2017.12.01 Vol.15_No.6
住宅建築と坪単価
家づくりを考え始め、住宅雑誌や住宅展示場のモデルハウス見学、ネット等で情報収集すると、実際にどのくらいの建築費負担が必要なのか、調べれば調べるほど幅があり過ぎて分からなくなります。例えば「1千万円台で建てた家!」などと紹介されていても、1,980万円なのか1,200万円くらいで建ったのか、その幅は高級車が買えるほどの差額があります。
一般的な情報では、住宅会社やハウスメーカーの建築可能エリアと、建築金額の目安となる『坪単価』が、例えば「坪55万円台~」といった具合に表示されています。そんな情報を見ても、これまた自分たち家族の住まいがどのくらいの床面積が必要で、その床面積に坪単価を掛けて出た建築費で本当に注文住宅が建てられるのか、正直不安になるのではないでしょうか?自分たちのイメージより2坪増えるだけで110万円建築予算がアップするのです・・・。
画像は、広島市東区の高台で建築した平屋の住宅。
この住宅の入札時の床面積は44.1坪。当サービスに登録している”7社の地元優良工務店”が、相見積を提出しました。その時の7社の基礎工事金額の最安値の坪単価は4万2,300円。通常の二階建て住宅であれば、単純計算で1階の基礎の面積はこの建物で22~25坪程度で収まるでしょう。ざっくり計算すれば、平屋で187万円掛かっている基礎工事が100万円以内で出来る計算です。
構造材や大工手間は、平屋と二階建てで厳密に考えれば、梁や桁の太さや作業性の違いはあっても、概ね建物の床面積で見積計算されます。この建物では躯体工事(木材と建築金物と大工・棟梁の作業賃)は坪単価11万5,700円でした。同じ床面積であれば、二階建てにしても金額は大きく変わらないでしょう。つまり44坪の建物の躯体工事は500~600万円で収まります。
続いて外壁や屋根工事など、外部仕上の金額です。
屋根の大きさは、凹凸の無い単純な四角い形状の総二階が、同じ床面積であれば最も小さくて済みます。基礎と同様、平屋では軒の出も含めて基礎面積以上になりますが、二階建てであれば半分以下で済みます。屋根材にもよりますが、m2単価で4,000~7,000円(坪単価で1万3千~2万3千円)程度するので、決して小さくない差額です。この入札では、雨どいなども含めた外部仕上工事で、坪単価約7万円でした。
実は家の価格で「躯体工事」の次に費用が掛かるのが『建築設備工事』。キッチンやユニットバス、トイレなどの住宅設備機器と、建物内の給排水等の配管工事、電気の配線工事などです。7社の見積の最低価格は坪単価で82,300円でしたが、イメージしてもらって分かる通り、住宅設備は床面積に連動するのではなく、新築住宅で採用される住宅設備の数量は概ね同じです。選ぶ設備のグレードやオプションによって金額が大きく変わるのは、車の購入と一緒で、車を「座席単価」や「重量単価」で予算を把握しないのと同じです。
このように見積金額を細分化して分析していくと、坪単価発想で建築予算を考え、坪単価の高いか安いかで建築業者やハウスメーカーを選ぶのは、益々迷路に入り込んでしまうということです。さらにいえば、平屋と二階建てという立面的な形状だけでなく、平面的な形状や建築モジュールによっても、仕上材の延べ長さ、面積が変わってきて、坪単価に影響を及ぼすのです。
その上、坪単価で表示されるのは『建築本体工事』だけであり、前面道路からの給排水の引き込み・雨水枡/汚水桝等(水道工事)や門扉・カーポート等の外構工事、エアコンや照明器具などは『別途付帯工事』や『付帯設備工事』などで別計上されて、諸費用や消費税などもプラスされるので、総工事費、総予算をいったいどれだけ考えればいいのか、素人の施主では想像がつかなくなってしまうでしょう。簡単に数十万円から数百万円の誤差が生じます。
だから、住宅雑誌やネットで書かれているように「少なくとも複数の住宅会社にプランを出してもらい、相見積をお願いしましょう」ということを、建築知識のない施主が個人で行っても、とてもプロ相手、しかも売上げノルマ達成を課せられている営業マンとの商談では太刀打ちできず、相手ペースで丸め込まれることは火を見るより明らかです。
当社のサービスでは、お客様からヒアリングして納得できたプランのみ、プロの目利きで選んだ地域の優良工務店・建設会社に限定して、入札(相見積)を実施、見積明細と各社の見積の詳細分析、比較表を作成します。そうすることで、建築知識の乏しい施主でも分かりやすく、同一書式による見積明細と仕上げ表を見比べることで、安心できる施工業者選びが可能です。
坪単価はあくまで「目安」として、見積明細で比較できることが、安心の家づくりの第一歩です。
詳しくは下の『競争見積事例』をクリックしてご確認下さい。