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若本修治の住宅コラム

2002.11.11 第2話

見積比較(1)

CMサービス業務の中で大きな役割を占めるのは、施主の代理人として、受注を希望する施工会社からそれぞれ見積を取り、比較検討する材料を提供すること。一般には「相見積(あいみつもり)」や「競争見積」といわれ、住宅情報誌等でも1社だけではなく数社から相見積を取るように推奨されている。最近は、見積書の見方まで解説しているような本もあるが、それでも素人の方では、その施工会社がどのような仕様で見積もっているのか、どこまで見積に含まれているのか、分からないことが多い。

 

私も社会人となり、初めは工事現場の監督補助からスタートしたが、しばらくすると先輩の見積書の作成を手伝うようになった。まずは、図面を業者にファックスし、業者からあがってきた見積書に自社の利益をのせて、自社の見積書として清書するのだが、全く建築のことを知らない短大を出たばかりの事務系女子社員も手伝っていた。
単純に業者の書いた仕様を書き写し、単価は例えば「電卓で1.25を掛けておいて」という先輩の指示に、時おり一桁間違う者や、汚い字のため、一文字間違ったような仕様を書くような者もいて、今考えればずさんな見積書をお客様に提出していた。

 

当時携わっていたのは店舗だったので、住宅のようにパターン化された見積書式が社内にもほとんどなかった。眼鏡ショップを施工したと思ったら、次の現場はカジュアルファッションの店があり、和食レストランありと、使われる素材も、デザインも異なり、そのほとんどが特注品のため、どのようにつくるかまで考えなければ見積もり発注も出来ない状態だった。

 

百貨店のガラスショーケースひとつとっても、木工所と特注金物加工会社、ガラス店、電気工事店、塗装屋、経師屋(クロス屋)、アクリル加工会社等々、多くの専門業者によって1台のショーケースが出来上がるため、時には家具工場まで行って原寸図を描いたりしなければ納まらない。カタログでケースを選ぶといったことが出来なかったことが、価格構成を知り、本当の分離発注を経験するよい機会となった。
以後、業者から見積を取る前に必ず自分でも見積原価をはじき、業者見積と自分の積算のどこがどう違うのか確かめ、業者見積の漏れなども指摘することで次第に自分なりに価格が分かるようになった。

 

建築工事の見積は、今でも見積をする担当者の癖があり、同じ会社でも全く違う見積書になったりする。見積合計金額には大差ないものの、その内容を比較しようとしたら、容易ではない。例えば、床の下地組みまで含めて、坪単価いくらと「合成単価」で見積もっている者もいれば、下地組みは大工工事として、仕上げのみ平方メートル単価(坪単価と比べると、三分の一以下で表現される)で出しているものなど、素人ではとても高い安いの判断ができるものではない。

 

まだ、個別の仕上げに関して面積あたりの単価を出しているところはましなほうで、多少の追加変更でも坪単価45万円でさせていただきますと言われると、全く相見積の意味がなくなる。明細などあってないようなドンブリなのだ。従って、このサービスでは、見積書式と積算数量を事前に用意し、同じフォーマットの見積書で各社に金額を入れてもらうことにした。それで始めて素人でも比較検討が可能な見積書が揃ってくる。

(この項続く)

入札を行うと、各社から見積だけでなく完成予想CGなどの提案資料も届く
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