【まぐまぐ公認 殿堂入りメルマガ!】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.085━2006.08.21━
《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第85号~
◆家づくりは人生最大の「事業」
◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
《発行部数5,278部》
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【今週のテーマ】
・クロスチェックのススメ
・今週のお勧めBOOKS
・今週のワンポイントアドバイス
・編集後記
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このメルマガでは、
現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。
どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。
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久しぶりの発行となりました。
今秋の書籍出版までは、スローペースの発行となりますが、
ご理解のほど宜しくお願いいたします。
さて、先月末『臨時増刊号』を発行した完成見学会は無事終了しました。
昼食をとる時間もないほど、途切れることなく来場者がありました。
炎天下で2階にはエアコンがないのにも関わらず、
ロフトでも32度ほどだったので、屋根の二重断熱が効果的だったようです。
一方、今月初めに解体したプレハブ住宅には驚きました!
建物の良し悪しは、解体したときが一番よく分かります。
強度や断熱性能など、壊して経年変化を見ると一目瞭然です。
⇒ http://cms-hiroshima.com/constraction/kaitai/
上の写真を見てもらえば分かりますが、
何と壁に一切の断熱材が入っていませんでした!
ま・さ・に
>>> 無断熱住宅!!! <<<
断熱材が入らないことで、壁の中が結露せず、
軽量鉄骨が新築当時そのままだったのは皮肉です。
屋根の断熱だけは、9ミリ程度の「発泡スチロール」が張ってありました。
断熱どころか、「保温」にもならないような厚みです。
高度成長期に爆発的に売った『プレハブ住宅』の中に、
このような「無断熱住宅」がどれほど含まれているのでしょうか・・・?
売るほうも、つくるほうも、そんな認識はなかったのでしょうね!?
では、今週の本文の始まりです。
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▼クロスチェックのススメ ~同業者のチェックの有効性~
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昨年の耐震強度偽造問題の時に、構造の専門家がいわれていた言葉。
それが「クロスチェック」という言葉でした。
クロスチェックとは、利害関係のない別の同業者によるチェックです。
構造計算も、いくつかの計算方法があり、
専門家でもどれが正解か明確には答えられないケースもあるようです。
住宅の建設においても、さまざまな工法が存在し、
どれが正しい工法だとは一概に言えません。
もともと、耐震強度偽造の問題発覚も、
別の構造設計事務所に持ち込まれた図面に疑問を持った所長の指摘でした。
Eホームズのような「検査機関」ではなく、同業者だから気づいたのです。
どの業界でも、同じ仕事をしていれば、同業者の仕事振りは分かります。
「ここまで手間をかけて・・・」と感心するような仕事もあれば、
「こんなので本当にいいの・・・?」という仕事を見ることもあります。
大工の仕事は、検査員が見るよりも、別の大工のほうが腕を見抜きます。
図面ばかり描いている『一級建築士』よりも、
複数の会社の現場を経験している『職人』のほうが目利きがあります。
皆さんも、そんな経験はありませんか?
