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若本修治の住宅コラム

2014.1.20 第92話

家相や風水で商談が迷走したら・・・

住宅の仕事をしていると、それまで良好な関係で進んでいたプランや打合せが、急に暗礁に乗り上げることがある。そのひとつが「家相」や「風水」などの問題だ。今回は私が相談を受けた事例で、どのように回答したかメールでの返信事例を紹介する。多くの施主は、納得し安心できる材料が欲しいのだ。説得や否定はむしろ逆効果だ。

 

まずは、なぜそんな話になったのか、状況を確認しよう。
そして住宅のプロとして分かりやすい解説を加えたい。

 

  1. 家相がよくないといわれた理由

    一般的には「鬼門」や「裏鬼門」そして「張り」や「欠け」などが言われる。その他仏壇の位置など様々の要素があるが、人により、宗派により、また建て主のご家族の生年月日によって変わってくるようだ。それが本当に根拠のあるものか確認すること。

  2. 家相の相談をした相手の信頼性

    家相をみていただいている方は、本当に信頼おける方だろうか?屋根工事や床下のシロアリ、耐震補強の業者は、親切ぶって「無料でみてあげます」と近づいてきて、「ここを見て下さい。このまま放置していると大変なことになりますよ」と、危機を煽る。決して「お宅はまったく安心ですから良かったですね!」と引き上げることはない。足裏診断など、いかがわしい宗教団体などは、必ず「このままだとあなたは不幸になります」と、不安を煽る。家相を見る人、風水師なども、商売でやっている限り親切心でお金にならない「何も心配はありません」とは言わないだろう。数万円の相談料の次に解決する高額商品を用意していることがほとんどだ。商売でやっていないシロウトのにわか風水師であれば、なおさら指摘はあてになならい。

 

ものごとを教えても分からない時、人は全く違う例えで分からせる。たとえば子供に「雷にへそをとられる」としかる母親のようなものだ。悪いことの理屈を教えるよりも、恐怖心でしないように仕向けるほうが簡単。それが、「結果として危険を避けられる」のであれば有益です。例え事実ではなく、比ゆだとしても!
特に昔は読み書きが出来なかったので、強烈なイメージで分からせる必要があった。建物の「欠け」などは耐震性を考えれば容易に説明がつく。鬼門や裏鬼門も、湿気や風通しを考えれば、おおむね理解可能だ。風水で「部屋の中央にある階段は凶」だとも聞いた。説明では「吹抜けや階段は『気』が不安定になるから」ということだった。しかしよくよく考えてみれば、隙間だらけで断熱性能が劣る昔の家では、家の中心に階段や吹抜けがあれば、暖気が上階にあがり、冬は寒くてたまらない。また、床剛性が低くなり、耐震性能も劣るのだ。

 

また、トイレが厠(かわや)と呼ばれて、建物の外にあった時代、当然「水洗」などはないので、家に臭いが来ない場所が望まれる。台所が「クド」(かまど)と呼ばれていた頃、当然「冷蔵庫」のようなものはなかった。だから食べ物にカビが生えたり、腐ったりしにくい場所が望まれたのだろう。

 

このように考えると、昔の人たちが家を建てるとき、「失敗しないためのルール」を口伝えしたと考えても不思議ではない。自然と共生し、機械装置も技術もない時代には、先人の知恵でルールを守り伝えていくしかなかったのではないだろうか?それが、地域によりさまざまな流派を呼び、風水や家相となって、家づくりに影響を与えてきたのだと思う。

 

このように、メールででも丁寧に説明することで、施主の不安は解消する。これまで家相を気にせず生活してきた多くの人が、今家を建てる段階で急に家相が「制約条件」になること自体が不思議だ。プロとして家相や風水を学ぶのは構わないが、本質を理解し「本当にいい家」を建てよう!

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