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家づくりで泣く人・笑う人

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2007.3.27 第94号

鉄骨と木造の住宅比較  ~工法から入る家づくり?~ 


 

       【まぐまぐ公認 殿堂入りメルマガ!】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.094━2007.03.27━

《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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                         ~第94号~
   ◆家づくりは人生最大の「事業」
   ◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
   ◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
                     《発行部数4,600部》

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 【今週のテーマ】

 ・鉄骨と木造の住宅比較
 ・コーヒーブレイク(博多ゆめ便り)
 ・編集後記
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 このメルマガでは、
 現場監督からスタートし、マネジメントの専門家『中小企業診断士』資格を
 取得して、200社を超える住宅会社の経営指導をしてきた発行者が、
 家づくりという大きな「事業」に失敗しないノウハウを提供していきます。

 どこにも影響されない中立的な立場で、住宅業界の実態も伝えます!
 あなたの家づくりのセカンドオピニオンとしてお役立てください。

 ■発行者のプロフィールはこちら
  ↓  ↓  ↓
  http://www.cms-hiroshima.com/mailmag/profile.htm
—————————————————————-●
 こんにちは、発行者の若本です。

 私は『広島限定』の仕事をしていますが、特に今年になって、
 「私の住んでいる地区でお勧めのサービスや業者さんご存じないですか?」
 というメールが他の地域からよく届くようになりました。

 おひとりおひとり、丁寧に返信をしていますが、
 残念ながら太鼓判を押せる情報は提供できずにいます。 <(_ _)>

 実は、福岡をはじめいくつかの地域では、
 現地でパートナーを募り、サービスができる体制をつくっています。

 しかし、ちょっとした問題が「優良な工務店」集めです。

 昨年は、福岡と千葉で工務店向けの説明会を開きましたが、
 力のあると思われる工務店ほど、警戒されるのです。 (-_-;)

 それは・・・

 さまざま出てきた『住宅プロデュース』や『建築家コンペ』で、
 プロデュース会社や設計事務所に尻拭いをさせられた工務店が多いようで、
 ま~た、同じような「入札」や「コンペ」か?と判断されるようです。

 広島では、幸いそのようなサービスが広がる前に、
 有力な工務店に声を掛けていったので、そんな実態に気づきませんでした。

 そこで、広島以外の地域でも、私のサービスを運営してもらえる専門家や、
 地域に密着した優良工務店を探すために、新しいサイトをつくりました。

 これまで、あまり工務店を表に出していませんでしたが、
 施主も工務店も喜ぶ仕組みだと理解していただくことも必要です。

 このメルマガを読んでいる、専門家、業者の方はこちらをご覧下さい。

 ⇒ http://www.ws-network.jp/category/1165716.html

 まだ「準備中」の多いサイトですが、
 少しずつでもネットワークを広げて行きたいと思います。

 「私もネットワークに参加したい!」という専門家の方や、
 優良工務店の方がいらっしゃいましたら、是非メール下さい!

 また、施主向けには「ミクシィ」のようなコミュニティ・サイト(SNS)
 を準備しています。すでにドメイン取得とサーバー契約は終えました。

 4月中には公開する予定なので、こちらもご期待下さいね!!
 
 では、今週の本文の始まりです。 

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  ▼鉄骨と木造の住宅比較    ~工法から入る家づくり?~
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 前回のメルマガで、相談が急増していると書きましたが、
 その多くが、鉄骨系メーカー数社から話を聞いた後に相談に来られます。

 プレハブメーカーの営業マンは、自社製品の性能が「一番」だと語ります。
 各社が特長やメリットを強調するので、施主は混乱してきます。

 全て白紙でスタートされればいいのですが、仕様や性能は混乱しても、
 構造については「鉄骨造が強い!」と刷込まれている方がいらっしゃいます。

 「若本さんのサービスでは木造ばかりのようですが、どうしてですか?」
 「鉄骨に限定して、入札をしていただくことは可能ですか・・・?」

 こんな質問もよくいただくようになってきました。

 今回のメルマガは、鉄骨造について、そして、
 工法から入ってしまう家づくりについて考えてみたいと思います。

       ●————————-
          戦後の住宅産業史
       ————————–●

 話は大きくなりますが、プレハブ住宅が生まれた背景を見ていきましょう。

 戦後、焼け野原になった日本では住宅不足が深刻でした。

 今では600万戸以上の空き家( or 空室)がありますが、
 終戦直後の住宅不足は420万戸だったといわれています。

 この住宅不足を短期間で解消するためには、
 従来の木造住宅を、大工の棟梁が建てていくには限界がありました。

 戦後間もなく、全国で杉やヒノキの植林が行われていきましたが、
 構造材として利用できるようになるまで、60年以上の歳月が必要です。

   ※その植林の結果が、今の「スギ花粉」増加になっているかも。(-_-;)