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違反建築
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「この建物には、目に見える瑕疵以外にいくつか法令違反があります!」
入居1年目で欠陥住宅が発覚した新築住宅での瑕疵検査のスタート。
建築検査の第一人者、日本建築検査の岩山健一さんから指摘があります。
「まずは、皆さんで瑕疵に繋がる施工ミスや法令違反を見つけてください。」
準防火地域に建つ三階建ての木造住宅の現場。
私のほか、数名の専門家が集まり、実習を兼ねた欠陥住宅の調査です。
元々雨漏りや、窓周りの雨水のシミから欠陥が発覚しました。
しかし、建物全体を見ても、どこにでもある新築住宅です。
特に外壁に大きなクラックがきている訳でもありません。
しかし、じっくりと調べていくと「何か変?」と気づいてきます。
▽ ▼ ▽
「前の道路を大型車が通ると、建物がなかり揺れるんです・・・」
「冬になると1階が異様に寒いんです。」
「このあたりの壁が結露するんですが・・・」
「地下の床下に水が溜まっているんですよ!」
施主が家の中を案内しながら、不安を口にします。
テレビで放映されるような「カビだらけ」とか
「ビー球が転がる!」というようなすぐに分かる事象ではありません。
検査道具一式も持参していますが、まずは目視チェックです。
「ここは外部に面した壁なのに・・・」
一緒に検査していた仲間が、何か見つけたようです。
指摘された場所を見ると、
壁に「ニッチ(飾りのための小さなくぼみ)」があります。
リビングの窓の脇や、階段の壁部分など、
奥様の趣味の小物が飾られ、インテリアを演出しています。
「この部分に断熱材が入っていないので、断熱欠損になっていますね。」
その後、いくつもの違反や施工ミスが見つかります。
・階段の踏み板の厚みが足りない(耐火構造違反)
・外壁のモルタルの厚みが足りない( 同上 )
・網入りガラスが使われていない( 〃 )
・基礎の打ち継ぎ部分の防水(止水板など)不良
・吸気孔の位置不良
・通気弁の施工不良
機械で計測していくと、構造体や基礎にも不良が見つかりました。
ようやく、その原因を探るために、
天井裏などに潜って躯体や断熱材をチェックしていきます。
その結果、床の厚みも準耐火構造の厚みに満たないことも確認され、
耐力壁の壁倍率も設計強度に満たないことが判明したのです。
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クロスチェック
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このように、複数の専門家がチェックしていくことで、
数多くの違反や施工不良を見つけることが出来たのです。
こんな機会がなければ、私自身も気づかない点が多々ありました。
今でも、木造住宅の多くの現場が、
たったひとりの大工の手で、主要な仕事が進められていきます。
もちろん、内装や外装は他の職人たちが入りますが、
棟上げ以降の「木工事」は、ひとりの大工がコツコツ仕事をしています。
まるで、ほかの大工に自分の仕事を見られたくないように・・・
このように、他人の仕事振りは見たいのに、
自分の仕事は見せたくないという人が少なくありません。
設計者でも、図面を見ればその実力が測れますが、
「作品」と称して、完成写真ばかりを見せたがります。
(図面を見せる人がいれば、自信がある証拠です)
完成した建物は、職人の腕や監督の経験でカバーしている場合もあります。
写真家の腕で、実物以上の見栄えになっているかも知れません。
しかし、現場は「設計図書に書かれた指示」によって動きます。
その設計図書や仕様書で「積算・見積」がなされます。
設計者の実力は「完成した建物」ではなく「図面」そのものです。
現場を良く知る設計者であれば、
ひと目で「こりゃ、トラブルなぁ・・・」という図面は分かります。
私も、自称「建築家」の図面に驚くことも何度かありました。
しかし残念ながら、施工者側は設計者を「先生」と呼び、
ほとんど意見を控え、分からないところだけ「お伺い」を立てます。
▽ ▼ ▽
自分の仕事を、別の専門家に見てもらうことは、少し勇気が必要です。
よほど自信がなければ、同業者に公開するのは気が引けるでしょう。
知らないこと、気づかないことは「一時の恥」で済みます。
でも、プロを自認していると、知らないことを認めたくないのです。
それが最終的には現場のトラブルとなり、施主に負担がいきます。
住宅に携わる人たちは、医療の世界と同様に、
他人の生命や財産を預かる、とても責任の重い仕事です。
自分が恥をかかないように「保身」することよりも、
施主の生命や財産を守ることが、はるかに大切だという意識が重要です。
医師が、自分の手に負えない患者を、別の医師に紹介したり、
セカンドオピニオンを求めて、医療ミスをなくす努力をしています。
Webカメラなどで、手術の様子を公開しているケースもあります。
先端医療の技術や情報は、共通の財産だという認識です。
それは「医療ミス」を探すための第三者のチェックではありません。
自分たちが成長するために、技術や情報を共有しようという動きです。
これまでの住宅業界は、出来るだけ現場を隠してきました。
同業他社に、自分たちの施工方法をあまり知られたくないのです。
それは「施工不良」というネガティブな側面だけでなく、
差別化のための「特殊な工法」を採用しているケースも少なくありません。
それが、第三者の「検査機関」が必要という状態を生みました。
>>> 「業者」対「検査機関」という構図です。 <<<
しかし、本当はこんな構図はないほうがいいのです。
