2022.3.07 第198号
将来にわたる住居費を考える ~賃貸住宅の建築費激増!~
『家づくりで泣く人・笑う人』 ~第198号~ <2022/03/07>
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.198━ 2022.03.07━
《隔週刊》 家┃づ┃く┃り┃で┃泣┃く┃人┃・┃笑┃う┃人┃
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~第198号~
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◆事業を成功に導くための、プロのコンサルタントの助言
◆あなたも「笑う人」になって豊かな生活を送りましょう!
《発行部数 約2,100部》
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発行人の若本です。
2022年に入って初めての発行となりました。
前回のメルマガでは、新型コロナの「オミクロン株」について、
恐れず冷静に状況を見守ろうと書きました。
しかし、マスコミや政治家は予想通りヒステリックになりました。
私の住む広島でも、年明け早々から『まん延防止等重点措置』が発令され、
ようやく昨日(3月6日)に解除の決断がなされました。
東京や愛知、大阪など18の都道府県は、まだ二週間は続くようです。
飲食業や観光業は、復元力を無くすほどに痛めつけられています。
そして今、報道番組はロシアのウクライナ侵攻に一気に塗り替えられました。
燃料価格はさらなる値上げで物価も上昇、経済の回復は遠のきそうです。
さて、2月のコラムでは「短命に終わる日本の住宅」についての考察です。
https://cms-hiroshima.com/answers/column/181
早く平和と平穏が戻り、疲弊した地域の再生に取り組みたいですね!
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▼将来にわたる住居費を考える ~賃貸住宅の建築費激増!~
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前回のメルマガ配信後に、広島経済大学の学生向けの特別講義を行いました。
タイトルは『大きく変わりゆく住宅業界』。経済学部の3年生が対象です。
民間企業の経営者や上場企業の現役マネージャーなど、
全15回の講座の第12回目の講義を担当しました。
同大学は、プロ野球ファンでは知らない人がいない
「ソフトバンクホークス」の柳田悠岐選手の母校。
去年の東京オリンピックでも金メダル獲得に貢献したので、
一般の方でもスポーツに興味があればご存知でしょう。
その柳田選手の年俸は、推定約6.1億円。
親会社の孫社長は役員報酬は約3億円ながら、配当は200億円!\(^o^)/
学生たちにお金のことに興味を持ってもらうため、この話題からスタートです。
そして、一般の勤労者の生涯賃金や住宅の価格の推移、
住宅ローンで支払う総額と、ずっと賃貸で住み続けた場合の住居費負担・・・。
経済学部の学生たちなので『家計のバランスシート』なども説明しました。
つまり、住宅を購入することで個人のBS(貸借対照表)がどうなるか?
固定負債は簡単に減らないけど、固定資産は早く目減りする日本の現状・・・。
平成の30年間に建てられた住宅の多くが「含み損」を抱えている現実等々。
では、住宅ローンを抱えず、賃貸住宅に住み続けたほうが経済的なのか?
しかし、若い頃は良くても高齢者になって家賃を払い続けるリスクを説明し、
安易に考えていた学生たちも、その事実を理解して衝撃を受けたようです。
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住宅は減価償却財?
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「株」という資産がゼロになると思って購入する人はいません。
普通は、”将来値上がりするだろう”と思って投資をします。
今回の新型コロナなど社会情勢によっては「含み損」が出る場合もありますが、
経済的余裕があれば、値上がりするまで所有したまま持っているのが普通です。
欧米の先進国では、現物があり需要実態もある住宅(不動産取得)は、
株のように不安定に価格が乱高下することなく、物価上昇以上の値上りが当然。
一時的に値下がりすることはあっても、長期に所有していれば、
値上がりして「含み益が出る」のが当然の財産だと思って購入しています。
子供たちが成長し、広い家を売却すれば、利益が出て容易に買替え可能です。
だから中古住宅流通も物件が豊富で、活発に取引されます。
しかし、御存知の通り日本人は”住宅は減価償却資産”だと思わされ、
値下がりするのは仕方ないと諦めている人がほとんどです。
だから住宅ローンを支払い終える頃には、資産は土地代のみ・・・。
親が亡くなったら、実家でも住もうという子どもたちはいません。
これが、市場取引されない「空き家増加」の大きな要因です。
だから、ミレニアル世代世代やZ世代と言われる人たちは、
多大なローンを負担してまで、住宅を所有したいとは思えなくなりました。
▽ ▼ ▽
広島経済大学の学生たちにお話したのは、
では「ボクは家族ができても一生賃貸暮らしでいいんだ!」で本当にいいのか?
