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若本修治の住宅コラム

2011.3.20 第58話

ソーシャルメディア時代の営業とは

ここ数年、ネット好きの人たちの間でmixiやtwitter、Face bookといった交流サイトが話題になっている。今年になってチュニジアやエジプトなどアラブ諸国の独裁国家が崩壊し、東日本で起きた大震災や原発事故でも、このような交流サイトで発信される情報が、政治や社会を動かす原動力になったと言われている。これまでも日記を公開するブログやメルマガなど、様々な情報発信ツールはあったが、多くは見えない相手に一方的に情報を送るに過ぎなかった。しかし、ソーシャルメディアと呼ばれる交流サイトは、人と人との繋がりが他人にも見え、「共感できる情報」であれば物凄い速度で情報が拡散し、ひとりひとりの判断に大きな影響力を持つようになってきた。

 

このようなソーシャルメディアの時代は、工務店やビルダーにとって大きなチャンスが来たと私は考えている。なぜなら、ほとんど無料で多くの人に情報を発信できるインフラが整ったからだ。企業の歴史や規模、実績などはほとんど関係ない。小さな企業でも個人であっても、大手企業が配信する情報と何ら区別されることはない。また基本的に同じ画面から配信される情報なので、テレビCMのようにタレントやキャッチコピー、イメージで左右されることがなく、発信される「情報の中身」で勝負が出来るのだ。

 

ソーシャルメディアで配信される情報は、よりパーソナルでこだわりのある「言われれば確かにそうだ!」と感じるような情報が、共感を呼び情報が広がりやすい。誰もが知っている大手が提供する情報は、新鮮な驚きや共感を得ることは少なく、経営者自身が発信しているのは、ソフトバンクの孫社長や楽天の三木谷社長など、IT企業やベンチャー企業経営者、そして起業家の人たちがほとんどだ。
ソーシャルメディアでは、経営者自身が個人として自分の意見や取り組みを発信してこそ、その効果を発揮する。
総理大臣でさえも原稿を棒読みしていると誰の心にも届かないのと同様だ。個人のプロフィールも詳しく公開していると、精神的にも距離感が近くなるから不思議だ。

 

私が独立前に勤めていたのは、住宅営業のコンサルティングを行う会社だった。会社の社長は元積水ハウスで伝説的な営業成績をあげたトップセールスマン。コンサルする住宅会社の営業マンには、必ず『自分史』を作らせていた。「売り込むな。家を売ろうとするから断られたり値引きをさせられる。家ではなく自分を売り込み、お客さんとの共通点や共感してもらえることを探せ!」というのが持論だった。まさにソーシャルメディアは、自分自身を公開し、プロフィールを見た相手が自分との距離感を縮めてくれる。こちらは売り込む必要も、訪問することも不要だ。

 

家に限らず、消費者は「嫌いな人」や「素性の分からない人」からものは買わない。だからこれまでは「素性の分からない」工務店は、地元であっても多くは避けられてきた。チラシや見学会への参加、友人の紹介など、素性が分かってきて初めて商談の土俵に上れたから、契約に至るまで多くの時間や費用を費やしていたのが実態だ。今やどれほどいい材料と技術のある職人を使い、高性能な家を建てても、売込みが氾濫するチラシやネットは信頼に欠け、情報発信者自身のパーソナリティも重要な判断材料となってきた。

 

これは、大手ハウスメーカーにとって一番苦手な部分であり、地域密着の工務店、建設会社にとっては絶好のチャンスといってもいい。すべての人がネットを見ているわけではないが、逆に自分を理解し共感してくれる方だけ集められれば、コストも掛からず効率のいい営業が可能だ。

欧米の住宅販売でも、マス広告で誰彼構わず売り込むのではなく、住んでもらいたい人たちを「リクルーティング」し、対象を絞込むことが効率のいい販売に繋がっている。

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