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若本修治の住宅コラム

2003.4.28 第25話

セカンドオピニオン

医療の世界を中心に、『インフォームドコンセント』や『セカンドオピニオン』といった言葉が広がりつつある。『インフォームドコンセント』とは説明を受けたうえでの同意を意味し、『セカンドオピニオン』とは主治医以外の医師の意見を聞くといったときに使われる。

以前であれば、不治の病も多くあり、自分や家族の命も主治医に任せるしかなかった。それほど、医師という存在は全幅の信頼を寄せられていた。しかし、医療事故が増え、そのずさんな管理体制が明らかになってくるにつれ、医者も万能ではないということが分かってきた。

これまで一方的に医者のことばを鵜呑みにしていた患者たちが、専門用語ではなく、自分たちにもわかりやすい言葉で、きちんと症状を伝えて欲しいと言いはじめた。そして、主治医以外の第三者の専門家からも意見を聞き、自分たちで判断材料を探すようになってきた。

住宅においても同様だ。このような横文字はあまり使われないが、一級建築士の「先生」もすべてを任せられる存在ではないということを一般消費者もうすうす感じ始めている。やはり、あいまいな部分を無くし、きちんと詳細説明した上で同意を得るように求められている。

しかし、一般の消費者が『セカンドオピニオン』を求めるのは案外容易ではない。回りを見渡せば必ずゼネコンや建材屋さんなど、建築に関連する仕事についている友人・知人は結構いるはずだ。しかし、住宅は知れば知るほど奥が深く、ビルしか手掛けていない現場所長には木造住宅について細かく語る知識はない。

奮起して家を建てようと決心した人に、不安を煽るようなアドバイスや噂を吹き込む業界人も少なくない。自分たちのやっていることは棚に上げて、いや自分達がやっているからこそ、敵さんのやり方が手に取るように分かり、あわよくばキャンセルさせて自分がその仕事に関与したいと画策する輩もいるだろう。

私のところにも土地の契約をしたが不安になったなどと相談に来る方が少しずつ増えている。「広島地区限定」としているにも関わらず、関東や九州からもメールで相談が届いたりする。
皆さん大きな買い物なので真剣だが、契約直後に急に不安になるケースが多いようだ。

広島近郊であれば、状況を確認して具体的なアドバイスも行うが、やはり不安を増幅させてしまうこともある。「そんなところと契約するくらいなら、始めから当社に相談にくればよいものを」とも思うが、こちらに知名度がないから致し方ない。

私自身も住宅の専門家とは称しているが、全ての分野に精通しているわけではない。空気環境や省エネなど目に見えない性能にも気を配らなければならなくなっている。しかし、私自身が特定の専門分野に詳しいプロフェッショナルを複数知っているということが強みである。

私自身が判断できないものや知識が乏しい分野でも、一人の専門家だけの意見を鵜呑みにせず他の専門家の意見を聞けるネットワークをもっていることで、お客様に対していろいろな角度からの説明を可能としている。『セカンドオピニオン』を持っていることで『インフォームドコンセント』という説明責任を果たすことも住宅CMサービスの機能である。

ゴールデンウィークのため次週はお休みいたします。

欠陥住宅検査の第一人者、日本建築検査研究所の岩山健一さん。セカンドオピニオンとして心強い味方です。 渋谷の事務所にて、欠陥撲滅の打合せ
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