 山から木を伐り出して、都会の旺盛な住宅需要に応えていくには、
 消費地に近いところから、安定的に材料を供給していかなければなりません。

 しかも、未乾燥の材料ではなく、品質も安定した構造材が求められます。

 高度成長の波に乗って、都会は爆発的に人口が増え、
 鉄骨造のビルやマンションもどんどん建てられていきます。

 都市の周辺では、住宅不足が拍車を掛けていきました。

         ▽ ▼ ▽ 

 この頃、日本は「重厚長大」産業が花盛りです。

 製鉄業も繁栄を極め

      「鉄は国家なり!!」

              という時代でした。

 安定的に供給可能で、品質も安定している構造材として、
 住宅にも「鉄」を使うことは、国の思惑とも一致しました!

  「鉄は再生産可能で、大量に供給できる!」
  「住宅にも鉄を使うことで、地場産業から主要産業に育成できるゾ!」

 そうして、離れの勉強部屋からスタートしたプレハブ住宅が、
 いつの間にか、母屋(本宅)の基本構造に使われるようになって来ました。

 昭和34年に発表された、ダイワハウスの『ミゼットハウス』から、
 翌年には積水ハウスが設立され、次々とプレハブ住宅が増えた時代です。

 まさにこの時期、住宅の「工業製品化」と「産業化」が進んだのです。
 この時代には、木の代用品としての「鉄骨」に大きな意義がありました。

  >>> 工業化による『量産効果』で、住宅もコストダウンできる! <<<

 そんな期待が、ハウスメーカーにも行政サイドにもありました。

 国家プロジェクトとして『ハウス55プロジェクト』も、
 昭和50年代に500万円台の家を供給しようと注目を集めましたが、
 結局、住宅には「量産効果」を出すことは出来ませんでした。

 つまり、少しも安くはならなかったのです。

       ●——————-
         木造か鉄骨か?
       ——————–●

 私は、立場上「この工法が適しています」という話はしません。
 さまざまな事例を元に、施主が選ぶための判断基準を提供します。

 先頃、「鉄骨住宅で出来ますか?」という相談が来ました。

 明らかに、鉄骨がいい間取りや条件も存在します。
 鉄骨のほうがいいケースでは、鉄骨の提案もしました。

 しかし、まだ間取りも決まっていない段階では、
 工法から家づくりをしなくていいケースがほとんどです。

 私の本を買ってくれた方から、鉄骨に関することと、
 建築のコストに関して相談メールが届きました。

 展示場で、話を聞けば聞くほど混乱しているようでした。

 その質問に、私は以下のような返信をしました。

——–<↓ここから↓>——————————————

 こんばんは、住宅CMサービス広島の若本です。
 このたびは書籍のご購入、お問合せありがとうございました。

 やはり、展示場に行くほど疑問は増えますね・・・(笑)

 まずは「建築工法」について

 実は当社の登録工務店の中に、鉄骨プレハブ系や重量鉄骨系の仕事を
 下請けでやっていた工務店が数社あります。

 社長自身も仕事柄、メーカーのキャンペーンに協力するために、軽量
 鉄骨の家に住んでいる人も数名いらっしゃいますが、以前、知識がな
 くて鉄骨を手掛けていた工務店も、こと「戸建住宅」に関してはもう
 鉄骨を勧める企業はありません。

 それはコスト的な問題ではなく、その他の問題です。
 メールでは誤解があるといけないので詳しくは書きませんが、「でき
 ない」のではなく「鉄骨は出来るだけ勧めない」とご理解下さい。

 建物のコストですが、基礎や躯体(構造体)などの金額は、グレード
 の高い・低いで変わることはありません。金額が変わってくるのは、
 断熱性能に関わる「断熱材およびサッシ」、そして「外部・内部の仕
 上材」、「キッチン・バスなどの住宅設備機器」です。

 従って、骨組み以外で何を選択するかで大きくコストは変わってきま
 す。弊社の場合、その選択肢を出して、比較(競争原理を導入)してい
 くことで納得いく品質の家をコストを抑えて建てることができるよう
 にしています。

——–<↑ここまで↑>——————————————

 思いっきり、鉄骨を否定しているように感じるかも知れませんが、
 まずは工法を限定せずに、実際にどちらも施工した会社の社長から、
 実際の話を聞いてみることをお勧めしています。

 特に、入札に参加してもらっている工務店社長の中には、
 元「鉄骨メーカー」で20年間「鋼材」の営業をしていた人や、
 大手総合商社の「鉄鋼部門」で、鉄骨を扱っていた人もいます。

 独立後には、数多くの鉄骨住宅を手掛けていましたが、
 現在「個人の住宅」に関しては、鉄骨にすることには消極的です。
 一般の住宅において、プランの段階で、
 工法を決めなければならないケースはわずかです。