検査費用が住宅のコストを上げ、しかも技術レベルは上がりません。
基準以下のレベルを、最低限の基準に直させるだけです。
そこには「向上心」も「創意工夫」も生まれません。
同業者にも公開することで、技術レベルを上げるという
「ポジティブ・シンキング」な発想が、今住宅業界で求められます。
創意工夫が評価され、また新たな創意工夫を生んでいく・・・
職人も、仕事にプライドを持ち、向上心も生まれます。
手順が標準化されることで、工期が短くなり、建設コストは下がります。
しかし、作業効率が上がり手掛けられる物件数が増えれば、
おのずと職人の人たちの「手取り収入」は上がっていきます。
施主も、工務店も職人たちの誰も「損」をしない、
『クロスチェック』はそんな可能性を秘めていそうです。
あとは、業界の人たちの意識が変わること・・・
これが一番高いハードルです。 (~_~;)
⇒ 次回発行に続く
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▼今週のお勧めBOOKS
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若本修治が読んでみて、家づくりに参考になる本を紹介します。
●本当にあった家づくりの コワ~イ話
桑原あきら 著 [ニューハウス出版]
⇒ http://amazon.co.jp/o/ASIN/4889692320/cmshiroshima-22/
↑建築プロデュース事業『プロトハウス』を運営する桑原さん。
家づくりに「夢」を見ている時にあまり目にしたくないタイトルですが、
『自己責任』の時代、自己防衛策としてお読み下さい。
雑誌『ニューハウス』の連載をまとめたのがこの書籍です。
■ニューハウス出版
⇒ http://www.newhouse.co.jp/
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┃若┃┃本┃┃の┃┃本┃┃棚┃今週のお勧めBOOKSが本棚になりました。
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http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/books2.htm
アマゾン・ドット・コムですぐに書籍が購入できます。
私もよく利用しています!! (^_-)<☆
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▼今週のワンポイント・アドバイス
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施主の中にも、身内に建設業の方がいるケースは少なくありません。
例えば、水道工事や塗装業を営んでいる親戚などです。
時々「身内を使ってやってもらえますか・・・?」
と相談されるケースもあるでしょう。
工事の一部でも「安く出来れば」という思いかも知れません。
しかし、責任の所在があいまいになり、私自身はあまりお勧めしません。
現場はある意味「チームプレー」で、作業が進みます。
慣れない業者が入ると、チームの和が乱れる危険性もあります。
元請の施工者自身がコントロールできない業者が入るわけですから。
むしろ、オブザーバー的に週に一回程度、
工事中の現場に立ち会ってもらうほうが施主にはメリットがあります。
施工者側も、現場に緊張感が生まれます。
なかなか、現実的には「うちに仕事をさせてくれたら」
ということが多く、同業者の揚げ足取りをするのが建築業界ですが・・・
では、今週のワンポイントアドバイスです。
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1.専門家でも、一人のチェックでは見落としがある。
⇒ 複数でチェックすることで、専門家も育成できる!
2.チェックは、同業者による「クロスチェック」が有効
⇒ 資格の有無よりも、仕事の手順を知っている人に。
3.クロスチェックは、「粗探し」ではなく「成長の糧」
⇒ 最低限の基準を守るのではなく、創意工夫が評価される!
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■参考情報 ⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clumn/vol_25.htm
↑コラム『セカンドオピニオン』
(若本が以前書いたコラムに、参考情報があります。)
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【 編|集|後|記 】
新しいサイト立ち上げの準備をしています。
私が運営している『住宅CMサービス』が、各地に広がり始めたからです。
★住宅CMサービス広島⇒ http://www.cms-hiroshima.com/
ドメインは、会社名の『ダブルスネットワーク』が入りますが、
サイト名をいくつか検討中です。
今考えている名称は、
>>> 『住宅産業イノベーション研究所』 <<<
8月はじめ、九州や関東、東北の専門家が広島に集まりました。
住宅CMサービスを各地で展開するため、1泊2日の合宿です。
皆さん、これまでの住宅業界の仕組みを変えなければと考えています。
いい仲間が集まってきました。
これからも、各地域の有志を集め、
住宅業界のイノベーション(改革)を進める推進力になりたいと思います。
もちろん、目の前で不安を抱えている相談者への対応が優先です!
ではまた、来月お会いしましょう♪
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