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若本修治の住宅コラム

2003.9.29 第45話

欠陥住宅をなくすには

「日本の戸建て住宅の60%は欠陥だ!」
刺激的な見出しの帯が本屋で目に飛び込み、思わずその本を買ってしまった。
日本建築検査研究所の岩山健一氏が書いた『「欠陥住宅」をつかまない155の知恵』だ。

「建築検査歴600件のプロが教える対業者交渉術」というサブタイトル通り、これまで見たこの手の本の中で最もバランスが取れ、具体的な記述のある本だった。279ページとかなり内容も濃かったが、私の実体験や問題意識から共感するところが多く、いっきに読んでしまった。

先日、たまたまテレビで欠陥住宅のドキュメントを見たが、そのときの事例もこの本に載っていたのでもしかしたら記憶にある方もいるかもしれない。『スーパーニュース』(フジテレビ)、『ニュースの森』(TBS)、『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日)など各メディアで取上げられ、岩山氏は一躍その道の第一人者になってしまった。

「最近日本の住宅もずいぶん良くなって、どこで建てても昔のような欠陥は無いよ。」という業界関係者もいる。逆に、「住宅会社や工務店など、設計施工で一括請負する業者は欠陥住宅の温床になりやすいので、第三者の設計監理が必要だ。」と強調する設計事務所も増えている。

しかし、私は実態として瑕疵(隠れた欠陥)は減っているとは思えないし、設計事務所の第三者監理が有効に働くとも思っていない。今、住宅中心でやっている小規模の設計事務所で広がっている『オープンシステム』に関しても、岩山氏は気持ちいいくらいにバッサリと切っているが、私も多くの設計事務所を知っているだけにそう思う。(詳しくは岩山氏の本を読んで欲しい。ホームページ上ではあまり公表できない内容だから)

「なぜ、瑕疵は減らないのだろうか?

それは、住宅がいくらプレハブ化率を高めようと、最終的には工事現場で働く職人たちが、性能を満たす施工をするかどうかに懸かっているからだ。それを監理・監督をする専門家が、プロ意識を持って注意・指導をすれば多くの瑕疵は防ぐことが出来る。しかし、医療事故が増えているように、プロ意識の欠けた専門家、技術者が増えているのは、建築業界だけでなく日本全体の傾向のようだ。欠陥住宅の何割かは地盤や基礎に起因していることも大きい。

ご承知の通り、残念ながら向上心が高く順法精神のある人はあまり建設作業員や職人にならない。決して差別ではなく、楽をしよう、手抜きでごまかそうとする人が建設業界に多いのは、私自身が憤りを感じるほどだ。間違った施工方法でも5棟も施工すれば、それが自分の標準的な施工方法になるし、それ以上技術を習得し、創意工夫をしようという人はほとんどいない。

これは企業規模や業歴の長さにほとんど相関関係はない。逆に大手企業ほど、売上至上主義で消費者とのトラブルを打ち消す手段も多く持っている。ほとんどが泣き寝入り状態だ。
そうならないために、岩山氏が言うように、

第三者の検査機関、建築に利害関係のない設計士にチェックをしてもらう
こと、そして
②瑕疵を証明するための書面(打合せ記録や設計図書など)を日頃から要求しておく
ことが、欠陥住宅をつかまされない最低限のポイントだ。

日本建築検査研究所のホームページはこちら>>>

日本建築検査研究所の岩山健一さんの著書の一部
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