         ▽ ▼ ▽ 

 売る立場になれば、自社が扱っているものを否定できません。
 鉄骨の構造が「売り」であれば、メリットを強調します。

 いかに「鉄骨がすばらしい材料か」を訴えるのです。
 その場合、なかなかデメリットは説明されません。

 しかし、実際に数多くの鉄骨の仕事をして、
 実際にご自分が住んでいる人は、デメリットもよく分かっています。

 そんな会社の社長が、鉄骨以外の選択肢を持てるようになれば、
 ケース・バイ・ケースによって、提案が変わってくるほうが自然でしょう。

 大手プレハブメーカーのほとんどが、
 今では、木造住宅を手掛けているように・・・ (^^ゞ

 ※積水シャーウッド、旭化成スクラムハウス、ダイワハウス(旧大和団地)
  等は、鉄骨系の住宅メーカーによる「木質系住宅」のブランド。
  コンクリート住宅のウベハウスや大成パルコンも2×4工法を手掛け・・

 私の独立前の社長も、積水ハウスで「鉄骨住宅」を売りまくりました。
 ひとりで、400棟を超える実績を持つ元トップセールスです。

 その人が、今では「木の家」を薦めています。(笑)
  ↓ ↓ ↓ ↓
  http://www.amazon.co.jp/dp/4806114650/ref=nosim/?tag=cmshiroshima-22

 このような事実から、自分の家の構造を考えてもいいでしょう。

 ちなみに、鉄の住宅部材としての最大の弱点は、熱伝導率が高いことです。

 木材と比べると50倍以上、
 ガラスと比較しても10倍程度、熱が伝わりやすいのです。

 鍋で考えてみると分かりやすいでしょう。
 鉄、アルミ、耐熱ガラス、土鍋・・・

 つまり、冬に結露し熱が逃げるガラスよりも、
 もっと外部の温度の影響を受けるということです。
 (さらにアルミは鉄の3倍程度熱を伝えます)

 構造体の「外側」に、断熱材を十分に張らない限り、
 壁の内部で鉄骨が結露し、また室内温度に影響を与えるのです。

 ちなみにALC(軽量気泡コンクリート)でも、
 木材よりも熱伝導率が高く、グラスウールなどの3倍の厚みが必要です。

 つまり、10センチのグラスウールと同じ断熱性能を得るためには、
 30センチの厚みのALCを外壁に張ることが求められるのです。

 現実的にはできないため、断熱材を入れても、
 構造体自身が『ヒートブリッジ』(熱を伝える媒体)となっています。

 ⇒ http://esumai.livedoor.biz/archives/50332947.html

 同じことはコンクリートにも言えます。
 コンクリート打ち放しにしたがために、結露に泣かされて・・・

 次回は、コンクリート住宅に住んだ方から届いた「SOS」を、
 メルマガ読者の皆さんにもご紹介したいと思います。

 ⇒ 次回発行に続く
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【 編|集|後|記 】

 鉄という素材は、どんな形でも加工でき、
 溶かせば再利用できる、とても便利な素材です。

 強度もあり、適当な粘りもあって、
 建築材料としても優れている部分は多いと思います。

 しかし日本を除いて、これほど個人住宅で
 鉄骨が構造材に使われる国は、他にはないでしょう。

 米国や豪州など、一部「スチールハウス」などがありますが、
 どこの国でも、「木」や「石」や「レンガ」などが使われています。

 鉄骨で建てられる小規模な建築物は、
 やはり組立ても解体も容易な「仮設建築物」でしょう。

 だから、今でも災害地の仮設建築物は「プレハブ」と呼ぶのです。

  ※このたび震災に遭った能登地方の方にはお悔やみ申し上げます。<(_ _)>

 世界的にもあまり例のない、鉄骨系大手プレハブメーカーは、
 戦後日本の住宅不足と、産業政策が生んだ特殊な例かも知れませんね。

 以前、コラムで関連記事を書きましたので、
 ご興味のある方はお読み下さい。

 ⇒ http://www.cms-hiroshima.com/clumn/vol_23.htm

 ちなみに、上記サイトで紹介している本は、2003年版ですが、
 日本の代表的ハウスメーカーが28社紹介されています。
 その中で、4年間で消えた会社を列記してみますね!

 1.クボタハウス
 2.殖産住宅相互
 3.日本電建
 4.太平住宅
 5.野村ホーム
 6.三井ハウス(三井ホームではなく、三井物産系の会社です)
 7.ニッセキハウス工業・・・

 事業撤退や民事再生法など、中堅企業の多くは消えていきました。
 何と、この数年で代表的なハウスメーカーの25%が消えたのです!!

 この事実が、何を示しているのか・・・ (@_@;)

 では、また再来週お会いしましょう!

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