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若本修治の住宅コラム

2020.7.20 第169話

【連載】未来の賢い家づくりとは ~第9回~

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって、住宅に対する価値観も販売方法も大きく変わりました。特に大都市圏のタワーマンションは、エレベーターの密状態を避けるため定員を半減すると、朝の通勤時に下層階でエレベーターに乗れずに階段を利用せざるを得ない状態になったマンションもあるようです。企業のテレワークも劇的に進み、従来資産価値が下がらないと考えられていた”都心居住”も変化、感染リスクによって毎日の通勤を前提としない郊外居住も選択肢にあがってきました。

 

住宅販売の前線も、総合展示場でイベント等を開催し、大量に子連れ家族を集客する”従来の営業手法”が展示場自体の休館・営業自粛により消滅。商談はリモート(SkypeやZOOMなどのWebツール)が中心となって、近所に来たからと無理やり自宅に上がり込むような強引な営業は通用しなくなりました。従来のような営業トークも通用せず、断られても粘るといった「熱心さ」では嫌われるようにさえなったのです。その結果、住宅展示場に出展している大手ハウスメーカーでは、営業効率が大幅に低下、契約実績も目を覆うような数字で、固定費を回収できない状態が続いています。

 

前回のコラムは、住宅の着工数が徐々に減っていく中、住宅会社側の売上高維持のためには、建築単価を上げざるを得ない状態になっていると書きました。上場企業であればIR情報としてネットでも公開している『アニュアルレポート』に目を通すことで、その実態が分かります。株主に対してはウソをつくことは出来ず、少しでも業績を良くみせるため、対前年度成長をどのような形で実現させているか、自己PRせざるを得ないのです。

しかし、それは去年までの住宅会社側の危機感で、今年の状態はそんな生易しいレベルではなくなりました。去年まででさえシェアを急拡大して、着工数を増やすといった環境にはないから、これから住宅を建てる人はかなり慎重に建築費の見極め、本当に必要な機能・性能・品質が適切な価格で提示されているか、十分な吟味が必要です。新型コロナで業績が急降下した企業は1棟あたりの「建築単価をいかに上げるか」に、血眼になって知恵を絞っているのです。

広島市郊外で一番人気の分譲地で開催された住宅展。27もの最新モデルハウスには目立たないように営業がいるだけで、7月初めの日曜日の午前10時過ぎに、通りを歩いているお客はゼロという状態に驚かされます。

 

では、住宅建設を担うすべての会社が、住宅の建築単価を上げているのかといえば、そうではありません。株式公開している企業、従業員数が多く全国の住宅展示場に出展しているような大手ハウスメーカーは、操業度(営業活動による売上の増減)に限らず、巨額の固定費を簡単に下げることが出来ません。ましてや、住宅展示場に人が来なくなった新型コロナ禍の状況ではなおさらです。このような会社は、株主向けだけでなく、会社と従業員を守るためにも、前年対比で売上を伸ばしていくしかなく、建築単価のアップは避けられないのです。しかしそれほど経費の掛かっていない中小企業、家族経営の建築会社・工務店では、無理な成長よりも安定受注やお客様との家づくりの喜びを共有する喜びを優先し、会社を維持できるだけの収益が残れば十分だという会社は決して少なくありません。地域密着で大量に集客せずとも紹介で経営している地元企業は、新型コロナの影響も軽微です。

 

家づくりを考え始めた時、売上が1兆円を超える大企業から、家族経営で建築工事を請負っている地域密着型の大工さんまで、様々な業者さんが依頼先候補に上がることで、どこに頼んだらいいのか混乱する人が少なくありません。展示場を持たず、住宅雑誌に広告掲載できない企業でも、技術力があり快適な住まいを提供している地元優良工務店も数多くあるのです。では大手ハウスメーカーとそんな地域密着型の小さな会社の違いはどこにあるのか・・・?

 

分かりやすくイメージしてもらうために、私は『チェーン店とオーナー店』の違いと説明しています。外食産業、飲食店を思い浮かべれば業界のことが分からない人でもイメージが湧くでしょう。外食チェーンで全国に多店舗化している「ファミレス」が、住宅業界の「ハウスメーカー」です。本部がメニュー開発から料理のレシピ、価格設定、サービスの標準化などを決めていき、セントラルキッチンで全国どこでも均質な料理・サービスを提供します。きちんと教育された接客で、決して安くはないもの料理に当たり外れもなく、家族連れにとって安心です。

 

では地元の工務店や建設会社はといえば、割烹料理店から、近所の定食屋まで千差万別。品揃えも和食だけではなく、中華やフレンチ、イタリアンからアジアンテーストまでありとあらゆるバリエーションと価格帯があります。修業を積んだ料理人であるオーナーがお店を切り盛りし、他店に負けない味や手間、素材の吟味がウリです。また地元企業でも大手のフランチャイズに加盟して、看板で営業しているのは、外食産業でいえばファストフード店のようなもの。価格帯を低めにして、共同仕入れと標準化された販促資料、施工手順などで、地元の中小企業ながら全国チェーンの安心感を提供します。保証体制もフランチャイズ本部がバックアップするため、小さな会社が経営しているという不安感は与えません。

 

あなたが人生でたった一度だけ、注文住宅を建てるとしたら、上記の説明をイメージしてどこを選ぶでしょうか?家づくりが初めてであれば、初めていく旅先で「食事処」を探すことをイメージしてみるのもひとつの判断材料です。その場合、恐らく旅先の情緒が感じられず、いつでもどこでも食べることが出来るファミレスやファストフード店には入らないでしょう。とはいえ失敗はしたくないから、地元の人たちに評判を聞くか、ネットで情報収集するか、グルメ情報誌などで比較検討してみるのではないでしょうか?

 

食事以上に金額が大きく、一生の生活環境を左右する住宅では、自分だけの意思決定では不安も大きいでしょうし、集められる情報も限られます。そこで地元の食文化や美味しい料理店の情報に精通し、適切な情報を提供できるグルメガイドの「コンシェルジュ」が、家族のニーズをお聞きし、いくつかのお店に絞ってより詳しい情報を提供したら、自分たちで選びやすくなるのではないでしょうか?

住宅取得でも、グルメ本と同様な役割を果たす「住宅情報誌」は発行されています。しかし人生で最も大きな買い物・負担である家づくりに、その品質や価格が適切かどうか、プロの助言と他社との比較も得られる生身の人間のナビゲーターによるサービスが潜在ニーズとして高まっているのです。決してAIに置き換えることが出来ない、新しいサービスニーズが私の運営する「住まいづくりのコンシェルジュ」サービスです

 

ダブルスネットワーク株式会社 代表取締役 若本 修治(中小企業診断士)

廿日市市吉和の別荘地。西区にお住まいの方からの依頼で建てたが、リモートワークが当たり前の時代になると二拠点居住が普通になるかも。

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