2017.11.10 Vol.15_No.4
土地選びを始める前に
注文住宅で家を建てたいあなた。
ご存知ですか?
土地が見つかると同時に、建物のプランも決めないといけません。
何故か…
それは住宅ローンのためです。
自己資金がたくさんあり土地を現金購入できる方は、土地を購入された後にのんびり考えても問題ありません。ですが、土地代金をローンで支払う予定の方は、のんびりプランを考えている余裕はありません!
むしろプランを考えたり建築業者を探すのは土地探しと同時にしないといけません。
土地代金は明示されていますが、建物の金額はどこにも明示されていません。建売住宅の金額がベースか?
建売住宅は土地も一括、資材も一括で調達できるので、安く手に入ります。一般的に購入しやすい間取りになっていますので、安く提供できます。
注文住宅は間取りや大きさから全て一から決めていきますので、時間もかかりますが、金額も建売住宅に比べて1.5倍ほどかかるとみていいでしょう。
服を買うにしても、ユニクロなどの量販店に比べて、セレクトショップの一点物は高く、自分の体型に合わせて作ったオーダーの服はさらに高くなりますよね。
住宅ローンは、土地と建物を合わせた金額で組むことになります。ということは、建物の見積金額が必要になります。
見積は、建物のプランやある程度の仕様が決まっていないと、算出できません。ある程度で見積もって、実際の建物金額が見積もった金額より大幅にアップしたら、ローンの審査で引っかかる可能性があります。
購入したい土地が見つかると、その土地を買いたいという買付証明書を提出します。優先的に交渉権を得ることができます。段取りを進めて契約をした後、土地代の残金をすべて支払い、土地の所有権移転登記を実行する「決済日」があります。
契約から決済まで大体1か月の期間を設けます。ローンの関係やあまり急いでいない売主ですと、もう少し長い期間を設けることができます。
その間にローンの審査を通過し、ローンが支払われる確約(承認)をもらわないといけません。
ローン金額確定、金融機関決定、ローン審査・・・契約した後から動き出したら間に合わないのです。
土地を決める前から、下調べ、情報収集が重要になります。
会社で提携している金融機関はあるのか、各金融機関の住宅ローンの金利、保険の内容、保証料、手数料など・・・がん保険や医療保険にたくさん種類があるように、住宅ローンもたくさんあります。保障内容も様々です。
金利に関しても、変動金利にするのか、固定金利にするのか。
ローンが実行されるのは、建物が完成した時になります。申込んだ時ではありません。よって、申込時ではなく実行時の金利で支払うことになります。家が建つ頃に経済状況がどうなっているのか見極めるのもポイントです。
自己資金があるかないかによって、金利の利率も変わってきます。
例えば、フラット35の場合、自己資金が1割以上あると金利が下がります。2017年10月時点で、融資率9割以下は1.36%、9割以上は1.80%になります。約0.5%の差位と思われますが、35年払い続けるとなると大きな差です。
(例)3000万円の住宅購入の場合 35年ローン
頭金負担 | 借入額(金利) | 月々返済額 | 総返済額 |
1割 | 2700万円(1.36%) | 80,830円 | 3395万円 |
ナシ | 3000万円(1.80%) | 96,327円 | 4046万円 |
差額 | 15,497円 | 651万円 |
頭金の300万円分を引いたとしても、351万円多く支払うことになります。
月々の返済額が1万円以上違います。1万円あると、習い事や外食ができます。
一番大事なのは、どういう家を建てたいのか。
いざ土地が見つかっても、自分たちが想い描いている家を建てられるのか、また建てられるかどうかを相談する相手はいるのか。土地を購入した後に、希望のプランの家が建てられない!では、あとの祭りです。
広島市南区でずっと土地探しをされていたお客様のお世話をさせて頂いた時、購入希望の土地が平地に続く土地ではなく、道路から数m擁壁のある土地でした。
駐車場がなかったので、擁壁を壊して駐車場を造成する必要がありました。擁壁の斜面の面積だけでは足りず、家を建てることの出来る土地の一部も切り崩さないといけませんでした。そうなると、建物に使うことができる有効面積が減ってしまいます。お客様は自分たちの希望の家が建てられるのか心配になりました。リビングにピアノが置ける家がご希望でした。
そこで、当社でご希望の家が建つのかプランを作成して、お客様に提案すると、間取りも気に入られ、一安心して、土地購入を決められました。
土地探しから家が建つまでお客様の不安を一つ一つ解消して、家づくりで笑う人になれるようにサポートしていくのが当社の役割です。
注文住宅を建てたい方は、資金計画と共に、土地が見つかってからどういう流れで家が建つのかを知ることが焦らず余裕をもって家づくりできる重要なポイントです。
土地はいつ見つかるか分かりません。
すぐに見つかる方もいれば、2~3年探しても見つからない人もいます。
見つかった時にすぐに動けるように準備していないと、土地がそっぽ向いて逃げてしまいます。
土地選びを始める前に準備をしっかり始めましょう。
(宅地建物取引士 得本)