2018.4.10 Vol.15_No.11
その土地、がけ条例にひっかかるかも!?
気になる土地の裏に山があり、急な勾配になっている場合ないですか?
また、隣の土地との境に高い擁壁(ようへき)がありませんか?
弊社のある広島県はほとんどが山間部を削ってできた宅地が多く、平野部にも小山がたくさんあるので、そういう土地に遭遇することが少なくありません。
東京でも意外と起伏が多いので、もし高低差のある敷地の購入を検討する場合はこの記事を参考にして下さい。
では急な勾配や擁壁がある場合、なぜ注意が必要なのか。
一般的な不動産における定義としては、「30度を超える傾斜のある土地」をがけと呼びます。
がけに近い場所では「がけ条例」の制限を受ける場合があり、予定していた間取りの家を建てられない可能性があるからなのです。
一定の高さを超えるがけの上部または下部に建築物を建築する場合には、この条例によって制限を受けます。都道府県によって、高さや制限が異なりますので、必ず購入予定の土地がある自治区のがけ条例をチェックしないといけません。
広島県の場合,がけ崩れに対する建築物の安全性を確保するために,広島県建築基準法施行条例によって建築物の位置や構造等を制限しています。
この広島県建築基準法施行条例第4条の2のことを一般的に「がけ条例」といいます。
住居の用に供する建築物を建築する場合,その敷地が高さ2mを超えるがけの上にあるときには,がけの下端位置(鉛直位置)から水平距離で、がけの高さの1.7倍以上建築物を離す必要があります。つまり、がけ下から30度の勾配を斜めに引いた延長線上に、建物が載らないようにしなければならないということです。
また,敷地が5m以上のがけの下にあるときには,がけの上端から建築物との間に,がけの高さの1.7倍以上の水平距離を保つ必要があります。
ただし、がけが崩れないように災害防止工事が行われている場合、つまり、開発行為や宅地造成などの工事で検査済証を交付された擁壁や個人で依頼して工事した検査済証を交付された擁壁の場合は、がけ条例の制限を受けずに家を建てられます。
しかし、交付済みの擁壁であっても古く風化している場合やひび、はらみ(膨らみ)などの欠陥がある場合は、再度確認する必要があります。
「擁壁」とは、法面や崖などの崩壊を防ぐための「土留め」として、コンクリートブロックや石などを使った「壁状の構造物」のことをいいます。
また、がけ下の場合は、がけ崩れで被害に遭う恐れのある部分を鉄筋コンクリート造とし、開口部を設けないこと、もしくは建築物とがけの間に壁を作るなどの対策した場合、がけ条例の制限を受けません。
がけ上の場合は、基礎をがけ崩れの恐れのない部分まで深くする杭基礎、深基礎などの方法で対応する必要があります。
土砂災害警戒区域,特別警戒区域についてはポータルサイトがあり確認できますが、がけ条例の制限を受けるのかどうかは個別の判断になりますので、自治区の建築課に相談、問い合わせが必要になります。
今回お客様の希望の地域で物件があったのですが、擁壁の一部にふくらみがあるので、補修もしくは基礎を深くするための確認申請が必要だと言われました。
その分、物件の価格は相場に比べて安かったのですが、擁壁補修となった場合、隣地の協力が必須です。
ですが、残念ながら隣地の所有者からは敷地に入って工事するのはNGと言われ、協力を得られない状況でした。
お客様は立地など気に入っていましたが、購入は断念しました。
土砂災害警戒区域,特別警戒区域などは重要事項説明書に区域内なのか区域外なのか記載が必要ですが、がけ条例の場合、重要事項説明ではその他の制限などに記載することになるので、業者である私たちは記載漏れにならないようにちゃんと現状を把握してお客様の不安や心配の解消にしっかり努め安心の住まいを提供していきます。