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若本修治の住宅コラム

2016.12.20 第127話

「事業用借地契約」終了後の土地活用

バブル経済崩壊後に施行された『事業用定期借地契約』によって、地方都市の郊外に数多くの「ロードサイド型店舗」が出店した。その後、ダイエーやそごうなど、百貨店・大型スーパーの破たんも相次ぎ、大規模小売店舗の出店規制だった『大店法』が改正され『大規模小売立地法』が施行された。その結果、さらに郊外に広大な駐車場を持つ広域商圏を対象とした巨大なショッピングセンターやアウトレットモール等が次々誕生した。郊外型の中規模スーパーやホームセンター、レンタルビデオ併設の書店などは次第に客を奪われ、苦戦を強いられるようになっていった。

 

当時結ばれた20年間の借地契約が終了し、改めて地主と賃料などの契約条件を交渉すると、この20年間の地価の下落を「地代の減額交渉」材料にしたい企業側と、周辺に店舗が増えて集客力が高まったと判断する地主側の「賃料を上げたい」という意向が真っ向から衝突することも少なくない。このような状態になると、お互いの信頼関係も崩れてしまい、地主にとって次の出店者探しが課題となる。

 

しかし、この20年間で商業立地も商業やサービスの業態も大きく様変わりした。店舗は大型化し、ネット通販や仮想店舗も一般化して、書籍や音楽・ビデオもスマホやタブレットでダウンロードする時代になろうとしている。今でも旺盛に出店しているお店は、コンビニエンスストアや携帯ショップくらいで、ガソリンスタンドや外食チェーンも撤退が相次いでいる。この十数年間に急成長した家電量販店も成長に陰りが見え、郊外型の大型店を閉鎖して、海外からのインバウンド客の「爆買い」をターゲットに、『都心型の免税店』を増やし始めた。つまり、地方で長期契約してくれる事業用の土地需要は急速に衰えている。

 

左の画像は、これまでホームセンターが営業していた場所。撤退した後に出店したのは大手のコンビニチェーンのお店だ。本来であれば、もう少し大きな店舗に貸して負担している固定資産税に見合う賃料を得たいところ。しかし、自ら建築費を負担して商業やサービスの店舗を出店する企業はなく、駐車場に囲まれた広い敷地に、ポツンとコンビニ店舗がオープンしていた。恐らく建物は地主が負担した『建て貸し』で、コンビニはテナントとして、地代だけでなく建物の家賃も支払っているのだろう。でなければ全国1万店を超える店舗展開は、ライバルとの出店競争や建設費の資金調達を考えてもとても出来るものではない。

 

従来は、出店希望者が多く、土地を所有しているオーナーも強気の交渉が可能だった。しかし、今や固定資産税負担や相続税評価の高さにあえぐ地主にとって、「賃料ゼロが続く」ことは恐怖でしかない。出店側の企業は「商売人」であり、そんなことは見透かしているから、地主に有利な条件で長期の契約は結べないと思ったほうがいい。しかも契約を結んでも、契約相手は1社かせいぜい数社なので、仮に撤退や破たんをすれば、賃料収入はゼロになる。つまり法人1社に貸す事業用借地の土地活用は、地主にとってこれからリスクが高まるばかりだろう。個人の地主では、ほとんど「リスクヘッジは出来ない」と考えたほうがいい。

 

結局、テナント契約できても土地のほとんどが来客用駐車場に利用され、地域にとっても人口の増加や昔の賑わいは取り戻せない。もちろんほとんど雇用も生まず、歯が抜け落ちていく高齢者と同様、街も老齢化が進むばかりだ。

 

今なら高齢者施設の誘致も考えられるが、それも今後20年間が賞味期限。従って土地を売ることなく、このような状態を救う唯一の方法が、一般定期借地による個人住宅の供給だろう。住宅地の需要は長くリスクも個別分散でき、何より地域に住む家族を増やせるのが大きなメリットだ。

こちらの土地は、長年パチンコ店の駐車場として利用されていた。相続によって地権者が増え、暦年贈与で土地が細分化されて一体的には利用できない状態になっている。住宅用の一般定期借地は、固定資産税評価や相続税を抑える効果も期待できる。

広島市佐伯区の近隣型商店街『コイン通り商店街』に面して構えていたホームセンターが撤退した跡地。売り場面積が十数分の1のコンビニエンスストアが出店している。パチンコ店の駐車場と併設した広いスペースは、少子化や雇用増加、街の活性化に何ら役立たない土地活用になっている。
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