2018.6.20 第144話
プレハブ住宅メーカーの家を建てるのをやめよう!
これまで、大手ハウスメーカーでの家づくりを遠まわしに否定してきた。それは住宅展示場に出展し実際に販売している住宅に比べて豪華過ぎるモデルハウスで集客をしている上に、建てている住宅の品質や性能は『国交大臣認定』というブラックボックスで、価格は“かなり割高”だから。しかし遠まわしはやめてストレートに「もうハウスメーカーの家を建てるのをやめよう!」と宣言しておこう。
プレハブ住宅が世の中に登場した昭和四十年代から平成の初めに掛けては、まだプレハブ住宅メーカーも存在意義があった。それは戦後焼け野原になった日本で、急速に都市化が進み、住宅不足が顕著になる中で、住宅建築に適した木材も不足、大工や熟練の職人も足りない状況で、安定的に材料が供給できる「鉄骨」と「工場生産」による住宅の部品化、工業製品化がやむなく求められたということでもあった。戦後は“鉄は国家なり!”と国策として製鉄業が産業振興に大きな役割を果たし、建設業界・住宅産業にも鉄の利用拡大が国力や雇用促進にもプラスになった。
当時から、日本のプレハブ住宅は地元の大工が建てる立派な木造住宅に比べ1.5~2倍近くの坪単価になっていた。しかし価格の高さは「テレビ・洗濯機・冷蔵庫」という“三種の神器”が新入社員の初任給を超えていても、購買意欲が衰えなかったように、新しい工業化住宅は「金額が高いから品質や安全性も高い」というイメージが定着していった。それはテレビCMの影響も大きく、総合住宅展示場でのモデルハウスやイベント開催、大工ではなく営業マンによる丁寧な接客が、地縁・血縁のない都市住民にとって、ハウスメーカーの家づくりが身近で安心だと映ったのだろう。
住宅展示場集客のビジネスモデル終焉
戦後日本の木造住宅は、長らく不遇の時代が続いた。朝鮮戦争後に一気に住宅の需要は高まったものの、山には安定して需要に応えられる構造材が不足し、植林して実際に構造材として使えるのは50~60年後。本来は、地元の山でとれた木材を十分に乾燥させ、地元の竹や土、漆喰などで、地元の職人たちが日本の気候風土に合った家づくりを一定の時間を掛けて建てるのが普通だった。しかし都市部への人口集中と住宅需要の激増は、「グリーン材」と呼ばれる乾燥が不十分で曲がったり反ったりする木材が使われ、建材も熟練の技術が不要で、張ったり組み立てるだけで完成する「新建材」が多用される“建売住宅”が主流となった。
元々コンクリートの基礎や壁内への断熱材の挿入などは、それまでの木造住宅にはなかったため、施工技術も知識も、建築基準法でさえ追いつかず、狭くて劣悪な住宅が数多く供給された。その結果、木造住宅の床下や壁内部は湿気が溜まりがちで結露による木材の劣化が表面化して、シロアリや雨漏り事故など木造住宅の印象は低下していった。税法上の償却年数の短さや、都市化による防火地域の指定拡大も、木造住宅はプレハブ住宅に劣る印象を決定づけた。
話は変わるが、皆さん自身「新聞の勧誘」や「生保の営業」をどのように感じているだろうか?そして証券会社からの「投資信託の電話セールス」を鬱陶しいと思うことはないだろうか?勧誘している会社自身は、上場している大手企業で社会的信用力は抜群だ。テレビCMも有名俳優を使いイメージ訴求していても、現実的には広告やイメージで購入する人よりも、圧倒的に人による勧誘・営業力で売れている。会社の印象を高めることで営業の印象の悪さを消そうとしているのではないだろうか?そして、いかに乱暴でしつこい営業行為をしても、会社自体はそのような営業力がなければ成り立たないから黙認している。
実はプレハブ住宅業界も全く同じ構造だ。モデルハウスを建てる分さらに固定費負担は大きく、モデルハウス単位での実際の契約数は圧倒的に少数だ。その販売コストは誰が負担し、その販売員は本当に住宅建築の経験や知識が豊富なのだろうか? そしてたった5年程度で最新モデルは陳腐化していく。数年で建築廃材として建替えられるモデルハウスに1億円近い建設費と、毎月数百万円の経費を負担して、その展示場のモデルハウスで年間”十数組のお客さん”しか契約できていない営業効率を、今の時代なぜ放置して経営が成り立つのか・・・?それを負担しているのは、誰でもない、そのハウスメーカーで家を建てる施主自身なのだ。
経営コンサルタントでもある私から言わせれば、「将来、実際に誰かが住むことも、売却も出来ないモデルハウスで営業しているプレハブメーカーからは家を買わないほうがいい」と断言できる。現実的にはプレハブメーカーの家も下請けや孫請けで、”地元の工務店が施工を担当”している。だから地元の優秀工務店に直接発注すればば、もっと安くて安心できる家を建てられる。ハウスメーカーに頼まずに済む代替案が当社が運営する『住宅CMサービス広島』だ。