22歳で社会人となり、40年間(62歳まで)の生涯賃金が、
現在価値で仮に「年収500万円平均」だとして、2億円の収入です。
柳田選手のように、1年で5億円以上稼げるスターには容易になれません。
一戸建てを仮に4千万円ローンで購入したとして、金利1.5%での返済は、
35年返済で月額12.2万円、支払い総額は約5,144万円です。
昔のように「所得倍増」になれば、負担は軽減されますが、
その願望は実現可能性が低く、その場合は金利は上昇するでしょう。
生涯賃金が2億円の場合、住宅ローン返済だけで4分の1が消えていきます。
その他光熱費や固定資産税、メンテナンス費用等も負担しなければなりません。
とはいえ住宅ローンを完済すれば、経済的負担は激減します。
収入が減り、年金も当てにならない将来に、住まいだけは確保できるのです。
一方、賃貸住宅に住み続けた人たちの将来はどうでしょうか・・・?
家賃8万円程度の賃貸に住んだとして、年間約100万円の住居費支出。
40年間住み続ければ、約4千万円の支出ですが、
その時に、給与は上がらずとも家賃も高まっているリスクが内在しています。
少なくともこの間、建築費は上昇し、古い借家は除去されていくでしょう。
住宅ローンと違い、40年後も同じ家賃が続くとは考えられません。
しかも平均寿命を考えると、まだ20年以上住居費は必要。
長生きするほど、リスクも高まるのです。
家賃を6万円に下げても、老後の20年間で1,500万円が住居費に消えます。
将来は見通せませんが、高齢者の賃貸住宅探しはハードルも上がります。
将来の給与上昇も、もらえる年金も不透明だとしたら、
賃貸住宅に住み続けるという選択は、かなりリスクが高いことは明らかです。
だからこそ日本が目指すべき未来は、欧米のように、
「住宅を取得することが、安定的な資産形成」に繋がり、不動産市場で、
含み益が出るような、住宅政策・住宅供給が求められるのです。
岸田政権が進めようとする『デジタル田園都市構想』は、
デジタル化がメインではなく、住宅の資産化がメインでなければなりません。
本家本元の田園都市、英国の「レッチワース」が実現している世界です。
そのような現実を、経済学部の学生たちに講演しました。
一人でも、私の話に感化され、実現を目指す社会人に育って欲しいですね!
賃貸住宅の建築費上昇は、以下のコラムでグラフ付きで解説しています。
■住宅業界に見る「イノベーションのジレンマ」
https://cms-hiroshima.com/answers/column/180
<発行人:若本修治>
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【 編|集|後|記 】
冒頭に書いたように、燃料費が上昇しています。
世界各国が、気候変動対策のために「カーボンニュートラル」を目指せば、
エネルギー産出国は、増産して価格を下げるインセンティブは生まれません。
今後、益々電気や天然ガスなど、光熱費は上昇していくでしょう。
世の中の大きな流れは、再生可能エネルギーを増やし、
化石燃料に頼らないエネルギーシフトに移行していくのは間違いありません。
しかし、順番としては住宅にソーラー発電を載せたり、
燃料電池や蓄電池設置など、省エネの最新機器に頼ることが先ではありません。
穴が空いているバケツは、勢いよく水を注ぐ前に、
バケツの穴を塞ぐのが優先です。つまり、家の中から逃げる熱を止めること。
最小限のエネルギーで、快適に暮らせる「断熱・気密性能」を優先しましょう!
最新の設備機器は、賃貸住宅に住み続けるのと同様、
家の中のエネルギー利用は従前と変わらず、エネルギー源が変わるだけ。
機械装置は十年程度で故障が増え、再投資が必要です。
しかし、新築時に北欧並みの断熱サッシや厚みのある断熱材を採用し、
気密もしっかりと確保しておけば、その後は再投資もメンテナンスも不要です。
先ごろ、そのように建てた住宅の気密測定を行いました。
計測時に施主も立会ったので、ごまかしの効かない一発勝負です!
⇒ http://esumai.livedoor.biz/archives/52522174.html
こちらのお宅ではC値=0.3cm2/m2という北海道並みの結果でした。
出来れば、皆さんも新築時に費用負担しても、気密測定をお勧めします。
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