず考えられないのではないだろうか?単に目に入る景観だけでなく、この地域の将来に大きな影響を及ぼすのは確実だ。何故なら昔ながらに静かに暮らしてきた高齢者がこれまで負担してきた固定資産税や相続税評価は、近くで分譲される中高層マンションの住人が負担する額と10倍以上の開きが生じるから。この地に古くから住んでいる高齢の人たちにとって、転居も出来ない土地の価格が上昇しても何らメリットはない。マンションに若い住人が増えても経済的負担が増えるばかりで、徐々に住みにくい街になっていく。

 

町内会・自治会への参加率低下

 

自治体から考えれば、高齢化が進み空き家が増加する中で、若い世代の人たちが移り住んでくる分譲マンションは、地元の小中学校にも生徒が増えて、地域に活力が生まれると歓迎している。地元選出の地方議員も同様に、都市化が進み街の景観が変わることが発展だと思い込んでいる人たちがほとんどだ。しかし現実的には分譲マンションは今やセキュリティやプライバシーを重視し、地元以外の地域から移り住んでくる人がほとんどだから「ご近所関係に煩わされたくないからマンションを選んだ」という人たちを集めてしまう。自治会や町内会も参加せず、町内会費も負担したがらない人が過半数というのが実態なので、お祭り等の地域のイベントだけでなく、防災も含めて地元の人たちの連絡や協力にも応えず、近隣の人間関係にも不協和音を生じさせて、世代間の溝が深まることも少なくない。

 

戦後の日本が、英国やドイツから学んで出来たという建築関連や都市計画関連の法令は、本来、都市計画によって用途地域を定め、建蔽率や容積率を制限することで、一定エリアで建物の規模や高さなどが大きくバラツキが生じることなく、景観の形成にも寄与したのだろう。また同じ用途地域内の収入格差も少なくなることで、同じような生活レベルの人たちがコミュニティを形成し、地域の人々の結びつきを強めてきたと考えられる。しかし日本で現実的に行われている『集団規定』は、出来るだけ民間の経済活動に影響を与えず企業の利益を優先して、結果的に地域住民に周辺環境の悪化や経済的負担を押し付けている。

 

人口が増え続け、建物の耐震性能や断熱性能、火災の危険性など、古い建物を更新することが企業だけでなく地域住民にとってもプラスに働く時代であれば、土地を高密度に利用し、徐々に人口密度を高めることに合理性があった。しかし人口が減少に転じ、空き家が社会問題になって超高齢化社会になった今、景観のみならず地域住民のコミュニティ維持も含めて、行政や住宅供給側の姿勢、規制すべき課題も変わってきている。少なくとも同じ町内会で、住宅一敷地あたりで負担する世帯当たりの固定資産税に大きな格差が生まれないような建物の用途や規模にすること、そして人口密度に大きな変動がないことが望ましい。

広島市郊外の大型団地に建つ分譲マンション。低層の第一種低層住宅専用地域の住宅地の道を挟んで、中高層マンションが建てられるエリアがあり、戸建ての住民は上から見下ろされている。 このような地域は将来資産価値が落ちていく懸念が大きい。

約100坪の土地に1世帯と約300坪の土地に40世帯では土地保有の負担のギャップが大きい。こうして昔ながらの景色と近隣関係は崩壊し、街の資産価値も低下していく。
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