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土地・業者選びのポイント

2018.8.10 Vol.15_No.14

土砂災害警戒区域の重要性

今回発生した平成30年7月西日本豪雨において、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

7月6日の金曜日のことは忘れることが出来ません。
この日の夕方の雨は尋常ではありませんでした。

仕事を終えて帰宅時には何もなかった自宅前の道路が、30分後には車のタイヤが埋もれるほどまでに水が溢れていました。今までに経験したことのない程の勢いの雨が短時間に集中的に降っていたようです。

次の日には、広島の各局が災害の特番を組み、テレビから信じられない光景が次々と流れていました。
呉市に住む友人に連絡すると、無事ではあったものの道路も交通網も遮断され身動きが取れない状況であることと、空っぽになっているスーパーの棚の写真が送られてきました。

9日の月曜日、安芸郡府中町でお客様が契約予定の土地の様子を見に行くと、比較的大きい道路には近くの峠から流れた土砂の跡がありました。府中町の仕事関係先に立ち寄ると、近くの山が崩れた、親類が坂町で床上浸水となり1階が土砂で埋まったなど、身近な災害の話で持ち切りです。

翌日には府中町内を流れる榎川が、流された土砂や木々によって上流の堰堤がせき止められ氾濫し全国ニュースになりました。あまりにも身近でこのような水害が発生したこともあり、慎重を期すため土地の契約は延期してもらうよう、今回売り主側に申し出ました。

 

今回の被害は、4年前(2014年)発生の広島土砂災害に比べて広範囲に亘って災害が発生し、土砂の量は約10倍となっています。

 

(国土交通省のHPより引用)

 

土砂災害は主に土石流、がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)、地すべりがあります。

土砂災害警戒区域とは、土砂災害防止法に基づいて設定された土砂災害の危険性が高い区域です。土砂災害が発生した場合、人の命又は身体に危険が生じる区域で、さらに危険が及ぶ区域は特別警戒区域として指定されます。

土砂災害防止法は、平成11年(1999年)に起きた「広島土砂災害」をきっかけに制定されました。
土砂災害から国民の生命を守るため、災害のおそれのある区域について危険の周知、警戒避難態勢の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策を推進しようという法律です。

 

全国で初めて土砂災害警戒区域が指定されたのは、広島県でした。

 

しかし4年前(2014年)に発生した広島土砂災害では、警戒区域に指定されていない場所でも土砂災害が発生しました。今後さらに精度を上げた基礎調査が実施され、平成31年度末には全国で約67万か所が指定されると推計されます。

広島県の場合、平成30年2月時点での指定状況は2万4334か所であり、平成31年には約2倍の4万9500か所になると推計されます。この数字は、全国の都道府県で一番多い数です。

今回の平成30年7月豪雨で起きた土砂災害数は、1道2府28県1518件になり、土石流は466件、地滑りは50件、がけ崩れは1002件になりました。(8月2日時点)
その中、広島県で発生した土砂災害数は土石流315件、地滑り1件、がけ崩れ155件で、圧倒的に多いのは土石流です。

犠牲になられた68名が発見された32か所の土砂災害発生場所のうち、警戒区域か特別警戒区域に指定もしくは指定予定の箇所は、約7割の21か所でした。これほど自然災害が増えているのに、約3割は警戒区域指定に予定されていなかったことに驚きを隠せません。

 

国土交通省の土砂災害防止法の概要には、宅地開発がされるほど、警戒区域の数も増加する一方だと報告されています。開発許可が下りている団地だからといって、必ずしも安全ではないのです。

人口減少、空き家増加、過疎化が深刻化する中で、今でもなお山を切り開いて宅地造成は行われています。人口が減少しているのに、家を建てるための宅地が造られていっているのです。この矛盾に政府も業界も早く気づき、ここで、自然破壊や危険区域を生む宅地造成はストップして、空き家や過疎化対策になるようなビジネスに転換していくことが必要になるのではないでしょうか。

広島市郊外に開発される大型団地

 

当社の場合、物件調査の時点で、ハザードマップ等で警戒区域などを調べて指定もしくは指定予定になっている場合は、極力物件のご紹介はしておりません。ですが、お客様がどうしてもこの土地がいいという場合は、警戒区域であることやそのリスクについてきちんと説明しています。

土地・建物の売買契約の際にも、警戒区域かどうかの説明は必ずしないといけません。

これから警戒区域の指定区域は増えていき、購入当時は指定されていなかった土地が指定区域になってしまうこともあり得るでしょう。

 

指定区域に住んでいても、どこかで「起きるであろう」ではなく「起きないであろう」と思っている部分があるかもしれません。このような人間心理を「正常性バイアス」と呼ぶことを今回の報道で知りました。

今回の災害で、どこでいつ起こるか本当に分からない状況であり、危険性を未然に知ることの重要性を痛感しました。

常に情報は更新されていますので、自分たちが住んでいる又は住もうとしている地域が警戒区域などに指定されているのかどうかは定期的にチェックをして、あらゆるリスクに備えて命を守ることを心がけましょう。

2014年に広島で起きた土砂災害の模様(安佐南区緑井)
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